Windows 10は、スパイウェアではないが、個人データを欲している。 2015年8月25日
By Geoffrey A. Fowler、WSJ
FacebookやGoogleが、個人のデータを使用する方法については、よく話題にされている。
MicrosoftのWindowsは、長い間、良くも、悪くも、インターネット経済とは、あまり関係していなかった。
Windowsは、さまざまなソフトウェア開発者が作成した、ソフトウェアを実行するための、オペレーティング・システム・プラットフォームである。
Microsoftは、Windows 10に、過去のWindowsの版よりも、さらに、多くのインターネットに関連する機能を組み込み、自然言語で会話できる、Cortanaパーソナル・デジタル・アシスタントを提供している。
また、ユーザは、Windows 10で、クラウド・ストレージにファイルを保存したり、Wi-Fiネットワークに、容易にログインしたりでき、サイバー攻撃の脅威から保護する、高度なセキュリティ機能を利用したりできる。
しかし、これらの能力は、Microsoftが、ユーザの個人データの周囲にビジネスを構築し、個人データを収集することに、あまり関心を持っていないことを意味する。
Microsoftは、インターネット・サービス、広告、アプリケーション、および、ゲームから売上を得ることを明確な目標にしており、Windows 10への無料アップグレードを実施している。
Microsoftの財務部門の担当者は、この新たなビジネス・モデルを、「顧客の生涯価値」と呼んでいる。
Microsoftは、ユーザが、新しいPCを購入したときに、プレインストールされる、Windowsオペレーティング・システムの売上から、利益を得たいとは思っていない。
Microsoftは、2014年の1年間に、Bing検索エンジンの広告から、36億ドルの売上を上げている。
Microsoftは、ユーザの個人データを販売することはないが、Bing検索エンジンの最適化や、ターゲティング広告などに利用している。
Microsoftによると、同社と共有するユーザの個人情報は、Windows 10のユーザの判断によるという。
また、Microsoftは、ユーザの許可なく、ユーザの個人情報を収集することはないようだ。
Microsoftのデータ収集システムの多くは、Windows 10のデフォルト設定でオンになる。
Windows 10で、最もアクティブな個人データのコレクタは、Microsoftのパーソナル・デジタル・アシスタント、Cortanaである。
Cortanaは、ユーザのWeb検索を追跡し、ユーザのスケジュールなどを学習するために、ユーザのメールに目を通す。
Cortanaが収集した、ユーザの個人情報の多くは、アイコンをクリックすることで、Cortana内で利用できる、編集可能なNotebookに保存される。
Windows 10ユーザに関する個人情報は、MicrosoftのBing検索エンジンによっても、収集され、保存される。
ユーザは、Cortanaが収集した個人情報を、「設定」をタップすることにより、クリアーすることもできる。
Microsoftによると、Cortanaは、収集したユーザの個人データを、暗号化を含む、さまざまなセキュリティ技術やプロシージャを使用して保護するという。
ユーザは、Microsoftが、個人情報を、収集することを望まないなら、Windows 10を、Microsoftのアカウントにリンクしないように選択することもできる。
Microsoftアカウントで、Windowsにログインしないときにでも、Windows 10は、さまざまな方法で、ユーザの個人情報を収集することができる。
特に、Microsoftの新たなEdgeブラウザは、いくつかのユーザの個人的な行動を追跡し、パーソナライズされた、ターゲティング広告の役に立たせるように試みる、MicrosoftのBing検索エンジンのデフォルトのブラウザである。
MicrosoftのEdgeブラウザのユーザは、choice.microsoft.comに行くことにより、広告のトラッキングを回避できる。
MicrosoftのEdgeブラウザには、次にクリックしがちな、Webページをプレロードする、Webページ予測機能もあるが、ユーザは、Edgeブラウザの、Webページ予測機能の設定をオフにすることもできる。
Microsoftは、ユーザのコンピュータのユニークなID、位置、マイク、カメラなどの関するデータを受け取り、共有するための能力を含む、Windows 10の設定メニューに、他の多くのプライバシーのコントロールを置き、ユーザが選択できるようにする。
これらのすべてのプライバシーのコントロールは、Windows 10における、「表現」セットアップを使用する場合、オンに設定される。
Windows 10には、ユーザが、友達とWi-Fiのパスワードを共有できるようにすることにより、友達のPCが、ユーザのWi-Fiネットワークに接続できるようにすることで、より便利になると思われる、「Wi-Fiセンス」と呼ばれる機能がある。
この「Wi-Fiセンス」機能で、必ずしも問題が発生するという訳でもないが、Windows 10のユーザは、この機能を使用することで、何が起こるかを理解しておくべきである。
Windows 10で、新たなWi-Fiネットワークにログインすると、Windows 10は、ユーザが、Outlook.com、Facebook、および、Skypeのアカウントで、Wi-Fiネットワークにログインできるようにする能力を利用するために、ボックスをチェックできるようにする。
ユーザが、ボックスをチェックできるようにすると、パスワードが、暗号化された、Microsoftのサーバに保存され、ユーザの近くにいる、Wi-Fiネットワークへの接続を必要としている友達に渡される。
友達は、ユーザの近くにいれば、自動的に、Wi-Fiネットワークへログインできるが、パスワードを見ることはできない。
ユーザは、Windows Wi-Fiネットワークの設定で、特定のWi-Fiネットワークの共有を停止することもできる。
ユーザが、友達と、自分の家のWi-Fiネットワークのパスワードを共有することを望まないならば、ユーザは、共有チェックボックスをオフにすることもできる。
ユーザは、自分の家のWi-Fiネットワークの名前に、「_optout」を追加することにより、友達と「Wi-Fiセンス」機能を使用して、家のWi-Fiネットワークを、友達などと共有するのを避けることもできる。
Windows 10は、Microsoftの、インターネット経済への、新たなアプローチであることは、確かである。