睡眠を減らして時間を稼ぐ!

  by Takehito Sonoda  Tags :  

 知っておきたい大切な「睡眠」のこと

他人よりもエネルギッシュに生きる

現代はやらなければいけないことが目白押しである。
仕事はもちろんのこと、人並み以上に遊びたいし、映画も観たいし、本も読みたい。
あれもしたいこれもしたいとなると、その時間をどうやって作り出すか頭をヒネる。

この悩みの一助となる方法が「短眠法」である。
ストレスや不安などを抱えている人は、もっと眠らなければならないという欲求を持っているが、実は精神状態が穏やかで安定している人ほど、少ない睡眠時間で大丈夫という人が多い。
実際において、睡眠時間の量というものは、私たちが思い込んでいるほど絶対的なものではない。
睡眠量の良し悪しを決めるのは、睡眠時間の長さよりも「質」にある。
ようするに、睡眠は「量」よりも「質」が大切なのだ。

睡眠時間を短縮するというプログラムは、必然的に自分のライフスタイルを見直すことにもなる。
今までの習慣を否定することから、今後、自分がどう生きるかを考え直す絶好の機会とも言えると思う。
そのためには固い決意と動機が必要であるし、自制心も強くなければならない。
睡眠時間を減らすことによって時間を作り出せるようになると、もっと色々なことをしてみたいという意欲にもつながると思う。

睡眠時間を減らすための「動機」

睡眠時間を減らすことが可能かどうかは、「動機」によっても違ってくると思う。
眠ることはある種の欲求なので、どうしても起きなければならないという特別な理由がなければ、朝早く起きるのにも辛く感じてしまう。
そのときの動機によって、眠りに対する態度が左右されるのは誰でも経験していることである。

ある博士は睡眠に対してこうコメントしている。
「ダイエットをしている人が食事の量を減らすのと同じように、誰でも睡眠時間を削ることは可能である。しかし、どうしても睡眠時間を減らしたい、起きてこれをしなければならないという気持ちがなければ無理だと思う。どれだけ睡眠が必要かという言い方でなく、どれだけ起きていられるかという考え方が大切だ。起きていようとする動機、起きていたいという気持ちがあれば、必然的に睡眠時間は減るのである」

睡眠時間を減らすことで儲(もう)かる「時間」

ここでいくら「睡眠時間を減らせ」と訴えたところで、では実際にどれくらい睡眠を減らすことが可能なのか?
八時間睡眠の人ならは、大体一時間か二時間くらい減らせれば適当だと思う。
もっと徹底的にやりたいという人があれば、それ以上減らすことも不可能ではない。
しかし、大抵の人は一日に三十分余分な時間が増えるだけでも大助かりだと感じるだろうから、その時間を使って語学の勉強をするも良し、また楽器の練習にはげむのも良し、あるいは以前からやりたいと思っていた趣味を始めるのも良いと思う。
そしてこのような時間を一日に一時間半作り出せば、一年で五四七時間になる。
これは一ヶ月分の起きている時間に相当する。
この計算から、およそ十二年ごとに一年緒余分な時間が出来ることになり、もし一日に二時間睡眠を減らすことが出来れば、九年ごとに一年分得をする勘定になるのだ。

四つの眠りのプロセスと「REM睡眠」

睡眠のプロセスを簡単に説明しようと思う。
まず床につき、全身の筋肉がゆるんでくると、頭がぼんやりしてくる。
そしてある瞬間、急に眠りに落ちる。
眠りというのは少しずつ始まるものではなく、ほんの一秒ほどの間に急に訪れるものである。
「急に意識がなくなって、猛烈な速度で伝達しあっていた脳細胞が、一時的に待機の状態になるような感じ」、これが眠りの第一段階である。
そして体温が少しずつ低下し、呼吸と心臓拍動が遅くなり、筋肉がゆるんで血液中の糖が増える。
およそ十五分後には、この第二段階へと移っている。
眠りについてから三十分ほどして、眠りも第三、第四段階に入ると、それまでとは違う傾向が表れる。
いわゆる「深い睡眠状態」なので、起こすことが最も困難な時間となり、「現実」の世界から離れているため、起こされて気が付くまでに数秒かかるのである。
また、第四段階の睡眠状態にある子供を起こして、完全に目覚めさせるには数分の時間を要することもある。
夢中歩行が生じるのも、寝言を言うのも、この第四段階であると考えられている。
このときの呼吸と心臓拍動は非常に遅い。
そして深い眠りの状態になってから三十分後、つまり眠り始めてから一時間後に逆転が生じる。
ここで再び第三段階、第二段階へと戻り、その次はそれまでとあまりに異なるため、専門家の多くは、睡眠には二種類の眠りがあると考えているようだ。
その次の段階に生じる眠りというのは、呼吸や心臓拍動が増え、血圧まで上がって「逆説睡眠」と呼ばれることが多い。
胴体および腕や足の筋肉は力が抜けて麻痺(まひ)したようになっているが、顔や手はピクピクと動くことが良くある。
この段階の眠りは一種の興奮状態にあり、目がすばやく動いている睡眠、すなわち「REM睡眠」と呼ばれている。
そしてこの段階以外のすべての眠りを「non-REM睡眠」という。
このことから、人が眠りについてから、第一、第二、第三、第四、第三、第二、REMと段階を一巡するまでのかかる時間を計算すると、七〇分から一一〇分ぐらいとなり、平均すると睡眠は約九十分サイクルで成り立っている。

※このREM睡眠時に起きると、快適に目覚めることが出来るという説もあるが、睡眠状態は個人差が激しいため本当なのか疑わしい。
そして「睡眠九十分サイクル」説も、あくまで平均として導き出した時間なので、REM睡眠時のタイミングで起きることは困難である
ここでの説明はあくまで「睡眠にはこういったプロセスがある」ということを、ご理解して頂くだけで十分だと思われる。

無理なく減らす時間は「三十分」

これは非常に大切なルールなので、必ず覚えておいてほしいことなのだが、私たちはいきなり二時間睡眠を減らしなさいと言っている訳ではない。
長年の間なじんてきた睡眠パターンというのは身についてしまっているから、急にそれを変えようとしても、ただ疲れるだけで絶対に上手くいかない。
このプログラムの前提となっているのは、睡眠時間を少しずつ減らすことによって、心と体に順応期間を与えるということである。
まず、睡眠は三十分単位で減らすべきだと思う。
例えば今までの睡眠時間が八時間なら、まず七時間半から始めて様子を見る。
十五分ずつ減らすというのは少なすぎて実践的ではないので、やはり三十分ずつが最も適当であると考える。
また年代別にも考慮し、短くする感覚をあくまで自分のペースで探ることが大切である。
最初にも述べた、睡眠は「量」よりも「質」を重視した方が良いため、まずは疲れを感じない、無理をしない程度に減らしていくのが適切だと考える。

参考文献:「眠りを減らせ!」エベレット・マットリン/竹村健一訳 三笠書房
写真引用元:http://photopin.com

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