東京都交通局江戸川自動車営業所臨海支所において実施された平成27年度緊急対応『情報伝達訓練』を見学したのでレポートする。
東京都交通局では都営地下鉄、都電、都営バス等の運行をしているが、様々な訓練も行っている。
記者は都営交通モニターなので、今回はモニター見学者として参加した。
しかしながら地下鉄の訓練はテレビ局も入りニュースになるが、バスは画的に地味なところがありあまり報道はされない。
実際にこの日は報道関係者の取材がなく、この様子を報道する機関が皆無のようなので、記者が急きょ見学者の視線でレポートする。
写真は通常運行中の都営バス車内。
臨海支所はJR京葉線葛西臨海公園からほど近い場所にある。
海辺なので常に強風にさらされている場所である。
モニター参加者は十数名。会議室に集められ、訓練の実施要領や意義を説明される。
広大な敷地の中に、関係する営業所や支所、病院や交通局本局に見立てたテントが並び、中央にバス車内のモックアップを作っていた。
運転席はハンドルや運賃箱が設置され、遠目にも状況が簡単にわかるように工夫がされていた。
訓練に参加する多くの交通局職員とともに、モニター見学者も開会式に出席。
これには二つの意味がある。
すわなち、交通局職員側には一般のモニターが訓練を見ていることで緊張感を高め、部内のなれ合いの訓練だけに終わらせない意図がある。
そしてモニター側には交通局が普段から実施している訓練にただの見学者ではなく、開会式から参加してもらい利用者へのサービスの質を高めようという意図があるようで、よく考え抜かれた進行になっていた。
そして、この訓練には2名のモニターが乗客役として実際の訓練に参加する。
記者も参加したかったが、訓練の中に入ってしまうと安全上の理由から撮影が禁止されるため、モニター席での見学とした。
また、訓練の内容は「情報伝達」に特化し、モニター見学者には事故想定シナリオのすべてはあらかじめ配布されていたが、肝心の伝達内容は直前まで伏せられ、実施するまでわからないという現実味を帯びた内容だと説明された。
都営バスの江東、江戸川、臨海、深川の各営業所や支所の関係者が見守る中で、訓練参加者が配置についた。
では、訓練開始から事故発生、そして初期対応が開始されるまでの模様を動画でご覧いただこう。
■平成27年度都営バス緊急対応『情報伝達訓練』 ~江戸川自動車営業所臨海支所~
https://youtu.be/3DpQEDJpnSs
この後、訓練では救急車(に模した交通局の車両)で負傷者を搬送した。
演技の訓練ではなく、情報伝達の訓練なので、負傷者の氏名、連絡先、生年月日等の必要な情報が営業所や本局に正確に迅速に伝わるかどうかが問われる。
保険会社への連絡や、負傷者への便宜、外国人への対応等一連の訓練は特に大きな問題もなく終了した。
講評では、「シナリオに問題のある点もあったが、混乱している中でも、できるだけ本局に多くの情報を出してほしい」と要望が出された。
また東京という大都市で縦横無尽に走る都営バスの公共交通機関としての使命にかんがみ、「あってはならない交通事故だが、平面交差をしている以上は起こりうるのも交通事故。日ごろの訓練の成果を発揮し、職員の意識を高め、いざという時には人命を最優先にして一つでも多くの命をつなぎとめてほしい」と、切実さを物語る講評となった。
記者も大型二種免許を受有しているのでよくわかるが、乗用車と比較してバスの運転席からの死角はとてつもなく多い。
バスを降りてすぐの直前直後の横断は特に危険で、また発車しようとするバスに乗り遅れまいと側方から駆け寄る人は運転席からは信じられないかもしれないが、本当に見えないのだ。
事故は起こそうとして起こるケースはほとんどない。誰もが望まない交通事故だから、私たち乗客も気を付けて気持ちよく乗車したいものである。
※写真・動画はすべて記者撮影・収録
協力:東京都交通局