「映像でカロリーはどこまで消費できるか?」なるプレスリリースが届いた。
ドコモ・ヘルスケア株式会社はNTTドコモとオムロン・ヘルスケアの合弁会社。そのドコモ・ヘルスケアが「恐怖による呼吸過多や緊張・し緩によるカロリー消費を科学的に計測」したとある。
そこで、「なんでも見にいく取材記」を連載している記者としては、本当なのかどうか見てみたい、体験したい、取材がしたい。しかし、ホラーは嫌いだ。できれば見たくない。
そんなヘタレな記者を助けてくれる女神が現れた。記者がいつも展示会の取材で撮影をさせてもらっているモデルのNana.さんが、協力を申し出てくれたのだ。寒がり、暑がり、怖がりの記者には渡りに船。Nana.さんの気が変わらないうちに、取材を申し込んで現場に連れて行った。なお、本記事は単独取材である。
写真はモデルのNana.さん。
同社がドコモショップ等で販売している『ムーヴバンド(R)2』は、腕につけておくことでスマホにデータを送り、専用アプリで消費カロリーを可視化する。計測できる項目は「歩数」「移動距離」「消費カロリー」「睡眠時間・状態」。
スマホへのデータ送信はマルチキャリア対応で、どの移動体通信キャリアでもBluetoothかNFCを使用して無料でできるが、ドコモだとさらに有料で様々な健康や食生活に関するサービスや専門家のアドバイスを受けることができる。
担当者によると、恐怖映像を見た時にカロリー消費が増大するというデータは以前からあったが、本当にそうなのかどうかを科学的に計測し、一つの可視化の例として映像を制作して「カロリームービー」として公開したという。
本取材にはその科学的な計測を行った国士舘大学体育学部教授の須藤明治医学博士が同席し、医学的見地から話してくれた。
--先生、怖いものを見てカロリー消費するって本当ですか?ちょっと怪しい気がするのですけど
「まず、カロリー消費と言いましても、運動しなければならないと思っている方が多いのですが、実際にはそれだけではなく日常の生活でもカロリー消費は多いのです。この映像によるカロリー消費は主に交感神経の作用によるもです。五感から入ってくる様々な情報によって呼吸の変化や緊張や、し緩といった変化の繰り返しにより、カロリーは消費されています。好きな人が隣にいればドキドキするのも意味合いとしては同じですよ」
--記者はそちらの方がいいのですが、このような機器で可視化することに何の意味があるのでしょうか?これも怪しい気がします
「実際に多くの被験者データを取ってみましたが、可視化することによって”意識”するということは確かなようです。もちろん、恐怖映像だけを見て痩せるとかそういうものでもありませんが、可視化して意識することにより運動や食事の注意を”継続”するようです。また、このような機器は体に密着していることにより、体の一部として、大げさな言い方ですが埋め込まれたセンサーのようになっているところが優れている点です」
なるほど。理論はわかった。しかし、実験しなくてはわからない。
写真は『ムーヴバンド2』
では早速、被験者のNana.さんに登場していただこう。
すでに胸には心拍数を計測するバンドを装着している。
ピースサインしている場合ではなかろう。これから恐怖映像を見るのだ。
モデルが恐怖におののく顔を撮影されて、あとで泣きが入っても責任は持ちませんと宣言して、計測機器の準備が始まった。
須藤教授の監修のもとで呼吸を計測するマスクが装着される。
モデルだからカメラ目線を意識してくれるのはありがたいのだが、大丈夫だろうか。
「大丈夫ですよ。結構強いんです!」
とはまた強がりを言ったもんだ。
須藤教授から女性の被験者はほとんどが右に顔をそらすという極秘情報を得た記者は、Nana.さんの右前方に陣取りカメラを構えた。
なお、上映中は真っ暗で、室内には彼女と記者しかいない。
スタッフはすべて別室で計測機器を操作、監視している。
ストロボは計測に影響しないということなので、使用した。
では、その映像をご覧いただこう。
心臓の弱い方は是非とも再生せずにこのまま読み進めてほしい。
■【実験動画】 “Calorie Movie” 映像でカロリーはどこまで消費できるか?
https://youtu.be/kLDcyNcBlLw
さて、Nana.さんの様子はどうだろう?
微動だにしない。
目をそむけることなく凝視している。
あれ? 予定と違う。一言の悲鳴も発していない。
写真は映像再生中の様子。
映像の再生が終わった。
「撮れ高どうでした?」
いや、スチールなので撮れ高とか心配してもらう必要はないけど、あれ?怖くなかったの?
「突然出てくるのはびっくりしたけど、怖いというのとはちょっと違うかな」
強い子だ。
一番びっくりしたのはこの場面だったという。
しかし、これで計測結果が変化なしだとこの取材はなかったことになる。
しばらくして須藤教授が結果発表のために入室してきた。
「まず、計測数値についてなのですが、1秒間の平均消費カロリーを体重60キログラムの換算値で表します。そうすれば個人差にさほど影響されずに比較ができます」
「Nana.さんの再生前安静時の数値は6.61cal/sec./60kgでした。そして、再生中の平均値が15.50cal/sec./60kgでした。安静時の約2倍の消費です。さらに、この映像には恐怖場面のピークが3回あるのですが、Nana.さんのピーク時は41.32cal/sec./60kgでしたので、安静時の約6.25倍となりました。これは、男性の冷静な方のパターンとよく似ています。怖がりの女性なんかはずっとピークという方もいますけどね」
Nana.さんの感想。
「実はあまり怖いという印象はなく、これでカロリー消費してなかったらどうしようと思って、そっちの方が恐怖でした。でも、ちゃんと消費していてよかったです」
見事なプロ意識だ。恐怖の原因が映像だったのかプロ意識だったのかは別として、いずれにせよ映像のピーク時にカロリー消費量もピークをマークしたことは事実だ。この目の前で行われた実験で証明されたと判断してもよさそうだ。
だからと言って、ホラー映画を見続ければ痩せるとか、そういうことでもないが、日常には様々なカロリー消費の場面があり、それを可視化することによって、「意識付け」がなされることには疑いの余地はない。
マルチなカロリー消費場面を知って、健康的な生活を心がけてみてはいかがだろうか。
写真は須藤教授とNana.さんのフォトセッション。
※写真はすべて記者撮影
体験モデル Nana.
動画はドコモ・ヘルスケア株式会社の公式アカウントから許諾を得て使用
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