可哀想なオトナたち

  by はむ  Tags :  

とりわけカルピスの『カラダにピース』、コスモ石油の『ココロも満タンに♪』が、秀逸なキャッチコピーだと感じている。この二つほど世間に浸透していないが、個人的に世話になっている、松屋フーズの『あなたの食卓でありたい。』なんかも、現在ひとり暮らしをしいられている私にとっては“あたたかみ”の感じられるフレーズで、わりと好きだ。

 

キャッチフレーズの類には当てはまらないけれど‥‥ナッツ姫、人によっては『ナッツ・リターン姫』。誰が最初に名づけたのだろう。無論、昨年末に騒動を引き起こした某国某社の令嬢を指しているのであるが、聞きようによってはなんだかとても愛らしい響きではないか。コトのなりゆきを(実像も)知らない子供などは、きっと可愛らしいお姫様の画を連想させること請け合いだ。

 

“つまようじ”少年

 

スナック菓子につまようじを混入させた等の容疑で18日、滋賀県内で身柄を確保された19歳の少年。大衆を不安に陥れた彼の罪は重く、同情する余地はない。それにしても、この呼び名はないだろう。まるでセンスがない。あざといネームを命名し、そもそも一連の事件を報道をしてきたオトナたちの方に、筆者はより憤慨しているのであった。

 

同事件を取り扱ったものでは日テレの『バンキシャ』、フジの『Mr.サンデー』を逮捕された当日に視聴したが、特に後者の内容は目に余った。いいオトナたちが、まがりなりにも報道番組の中で少年のことを「かまってちゃん」などという。‥たしかにそういった部分もあっただろうが、彼が主張していた少年法の類には一切触れず、上から目線で「可哀想」呼ばわりをする。私から云わせてみれば、そんな見方しかできないステージ上のオトナたちの方がよほど“可哀想”に映った。

 

仕方に問題があったとはいえ、彼が動画を通じて訴えていた発言も一理ある。先日、私が入手した書物がくしくも『少年法』にも提起した内容のものだった。本の中で登場した少年は強盗殺人という凶悪な犯罪に手を染めながら、当時まだ16歳にも満たなかったため、わずか一年余の少年院生活を得て社会復帰。それから十数年後、成人となった“元少年”は世を震撼させるほどの事件を、ふたたび犯してしまう—

 

 

 

あのとき、また違った判決がくだされていれば、ひょっとしたら『第二の事件』は起こらなかったのかも知れない。そうした根本である法の部分を見直す、良い機会でもあるはずなのに、ただ“可哀想な少年”として片づけられてしまう。本当に無能なのは警察ではなく、実はあの場にいたオトナたちではなかったか。事件もそうだけれど、当該番組をみながら、私は益々やりきれない気持ちになった。

 

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