舞浜新聞報! ディズニーリゾートの光と影 リゾート内のショー出演者らで「オリエンタルランド・ユニオン」結成される

  by ideyukiya  Tags :  

日本最高峰のリゾート地である東京ディズニーリゾート。日常生活を忘れさせてくれる夢と魔法に、訪れた事のある者なら心を奪われてしまうだろう。十三年度の来場者数は三千万人を超え、その地位を不動のものにしている。

そんな”夢の国”において気になる出来事がある。舞浜新聞によると、来場者の立場では伺い知ることのできない実態が垣間見える

 リゾートにおける雇用の実態

今年二月三日、ディズニーリゾートで働く非正規雇用者ならば誰もが加入できる「オリエンタルランド・ユニオン」という労働組合が結成された。この組合は千葉県なのはなユニオンの支部にあたる。ランドやシーで働くパフォーマーやオリエンタルランド内のカフェの従業員も加入できる。キャストとして働くアルバイトやパートタイマーのみならず、リゾート内でのショーに出演するパフォーマーも同じ組合員としての活動が可能になったのだが、この裏に驚きの実態が隠されていた。

今回、オリエンタルランド・ユニオンを結成した方のほとんどが、これまで東京ディズニーリゾート内のショーに出演してきたパフォーマーでした。彼らはオリエンタルランドと直接、雇用契約を結んでいたわけではなく、誠和企画という会社と契約していました。誠和企画とは、オリエンタルランドから東京ディズニーリゾートのエンターテイメントプログラムの運営業務を請け負っている会社です。また出演者の派遣も行っています。ランド開園から間もない1983年6月に作られた会社で、設立当時からショーやパレードの運営を行っています。では、なぜ今回そんな誠和企画と契約していたパフォーマーが、独自の労働組合を結成することになったのか。それは今年になって突然、誠和企画から「雇い止め(解雇)」を通告されたからです。彼らはこれまでレギュラーショー*1スペシャルイベントに長年出演してきました。中には17年間も出演してきた方もいます。これまでパフォーマーたちは誠和企画と1年ごとに契約を結んで働いていました。しかし、ショーのリニューアルを行うことになり、これまで誠和企画が請け負ってきたシーン*2がカットされることになったのです。そのため、そのシーンに出演していたパフォーマーたちが、今年3月31日と4月6日をもって雇い止めされるという結果になりました。

 

とのこと。

この誠和企画から突然解雇通告を受けたために、独自の労働組合であるオリエンタルランド・ユニオンを結成したのだ。これまで、彼らは誠和企画と単年契約を結び働いてきた。しかし、ショーのリニューアルのために誠和企画の請け負うシーンがカットとなってしまった。それ故、彼らにとって正に寝耳に水の解雇通告を言い渡されてしまったのだ。

来場者の夢は誰が守るキャストは誰が守るべきか?

オリエンタルランド・ユニオンを結成したパフォーマーは非常に弱い立場で働いていた。舞浜新聞によれば、彼らは誠和企画と請負契約を結び、個人事業主という立場で働いている。にも関わらず、彼らは自由な演技が許されずリゾート側の指示の下で演技指導を受けていた。雨天時でショーが無くなった際の補償もなく直接雇用でないため怪我を負ってしまっても労災がおりない。また、ショーに出れるパフォーマーをオリエンタルランド側が決めており、これは偽装請負ではないかという声もある。

来場者の期待と夢を守るのは、パフォーマーであり現場で働くキャスト一人ひとりである。しかし、そんな”夢の国”で働く彼らが自ら立ち上がり組合を結成したという事実はその点を顧みない運営がされている事を伺わせる。オリエンタルランドに関わらず、昨今巷を騒がせる”ブラック企業問題”の側面には現場を支える従業員の人件費を他の経費を削る様に削減する実態がある。

オリエンタルランド・ユニオン結成は、お客様を守るために優先すべきは何かという企業の倫理が問われる時代であることを浮き彫りにする出来事である。

 

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