●実は中国では上海料理も北京料理も八大中華に入らない!?
ひとくちに中国料理といっても、実に多彩です。日本では北京料理、上海料理、広東料理、四川料理を四大中華と呼びますが、中国では四川料理(川菜)、広東料理(粤菜)、浙江料理(浙菜)、山東料理(魯菜)、福建料理(みん(門構えに虫)菜)、安徽料理(徽菜)、江蘇料理(江菜)、の八大中華に分類することが多いようです。
ここで気付くのは、私たちになじみ深い北京ダックを擁する北京料理と、上海ガニでおなじみの上海料理が八大中華には入っていないことです。十大料理まで広げて初めて北京料理と上海料理が登場したりします。(四大料理、八大料理、十大料理の数え方は諸説あるにはあるのですが、一般的にはそう数えられることが多いようです)
これについて中国人に聞くと、むしろ北京料理や上海料理を含めた四大中華という分類をする日本のほうが不思議であると言われてしまいました。やはり日本に紹介する際には、中華料理の実質的な分類を挙げるよりも、北京や上海という都市名を全面にばんと押しだしたほうが人気が出やすかったから、ということでしょうか。
とはいえやはり中国中の美味が集まっている都市が北京、上海です。なかでも長らく王朝文化が栄えた北京には、華やかな宮廷料理・貴族料理(官府菜)や、都の庶民たちが好んだ庶民的な北京料理があり、訪れる人の舌を楽しませます。
●北京宮廷料理に影響を与えた山東料理って?
その宮廷料理に多大な影響を与えたのが山東料理です。宮廷の厨房には山東出身者が多く、山東料理が宮廷料理の原型になったとも言われています。
その山東料理の特徴はやや塩辛いのですが、とても繊細に素材の色と味を活かしています。歯触りはやわらかめで、白濁スープをよく使います。また膠東半島に位置する山東省は食材も豊富で魚介や肉、野菜をふんだんに使用します。
そんな山東料理で知られる山東省ですが、すぐにピンとくる人は少ないかもしれません。青島ビール工場で有名な青島市がある省なのですが、省都・済南市は雄大な黄河が流れ、早くから文化・経済が開けたところです。湖のほとりには風情ゆたかに柳がそよぎ、杜甫を始め多くの詩人がその美しさを褒め称えました。
●発展著しい山東省の済南市に2015年に新しくラグジュアリーホテルが登場
現在の済南は歴史的遺産を残す一方、繁華街にはデパートも建ち、北京などを結ぶ交通の要としても発展。そんな済南に2015年にはシャングリ・ラ ホテル 済南がオープンするそうす。シャングリ・ラ・ホテルとしては、山東省で3軒目になるそうで、400の客室を持つラグジュアリーなホテルがお目見えする予定です。
このホテルがオープンした暁にはゆったり済南にステイして、北京宮廷料理の源流、中華八大料理に数えられる名料理、山東料理を味わってみるのもいいかもしれません(もちろん他にも済南市には数々ホテルがあるので、それまで待たずとも、ですが)。かなり機能的にも優れたホテルになるようなのでビジネスユースの方にも朗報です。