IBMのSherlock仮想アシスタントは、Apple Watchやスマートフォンで利用できる。

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 IBMやCardiff大学のプロジェクト、Sherlock仮想アシスタントは、Apple Watchやスマートフォンで利用できるようになる。 2015年10月2日

 By Amir Mizroch、WSJ

 IBMと英国のWalesのCardiff大学の共同研究チームは、AppleのSiri、MicrosoftのCortana、および、AmazonのAlexaのような、人工知能(AI)からではなく、他のユーザから情報を得る、Sherlock(Simple Human Experiment Regarding Locally Observed Collective Knowledge)仮想アシスタントの研究&開発で協調している。

 AppleのSiri、MicrosoftのCortana、AmazonのAlexaといった、仮想アシスタントは、コンタクト・リストから誰かを呼び出すようなことを行うために、大量のデータを分析し、何時に、空港に向かって出発すべきかをユーザに告げたり、ユーザと機知に富んだ会話をしたりする。

 これに対し、IBM/Cardiffチームの試験的なSherlock仮想アシスタントは、異なったアプローチを取る。

 Sherlock仮想アシスタントは、IBMの膨大なコンピュータ・ネットワークから情報を得るのではなく、他のSherlockユーザから情報を得る。

 他のSherlockユーザから情報を得ることが、Sherlock仮想アシスタントが、「クラウド(群衆)ソース・モデル」と呼ばれる所以である。

 例えば、音声による、自然な会話を理解したり、質問の答えを探したりするために、インターネットや、Apple独自のデータベースを検索して、学習することにより働く、Siriとは異なり、Sherlock(Simple Human Experiment Regarding Locally Observed Collective Knowledge)は、他のSherlockユーザにより提供された知識から、質問への答えを得る。

 Cardiffチームによると、Sherlockは、ユーザが、見たり聞いたりするモノに関する情報を与えることができる、非常時、警備、または、大きなイベントにおいて、特に有用であるという。

 例えば、ユーザは、大きな音楽祭の玄関で、最も短い行列を見つけたいならば、ユーザは、Sherlockに、「音楽祭の会場への最短の行列は?」と、尋ねることができる。

 音楽祭の玄関で、自分たちのデバイスにGPSを持つ、Sherlockの他のユーザは、「あなたの行列の長さは?」と、質問に反応してくれるかも知れない。

 Sherlockは、結合さらた情報を処理し、最短の行列に関する、「最も良い推測」を、テキスト・メッセージとして、オリジナルのユーザに通知する。

 現在、開発段階にある、Sherlockの試作版は、音声メッセージやジェスチャーではなく、テキスト・メッセージで、ユーザと対話する。

 IBMによると、他にも、GoogleのVoiceインタフェースを使用した、自然な話し言葉で、ユーザと対話できる、Sherlockの試作版もあるという。

 IBMによると、Sherlockのスマートウォッチ版は、Appleの口述インタフェースを使用し、音声コマンドで会話できるようになるという。

 IBMによると、Sherlockは、テキスト・メッセージングが、情報を共有するための、支配的なコミュニケーション・プラットフォームであり、モバイル・ブロードバンド帯域が常に有る訳でなく、処理能力の高いスマートフォンが、あまり浸透していない、アフリカにような新興市場で利用されることを期待しているという。

 Sherlockは、抑揚、アクセント、あるいは、回りの雑音により影響される、音声コマンドではなく、テキストを使用しているので、プログラムが、ユーザが質問することを理解するのは、より容易である。

 AppleのSiriや、MicrosoftのCortanaのように、完全に人口知能(AI)コンピューティングに基づいていないが、Sherlockは、ユーザが入力した、テキスト・メッセージで行動し、正確な認識が必要な、コンピュータ自己学習の、いくつかの要素を持っている。

 Sherlockは、ユーザが、意志決定し、仕事を行うのを支援するために、大量のリアルタイムなデータを使用し、仮想アシスタントの成長の波の一つとして実現された。

 AppleのSiri、MicrosoftのCortana、AmazonのAlexa、および、Google NowやGoogle Appなどが、現在、提供されている、主な仮想アシスタントである。

 San Franciscoベースのチーム・コミュニケーション・アプリ、Slackは、Slackbotと呼ばれる、仮想アシスタントを支援するようだ。

 Slackbotは、質問に答え、仕事を実行するために、社内コミュニケーションをマイニングする、仮想アシスタントである。

 Facebookは、最近、テキスト・メッセージを通して働く、Mと呼ばれる、新たな仮想アシスタントを提供した。

 New Yorkベースのスタートアップ、X.aiは、ユーザが、参加者の都合に合わせて、会議をスケジュールするのを支援する、Amyと呼ばれる、仮想アシスタントの売上が、920万ドルに達した。

 JerusalemベースのOrCamは、シャツにクリップで留められる、パーソナル・デジタル・アシスタント、Casieを発表した。

 Sherlockは、デバイスのローカル・ストレージと、いくつかのリモート・サーバ・プロセシングの組み合わせを使用する。

 Sherlockは、ユーザのスマートフォンに保存されるものをフォール・バックできるので、クラウドへの接続がない時にも、動作を続けることができる

 IBM Global Labsのスポークスマンによると、Watsonプログラムを通して、長年、人工知能(AI)の研究を続けてきており、仮想アシスタントの技術は、興味深く、可能性を秘めているが、この未来に関してコメントするのは、まだ、早過ぎるという。

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