・消費税増税後の戻らぬ国民の消費マインド。
・欧州を始めとする世界経済の下落懸念。
・エボラ出血熱の世界的感染による心理的マイナス。
・閣僚辞任や野党からの問題追及による安部政権の支持率低下。
これらを含む複合的要素で、大幅な下落と共に値動きの荒い動きを見せていた「日経平均」
そんな中、昨日は月末と週末が重なる、いわば閑散相場が想定される日のはずであった。ところが、後場に入り日銀・黒田総裁が「金融政策決定会合」に於いて「追加の量的緩和策」実施を発表。
そこから日経平均は一時800円高まで上昇し、16,413円で大引け。為替も112円台に突入した。
どちらも約7年ぶりの高値・円安水準だ。
GPIFがポートフォリオの株式の割合を50%に上げ、
国内株式も25%とすることを発表していたことも併せて高値を追う動きになったのではないかと推測する。
外国人投資家や機関投資家達にとってもサプライズであった様で、後場はまさに「買いが買いを呼ぶ」相場になった。
「金融政策決定会合」では5対4のぎりぎりの追加緩和賛成票で、決定したようで、まさにこの薄氷を踏む攻防がサプライズに繋がったものと解釈している。
また、以前の記事でも書いたが、安部政権はまずもって「景気優先色の強い」政権でもあったため、最近の野党やマスコミの攻撃による、これ以上の「政権支持率」の低下を防ぐこと「政治の停滞を防ぐ」狙いもあったのではないかと推測している。(表向き日銀は政府から独立した存在ではある)
先にも述べたが週末と月末が重なり、三連休も挟む中、短期的なインパクトとしては効果的な「追加緩和」発表であった。世界経済も欧州、アメリカと大幅に株価を上昇させており、日本経済の影響力が依然として大きいことを示している。
今後は、中長期的な観点から、このカンフル剤としての緩和策の効果を有効に持続させていくことが重要になってくる。
株高に依る企業収益の良化で、賃金上昇にまで漕ぎ着け、今回の緩和策で、国民の景況感アップ、消費マインドの回復を図らねば、再び堂々巡りにならざるを得ず、カンフル剤としての「緩和策」の効果も徐々に薄らいでいってしまう。国民個人にまで、マネーの循環を良くするためにも、政府・財界主導で、再び賃金を上げていく方策を打ち出していかなければ、真のデフレ脱却は遅々として進まぬであろう。
このチャンスを逃さないための、官民一体の姿勢が問われている。
(文中 敬称略) 写真は 足成 http://www.ashinari.com/ より