北海道羊蹄山への山アテ道路
『山アテ通り』って何?
これは道路を設計する際に、直線の延長上に周辺の山を配置して道路の方向性を決める技法のことです。
道路周辺の建物、街路樹などの風景が山を焦点として一点に集中するため、美しい景観となります。
北海道では、明治政府が北方の守りを固めるため急ぎ開拓したため、各地に山アテ道路があります。
最新の測量技術、機器もない条件で、原生林の中に道路を作らなければなりませんでした。
その時にとられた手法が、周囲の山に軸線をあてて道路の位置を決めて開削を進めた『山アテ』でした。
そのため、写真のように見事な景色が今に残っています。
これは『100年前の技術者からの贈り物』と呼ばれる美しい景観です。
『山アテ道路』、実は日本各地にも存在します。
国立駅南口に富士山の山アテ道路、富士見通りがある
この写真は東京都国立市の国立駅、南口駅前広場から伸びる富士見通りを眺めた風景です。
周囲に高いビルが多くなっており、電線が視界を邪魔しますが、夕景に浮かぶ富士山が望めます。
この富士見通りが、山アテ道路です。
実は、関東各地に富士山への山アテ道路があります。
有名なのは、現在の日本橋室町のCOREDO2とCOREDO3の間にあり、その先は三越本店と三井住友銀行日本橋本店の間にある通りです。
日本橋室町の富士山「山アテ道路」
通りの先にはお堀があり、その向こうに江戸城とその後ろに富士山が挑めた山アテ道路でした。
安藤広重が連作浮世絵集『名所百景』の作品『する賀てふ』はこの通りを題材としており、通りの先に見える富士山が描かれています。
残念ながら、現在は高層ビルが邪魔をして富士山は見えなくなっています。
一般的に中心部から東側は筑波山に、西側は富士山にアテられている道路が多いようです。
『富士見坂』『富士見街道』といった地名が名現在も、東京西側に多くあります。
現代の都市景観と調和した現代風『山アテ景観』」のスポットがありそうです。
mayfly