去る9月1日、僕の無職生活が一周年を迎えました。
当然ながら誰一人として祝ってくれるはずもなく、虚無感と焦燥感に駆られながらも知らないフリをして「魚肉ソーセージはどれが一番美味しいか」を考えていました。
しかし、コンビニやスーパーの店員以外は誰とも会話を交わしていないこと、着実に減っている預金残高のこと……逃れられない厳しい現実が確かにそこにあることを、内心切々と感じています。
何でもいいから働いて、社会復帰をしなくては。
働いて得られるのは、何も金だけではありません。規則正しい生活や人との触れ合いが、人間らしい生活を送れる様になることが、何よりも大切なものなのです。金のために生きているのではなく、生きるために金が必要なだけ。無職の今だからこそ、より一層そう思います。
だが果たして、一年もの間、実家やアパートや東南アジアやメキシコでのんべんだらりと自堕落に過ごしていた無職が、ニートが、三葉虫にもアオミドロにも劣る生物が、すぐに社会復帰出来るのでしょうか? クロレラは健康食品として活躍していますが、無職は果たして? ゴキブリは小さな虫の駆除をするそうですが、無職は果たして?
たとえばケガをしたプロ野球選手はトレーニングをこなしながらじっくりと治療して(いるイメージを僕は持って)ますし、ケガをした相撲取りはテーピングだらけで加工肉の様ですし(国技を侮辱するのはやめましょう)、悪い事をした芸能人は引退です。でも漫画家は復帰出来る不思議。だからって罪は罪です。
と言うわけで、現状打破のため、まずは手始めとばかりに派遣社員(労働者)として働くことに決めました。
僕を含めてたった3人の登録会(ヘンな壺や水を買わされそうな空気でした)の翌日。早速、運送会社の倉庫の棚卸業務に行って参りました。
職場に着くまでは、あの『タカラトミー』の製品を扱うと聞いていたので、てっきりコンベア上を延々と流れてくる製品を延々と検品でもするのかと思っていました。
「おしゃべりピカチュウがちゃんと「ピカチュウ」って鳴くかどうかチェックするのかな。プリキュアのおもちゃがちゃんと光るかチェックするのかな。リカちゃん人形のキューティクルは今日もばっちりかチェックするのかな。僕は人生ゲームでちゃんとゴールできるかな。見せて貰おうか、タカラトミーの製造ラインとやらを!」と言った具合に。
さて、実際に仕事に就いた印象としまして、あの業務内容は、あれは、良いものでした。
大まかに分けて以下3つの作業をローテーションで行いました。
【1】特殊な端末を使って伝票のデータ入力
【2】印刷した伝票の貼り付け
【3】検数サインの有無・実数と伝票の差異チェック
作業自体は、どれもとても単純なので簡単。(日雇いの仕事なので当然のことですが。)
しかしそれ故に、「こんな退屈耐えられない! 死ぬ!」って方もいるかも知れません。
環境の方はどうだったかといいますと、社員の方々は親切丁寧で、些細な質問やしょーもない質問にもしっかりと答えてくれていましたし、失敗を叱責している場面も見掛けませんでした。
仕事中は立ったりしゃがんだり歩いたりを繰り返すので、適度な運動にもなりました。
休憩時間にはコーヒーを飲みました。二度も飲みました。父さんとも飲んだことないのに。
職場の倉庫も休憩中に使用した建物も、清潔にして空調は完璧。そして何より、久しぶりの人との触れ合いで、内にこもりがちだった気持ちも外を向くようになりました。
それにしても、こんな無職が触った品物が市場に出回ることになるとは。
トイザらスキッズもおやごさんたちも孫を溺愛するおじいちゃんおばんちゃんも、露とも知るまい。世の中を底辺から浸食してくれる!
※あぶないから よいこは まねしないでね! いいおとなは まねしたら じこせきにんでね!
最後に本当の事を申しますと、TSUTAYAの面接に落ちまくっていて(現在三連敗中)、短期の仕事をしながらしつこく面接を受け続けようって魂胆なのです。もうじき26歳になるのに接客業ほぼ未経験の1年間ニートな眉毛濃いヤツが面接に来たら、誰だって落としますね。出オチキャラは一目見ればそれで充分なのです。
それともう一つ。僕が昨日働いた職場は他の方が言うにはかなり良い所だったらしいので、あくまで参考程度と言うことで宜しくお願いします。
結論:無職は派遣に成り得た。