飽くなきクラフトアートへの探究心と真心。それが【中島あしゅら】の創作魂。

【クラフトアート】という分野は、手作りによる工作物の総称を指す。

近年その種類は多岐に渡り、手芸品や民芸品、雑貨などを始めとして膨大な商品が存在している。

モノ作りのインディーズである家内制手工業はもはやビジネスとして成立し、自身のD.I.Y精神の発想と行動力で大手の雑貨店にも提携できるほど、作り手(生産者)のチャンスは増えている。

この現況を推察すると、かつては観光地のお土産として際立った存在だったこの分野が、都市部の量販店を基点とする杓子定規なアイテムに飽き足りた一般消費者のニーズや『オンリーワン』としての需要が追いついた環境が普遍的になったと個人的に感じるところがある。そう、買う立場に立ってみると本当に目移りするぐらいそのアイテム量は豊富なのである。

 

今回取材させていただいたのは、皮革製品に表現という彩りを添えてオリジナルアイテムを生産し続けている1人の女性である。

 

彼女の名は【中島あしゅら】という。

1977年・愛知県出身のアーティストであり、皮革製品のオリジナル・ブランド『H la gauche』(読み方はアッシュラ・ゴーシュ)のオーナーとして日夜創作に勤しんでいる。

その奇抜な名前とは裏腹に、実際お会いした第一印象はとても天然でほんわかとしたオーラの漂うキュートな女性だった。

 

さっそく皮革製品を対象としたモノづくりに対する概念や、きっかけなどを聞いてみた。

 

Q.いつから創作活動をされているんですか?

A.物心ついたときからなんかしら作ってた。販売に至るまでを[活動]と呼ぶのであれば確か二十歳。

 

Q.そのきっかけはなんだったんですか?

A.絵が好きで、絵描きの父が描いた絵の表面に触れるのも好きだったんですが、個展や美術館で飾る絵画に[触れないよう]との注意書が常にあるのを見て[絵描きが描いた絵を手垢で汚す楽しさ]を伝えたくなったんですよ。革は一番勝手がいいと思うのでメインに使ってるけど、革職人には興味がないのでサブの素材は色々使っています。

 

Q.なるほど。ではモノ作りに対するこだわりを教えてください。

A.そういですね……デザイン関しては使い勝手より手前勝手かな。職人のような勤勉さと正確さで、アーティストのような奔放なもの作りができるようになるのが理想なんです。動植物に対する畏怖や敬意の念を忘れずに形にする =[生き物の皮膚だった]ことが伝わりやすい質感、あるいはデザインを心がけています。不要なコーティング材は可能な限り使わず、 端切れも余さず形にする方法を見つける。そして良質を謳う革は使わないこと。そういう素材は触り心地も使い勝手もいいけれど、あまりに利口で、てかてかしてて味気ないから。あと、男の言う『長年の愛用』に耐えられるほどの普遍性は無いが、『女の移り気に応える程度』のデザイン性と耐久性は備えております。裏地には紙衣(かみこ)を使用。 紙衣とは、和紙に蒟蒻糊を含ませて石灰で煮ることで、着物や帯に仕立てられるほどの強度を持たせた紙です。上記工程を二度行うことで、皮革の強度に見合う張りとしなやかさが得られるので、最近はデザインの一部として表面にも利用しています。 越前和紙とかバナナやココナツの繊維で作ったのとか、いろんな和紙を自分で煮て作るんです。ベジタンニンレザー(所謂ナチュラルレザー)との材質&デザイン相性が抜群に面白い!と思っているので、目下研究中だったりしますが。

 

Q.革って購入後の手入れが面倒なイメージがありますが、愛用していく上でコツとかあるんですか?

A.そうですね。手入れのつもりでオイルばっか補充して仕舞い込んでるとるとカビが生えます。使い倒せば持ち主の形に馴染みます。基本的に手のひらの油分で充分なのでまめすぎるオイルケアは不要。染みはその部分だけどうにかしようとせずにグリセリン入りのレザーソープでまるごと洗うといいですよ。鞣し革が使用経緯によって色を変えていく様を[エイジング]という言葉で表現しますが、ナチュラル、ケミカルに関わらず、染みや傷もそのひとつだと思って愛情持って使うことが、革、およびその他素材を利用する上での、ひとつの[ケア]だと思っています。

 

Q.ありがとうございます。1つ勉強になりました。せっかくなので他にも中島さんの創作雑貨があれば教えてください。

A.イラスト、ライブペイント、粘土や樹脂、木の実などを使ったアクセサリー、製本なども創っています。

リストバンドなんかもありますよ、ほら(と写真を見せる)↓↓↓

Q.コレはユニセックスですか? サイズは?

A.わたしはメンズっぽいのは全然作れないんですが(苦笑)、これは唯一メンズサイズも作ったんです。これはアルミ製のと真鍮製のとあってね。ロジャーさん、おひとついかがですか?(笑)

 

Q.是非検討させていただきます(笑)。本日はありがとうございました。

A.はい。ご注文お待ちしております☆

 

 

余談だが、筆者はシルバーアクセサリーを始め、アジア雑貨やハンドメイドの収集癖があったりする。

今回、このリストバンドの写真に見入り、目下彼女のホームページを閲覧中だ。

 

表現は何も文章や絵画、音楽だけのものではない。日用品に対しての創作に愛情を注ぎ、感情を与え、そこに独自の感性を転写することもまた表現そのものであるのだ。

 

興味があったら、是非下記サイトを覗いていただきたいと思う。

 

そこには唯一無二の【中島あしゅら】の世界が、こだわりが、存在しているのだから。

 

オフィシャルHP     http://hlagauche.tumblr.com/

Shopページ      http://hands-gallery.com/shop/hlagauche

 

作家。著作は2011年6月に処女作『奈落レアリスム』 12月に2作目『薔薇薔薇の石油』を相次ぎ発表。 2012年5月に3作目『接吻奇談』を発表。 2014年2月19日、1年余のブランクから復活し、契約を締結した電子書籍レーベル【インディーズ文庫】より『電池切れパラドックスとエレクトリックシティの涙腺』が新作長編小説として出版される。瞬間恋愛を軸に夜がしっかり抱き締めてくれる鮮烈なラヴストーリーがついに世に放たれた。 常に畏敬の念を抱き続けるのは、ウィリアム・バロウズ、L=F.セリーヌ、そして中島らも。奥山貴宏にも影響を受けている。 27から本格的に書き続けてきた布石が、紆余曲折を経て再度の執筆意欲を掻き立てることになった。執筆以外の活動は2013年10月~2014年3月まで全国78局コミュニティFM番組『この場所から』のラジオパーソナリティを務めた。

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