こんばんわ。
今回はドラマ評論家・成馬零一による2011年夏ドラマ総括と、2011年秋ドラマ予想を書きたいと思います。いわゆる視聴率等は無視した個人の独断と偏見でもって選んだものですので、ご了承ください。
尚、この寸評はユーストリームで喋ったことのダイジェスト版です。細かい内容が気になる方は本編をご視聴ください。
2011年夏(7月~9月)ドラマを振り返る。
僕のユーストでは毎回、1クールごとのドラマについて喋っています。
一部をそのクールのMVP作品。
二部を「それ以外のドラマと来期のドラマ」について喋っています。
作品の評価は☆の数で表していますのでご参考ください。
MVP それでも、生きてゆく(フジテレビ系列、木曜日放送) ☆☆☆☆☆
脚本:坂元裕二、演出:永山耕三、主題歌:小田和正という『東京ラブストーリー』のチームが再結集して作ったのは被害者遺族と加害者家族の苦悩を描いたヒューマンドラマ。主演は瑛太、満島ひかり。被害者と加害者の家族、双方の視点から物語を描きながら、両者がわかり合おうとする姿を緊張感のある芝居と、長回しの映像で圧倒した。表向きに走っているドラマも面白いが、裏で走っている役者同士の激しいバトルもみどころで、ある意味『ガラスの仮面』のように一粒で二度おいしいドラマ。緊張感がある重たいドラマだが、その一方で妙に笑えるところもあり、作り手がツッコミポイントを意図的に残しているあたり、ネット時代のリアルタイムで盛り上がるドラマのあり方を意識しているのが伝わってくる。あとは、ニコ動みたいにコメントが書き込めれば完璧。
2011年夏ドラマ(7~9月) 『それでも生きてゆく』について
長さ: 128:44
・それ以外のドラマについて。
月曜日
・全開ガール ☆☆
新垣結衣演じるセレブを目指す新人弁護士と錦戸亮演じるイクメンの料理人のラブコメディ。
プロットは『やまとなでしこ』を彷彿とさせるトレンディドラマの定型で、男女の役割を逆転させているあたり、新しい月9を作ろうという意図はわかるのだが、どうにも空回りしていた印象がある。
しかし蓮佛美佐子を筆頭に、役者の見せ方には光ところはあり、最終的にはそれなりに楽しめたので、次を期待したい。
・IS~男でも女でもない性~ ☆☆
アイエスという問題が少女マンガ的な雰囲気を描くための手段なのか、本気で描こうとしたのかで、評価が大きく分れるドラマ。最初っから少女マンガをやりたかったのなら、それなりに成功のような気もするが、個人的には乗れなかった。しかしそれとは別に、この作品でテレビ東京の月曜10時枠が終わってしまったのは実に残念。
・ピースボート -Piece Vote- ☆
バラバラの立場の人間が謎の船に連れ去られ、謎のゲームを強制されるバトルロワイアル系ゲームドラマ。濱田岳、金子ノブアキ、関めぐみなど魅力的な役者をそろえたわりに、彼らのポテンシャルを生かすことができなかった残念な作品。ニコ動的なモニターを冒頭に出すなど、いくらでも転がりそうな題材がありながら、とりあえずそろえただけのトコに、今の深夜ドラマのダメさが伝わってくる。
火曜日
・絶対零度 シーズン2 ☆☆
前作とは部署を変えて、上戸彩演じる刑事が今度はスパイのような潜入捜査をする話。このペースで毎回上戸彩がいろんな部署を転々とすることでシリーズを展開していけば、その内宇宙人対策とか、超能力犯罪に立ち向かう上戸彩も見られるかもしれない。見ている間は面白いのに、イマイチ印象に残らないのは、ドラマ自体に上戸彩がほとんど絡まないからか。
・チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸 ☆☆☆
海堂尊原作の医療ライトノベルドラマ。ユーストでは、このドラマにおける仲村トオルがいかに素晴らしいかを熱弁。
・胡桃の部屋 ☆☆☆
向田邦子の脚本をリメイクしたホームドラマ。父親の失踪をきっかけに、家族がジワジワと崩壊していくと同時に登場人物のほとんどが不倫の関係者になるという壮絶な作品。別段現代的な作品というわけではないが、それでも十二分におもしろいのは、それだけ向田邦子が描いてきた家族という概念が普遍的だからだろう。ある意味ホラー映画よりも怖いドラマ。
・荒川アンダー ザ ブリッジ ☆
悪い意味で問題作。『聖おにいさん』で知られる中村光の同名マンガを実写化した作品。自称・河童、自称・金星人といった特殊な自意識を抱えた人々が荒川の河川敷でコミュニティを築いていて、まったりとしたハッピーな生活を延々と繰り広げる作品。徹底して外部を排除したヌルくてオシャレな映像空間は個人的には苦痛だが、この作品によって癒されている人が結構な数いるのだろうと考えるとあまり悪くは言えないなぁとか思ってしまう。
水曜日
・新・警視庁捜査一課9係season3(第6シリーズ) ☆☆
人気刑事ドラマの新シリーズ。『相棒』ほどではないが楽しめた。でも個々のヱピソードはあまり覚えていない。
・ブルドクター ☆☆
本筋の検視解剖にまつわるエピソードはわりとどうでもいいのだが役者の力で成立していた珍しい作品。特に石原さとみと稲垣吾郎が素晴らしかった。『流れ星』以降定着した吾郎ちゃんの薄気味悪い演技を見るだけでもこのドラマを見る価値あり。
・ろくでなしBLUES ☆
エグザイル版『マジすか学園』となるかと期待していたが、主人公の前田太尊がリーゼントではなく髭面で出てきた時点でアレ? って感じ。演出もコメディタッチでケンカシーンも迫力がない。原作に忠実にやれとは言わないが、オリジナルのコンセプトがないのならば原作のままやればよかったんじゃないかなぁ。これを見ると『ROOKIES』(ルーキーズ)がいかに原作を尊重したうえに出来がよかったか逆説的にわかる。
木曜日
・ 陽はまた昇る ☆☆
井上由美子が脚本を担当した警察学校が舞台のドラマ。ダメな要素が多い作品だが、その間抜けな感じが愛おしくて妙に憎めない。(例えば真矢みき演じる女教官の「貴様それでも~か!」みたいな台詞。『攻殻機動隊』の草薙素子を実写でそのまんま演じているような間抜けさがあった)
ユーストでは三浦春馬がいかにかわいいかという話で盛り上がりました。
・名探偵コナン 工藤新一への挑戦状 ☆
アニメとマンガで大人気の『名探偵コナン』の大人バージョン。でも天才高校生探偵が子供になって推理するから作品として成立したのに、それを大人にしたため本末転倒な展開に。実際ドラマでは陣内孝則演じる毛利小五郎がまったく必要ないキャラになっていた。
金曜日
・美男ですね ☆
同名韓流ドラマの日本版リメイク。滝本美織の男装以外はいいところがまったくない作品。いろいろなところに気を使いすぎたのが敗因か。ユーストではイケメンドラマにおけるドラマの扱い方についてホスト部と比較して喋りました。
2011年夏ドラマ(7~9月)について。(1)
長さ: 180:14
金曜日(ここからユーストでは(2)になります)
・ 桜蘭高校ホスト部 ☆☆☆
アニメ化もされた人気学園マンガのドラマ化。『荒川~』と同じくらいストーリーには起伏がないゆるふわドラマだが、こっちは不思議と悪い気はしない。ドラマの要素をばっさり切ってイケメン男子の戯れに徹したことが勝因なのか、今期のイケメンドラマの中では一番おもしろかった。
・ ジウ~警視庁特殊犯捜査係 ☆☆☆☆
黒木メイサの攻めのエロスと多部未華子のだらしない地味なエロスが交差するエロティック刑事ドラマ。作中の二人に対する視線が完全に親父目線なセクハラドラマ。しかもストーリーは突然国家転覆をもくろむテロ組織「新世界秩序」とか出てくる。良い意味で大味のB級ドラマ。
多部ちゃんとエロス。メイサとアクション。この二点を発掘した功績はとてつもなくデカい。
・ 勇者ヨシヒコと魔王の城 ☆☆☆
『33分探偵』の福田雄一が手掛けたドラクエ風脱力ドラマ。実写でRPGゲームのお約束をギャグにするという初期コンセプトはとりあえずクリアしている。ただ、そこで満足しちゃってるのがもったいない。
土曜日
・ ドン★キホーテ ☆☆
児童相談所職員の青年(松田将太)とヤクザの親分(高橋克実)の意識と身体が入れ替わったことから起こるコメディドラマ。日本テレビ土曜九時枠が描いてきた『ごくせん』的なヤクザ共同体と、『すいか』的なスローライフ共同体(児童相談所)を交互に描き、その中心に現代の病であるネグレクトや幼児虐待の問題を持ってきたコンセプトは面白かったのだが、ドラマ自体は淡泊だった惜しい作品。ユーストでは小林聡美の使い方が最近は偏りすぎでもったいないという話になった。
・ 金魚倶楽部 ☆☆☆☆☆
同名のケータイ小説をNHKがドラマ化。出演している役者に無名の人が多く、ケータイ小説+中学生日記という妙な生々しさを持った問題作に仕上がっている。『それでも、生きてゆく』が無ければ裏MVPになっていたかもしれない。ユーストでは話が大きくズレて、岩井俊二とケータイ小説を経由してAKB48が体現するリアリティについての話となった。
日曜日
・ 花ざかりの君たちへ2011 ☆
『花ざかりの君たちへ イケメンパラダイス』を前田敦子主演でリメイク。近過去の作品のリメイクということが悪い方に働いてしまった残念な作品。ただユーストでは再演としての完全コピーのリメイクには可能性があるのではないかと盛り上がる。
・ 華和家の四姉妹 ☆☆
柴門ふみの同名マンガを観月ありさ主演でドラマ化。日曜劇場という保守的な枠にしてはストーリ0や演出に凝っていたが、最終的には別の意味でトレンディドラマ時代の保守性が際立ってしまい時代とズレた作品。それとは別に観月ありさとは何者か? という話題がユーストでは盛り上がった。
2011年夏ドラマ(7~9月)について。(2)
長さ: 139:11
総評
作品としては圧倒的に『それでも、生きてゆく』が面白かったです。
それ以外の作品では『ジウ』『金魚倶楽部』が面白かったので、未見の方にはお勧めしたいです。
深夜ドラマに関しては玉石混交というか、明らかに残念な作品が多かったです。
本来自由度が高いはずの深夜ドラマの方がむしろ閉塞感を感じるのは、あまり良い傾向とは言えないかもしれません。もっともイケメンドラマ対決は『ホスト部』の圧勝でしたが。
それ以外の話題としては、『モリのアサガオ』『鈴木先生』を生み出したテレビ東京の月曜10時枠が終わってしまうのが残念です。
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2011年、秋の新作ドラマについて(視聴前)
(期待値を☆の数で表記しています。5つが最高点です)
とりあげたのは以下の作品です。(一部とりこぼしもあります)
月曜日
・水戸黄門 ☆
『水戸黄門』『渡る世間は鬼ばかり』『3年B組金八先生』と長期放送された名作が次々と終了している。しかもなぜかすべてTBS。
・私が恋愛できない理由 ☆☆☆☆☆
恋愛に不器用な20代の女性たちの姿を描く月9最新作。
主演は吉高由里子、香里奈、大島優子。
プロデューサーは『ラスト・フレンズ』『流れ星』の中野利幸。
数々のドSドラマで女優を開花させてきた中野P作品に満を持して大島優子が登場。
気持ちが重すぎて恋愛が長続きしない女を大島優子が演じるってだけで、ヤバい匂いがプンプンする。今年に入って『大切なことはすべて君が教えてくれた』『それでも、生きてゆく』と、異常におもしろくなってきているフジテレビドラマ。中野Pが切り開いてきた露悪ドS路線が他のフジテレビドラマに普及したからこそ、改めて中野Pの真価が問われる作品になるはず。
火曜日
・謎解きはディナーのあとで ☆☆☆
櫻井翔演じる執事と北川景子演じるわがままでおバカなお嬢様刑事が探偵役をつとめるミステリードラマ。
原作は2011年本屋大賞を受賞した東川篤哉の同名小説。
番宣で見る限り、北川景子のだらしない表情が萌え心をくすぐる。
黒木メイサがブレイクした今、同じくらい使いどころが微妙だった北川景子が、ここでブレイクするかがみどころ。
・HUNTER その女たち、賞金稼ぎ ☆☆
主演は米倉涼子。
いつものフジ火曜10時枠。
『逃亡弁護士』みたいな微妙な匂いがするけど、それが逆にたまらない。
・NHKドラマ ラストマネー ‐愛の値段‐(放送中) ☆☆☆
伊藤英明演じる保険会社の査定部に勤める男が主人公の保険金をめぐるクライムサスペンス。
NHKらしい完成度の高い職業倫理モノでミステリーとしても手堅い出来になっている。
・ビターシュガー ☆☆
新しいドラマ枠(『サラリーマンNEO』が放送されていた枠)
主演はりょう、和久井映見、鈴木砂羽。脚本は『てっぱん』の今井雅子。
女性の本音トークがさく裂するドラマらしいです。
・カレ、夫、男友達 ☆☆☆
江國香織の小説『思いわずらうことなく愉しく生きよ』を『ラスト・フレンズ』『八日目の蝉』の浅野妙子が脚本を担当。
主演は真木よう子、木村多江、夏帆。
恋に悩む三姉妹のドラマらしいです。NHKドラマで、真木よう子がどれくらいエロいシーンをやるのかが注目されてるが、個人的に注目しているのは夏帆の役どころ。清純派脱却なるか。
水曜日
・QP キューピー ☆☆☆
高橋ヒロシの同名マンガのドラマ化。
監督は三池崇史、脚本はNAKA雅MURAのVシネコンビ。
マンガ版の外伝的内容になっているヤクザモノ。
一話を見た限りでは映像はしっかりしている。
・家政婦のミタ ☆☆☆☆
主演は松島菜々子、脚本は『女王の教室』『曲げられない女』『リバウンド』の遊川和彦。
遊川と松島は『魔女の条件』以来のタッグ。
タイトルのとおり『家政婦は見た!』のパロディ的内容で、無愛想で冷酷そうに見える家政婦が崩壊寸前の家族の家に入り込み、次々と事件を解決していく話になるのではないかと思われる。
現在のところ細かい情報が出ていないのが『女王の教室』を思わせて、遊川らしい問題作になるのではないかと期待。
・相棒season10 ☆☆☆☆☆
水谷豊演じる特命課に勤務する窓際インテリ刑事・杉下右京が主人公の人気刑事ドラマ、待望の10作目。まぁ、鉄板でしょう。
・テレビ東京 水曜ミステリー9 ☆
単発ミステリードラマ枠。
木曜日
・秘密諜報員エリカ (放送中) ☆☆☆
栗山千明演じる元スパイの専業主婦が、昔の仲間に頼まれて事件を次々と解決。
栗山千明が女スパイってだけで、ごはん何杯でもいける。
日本のアクション女優には栗山千明という最終兵器がいた!! 黒木メイサと戦ってほしい。
・ランナウェイ 愛する君のために ☆☆
市原隼人主演の脱獄モノ。脚本は『パッチギ』『モリのアサガオ』で知られる羽原大介。
・蜜の味 A Teste Of Honey ☆☆
主演は榮倉奈々と管野美穂。
脚本は『四つの嘘』『セカンドバージン』の大石静。
大石が得意とする女のドロドロをドライブ感全開でテレビドラマならではの通俗性を発揮できればヒットするのではないかと思う。
・DOCTORS 最強の名医 ☆☆
沢村一樹主演の医療ドラマ。脚本は『ガリレオ』『龍馬伝』で知られる福田靖。
今までフジの職業モノで当ててきた福田靖がテレ朝の職業モノをやる時にどのような化学変化が起きるのかが興味深い。
・捜査研の女 ☆
沢口靖子主演の法医学研究員を主人公にした刑事ドラマの新シリーズ。
金曜日
・専業主婦探偵~私はシャドウ ☆☆☆
深田恭子演じる専業主婦が探偵として活躍するドラマ。
脚本は『ハケンの品格』『ナサケの女』の中園ミホ。
プロデュースは『木更津キャッツアイ』『うぬぼれ刑事』等のクドカンドラマで知られる磯山晶。
演出も、クドカンドラマで磯山Pとよく組む金子文紀。
原作は粕谷紀子の『私はシャドウ』。主題歌をPerfumeが担当することも話題になっている。
・怪盗ロワイヤル ☆☆
大ヒットモバゲーのドラマ化。主演は松坂桃李、大政絢、副士誠治。
どうなるかわからないダークホース。
これが成功したらモバゲードラマが増えるかもしれない。
・11人もいる! ☆☆☆☆
宮藤官九郎が『未来講師めぐる』以来、久々に金曜ナイトドラマに登場。
神木隆之介が主演の大家族ドラマ。十人家族の中に一人幽霊が混ざっているコメディになるらしい。
TBSの金曜ドラマとは一味違うクドカンドラマになるのではないかと期待。
広末涼子が元ストリッパーの幽霊役を演じる。
・ここが噂のエル・パラシオ ☆☆☆
佐藤江梨子主演の女子プロレス団体が舞台のドラマ。
インタビュー集『1993年の女子プロレス』やノンフィクション『1985年クラッシュギャルズ』(共に著者は柳澤健)が刊行され、にわかにブームが再燃しつつある女子プロレス。
同じ女子プロレスを題材にした『マッスルガール』が残念な出来だったので、ここでリベンジをはたして、女子プロレス・ブームの先鞭となってほしい。ちゃんと見せ場としてのプロレスを描ければ大丈夫なはず。
土曜日
・妖怪人間ベム ☆☆☆☆☆
あのカルトアニメが、まさかの実写化。
人間になることを求めて三匹の妖怪人間が悪の妖怪と戦うヒューマンドラマ。
主演は亀梨和也、杏、鈴木福
脚本は『怪物くん』『TIGER&BUNNY』の西田征史
プロデュースは『野ブタ。をプロデュース』『銭ゲバ』『Q10』の河野英裕。
『銭ゲバ』→『怪物くん』と続いたリメイク・ダークヒーロー路線の決定版となるか?
・神様の女房(放送中) ☆☆☆
松下幸之助の生涯を奥さんの視点から描いたNHK土曜ドラマ。全三回の放送で現在第一話が放送中。
主演は筒井道隆と常盤貴子。
常盤貴子の良妻っぷりをみるだけでも価値あり。
日曜日
・南極大陸 ☆☆☆
木村拓哉主演の超大作。 南極観測隊の冒険を描くことで戦後日本のもっていた前向きな強さを描きたいという「がんばろう日本」を体現するドラマ。『華麗なる一族』に続くキムタク戦後歴史ドラマ路線。まぁ、滅多なことがない限り高視聴率は間違えないだろう。
少し気になるのが綾瀬はるか、仲間由紀恵、芦田愛菜といった女優がどうやって登場するのか。南極探検隊の話という性質上、そうとう無茶な出し方しかできないと思うのだが。
・僕とスターの99日 ☆☆
主演は西嶋秀俊とキム・テヒ。世界的なスターを護衛するボディーガードの話。
韓流人気を当て込んで作られたのだろうが、フジテレビのデモが起きてしまったために
逆境に立たされてしまった不遇の作品。ただでさえ裏が『南極大陸』なのに。
・バラ色の聖戦(放送中) ☆☆☆
31歳の主婦がモデルに挑戦するファッションモデル版『ガラスの仮面』。
主演は吹石一恵。おもしろかったのだが、短いのが残念。あと三話ぐらいみたかったかも。
・俺の空 刑事編 ☆☆
本宮ひろ志の人気マンガの映像化。主人公の安田一平役を新人オーディションで選んだりと、気合が入っている。テレビ朝日の深夜枠ということもあり、『サラリーマン金太郎』と『特命係長只野仁』
を足して二で割ったようなエロとバイオレンスてんこ盛りの大人向けドラマになるのではないかと期待している。
朝ドラ
・カーネーション (放送中) ☆☆☆
ファッションデザイナー。コシノジュンコの母親、小篠綾子の生涯を描いた朝の連続テレビ小説。
主演は尾野真千子。脚本は『ジョゼと虎と魚たち』『その街のこども』で知られる渡辺あや。渡辺は今まで映画や単発ドラマは書いてきたが、連続ドラマは初。連続ドラマの脚本家でさえ、苦しむ朝ドラを渡辺がどう描くのか。現在、第一週目が放送中だが、台詞だけ追ってもわからない映像に重点が置かれた作品になっている。これがドラマとして吉と出るか凶と出るのかは、まだわからない。個人的には感心するのだが、見ていて疲れることも確か。
総評
本命『私が恋愛できない理由』『妖怪人間べム』
対抗『11人もいるっ!』という感じでしょうか。
(まぁ、視聴率では『南極大陸』と『相棒』の対決でしょうが)
中野利幸、磯山晶、河野英裕という、今のドラマを代表するプロデューサーが登板しているのも見逃せないところですが、深夜ドラマの粒もそろっていて、意外なダークホースが現れるかもしれません。ユーストではより細かい分析をいろいろな所に話が飛びながら展開しています。
お時間のある方はどうぞ。
2011年、秋の新作ドラマについて(視聴前)
長さ: 86:30
以上です。今期のドラマを見るときの参考にしていただけたらと思います。
それでは、成馬零一が独断と偏見でもって選ぶ新作ドラマ予想でした。
また次回をお楽しみください。