夫の死から57年後に死亡通知を受け取る‐韓国

  by パンダさん  Tags :  

 『世界仰天ニュース』に出てきそうな出来事が起こりました。入隊した夫の死の知らせを57年後に国から伝え聞いた妻が、国から損害賠償を受けることになったのです。

 朝鮮戦争が終わった翌年の1954年に夫と結婚したチョンさん(現在80歳)。しかし、新婚の甘い夢は長くは続きませんでした。軍徴集令状を受けた夫はチョンさんのお腹の中に新たな命だけを残したまま、結婚1年で入隊してしまいました。夫婦はまだ婚姻届も出していませんでした。

 チョンさんは、夫が帰ってくる日だけを指折り数えて待ちながら一人で子供を生みましたが、夫は3年が過ぎても何の連絡もありませんでした。チョンさんは、1959年に仕方なく一人の子供の出生届を出し、夫が戻ってくることを信じて婚姻届まで提出しました。そして再び10年間待ちましたが、夫は帰ってきませんでした。家族は陸軍本部に夫の行方を尋ねましたが、「夫の名前を持つ人はいない」との回答でした。すべての希望を失ったチョンさんは姑と相談して、夫の死亡届を出しました。

 しかし、夫はすでに死亡した状態だったのです。チョンさんの夫は入隊してから1ヵ月あまりで呼吸器系の感染症にかかって亡くなっていました。
 
 夫の死の知らせが家族に伝わらないのは、担当の軍関係者のミスでした。担当者は、兵籍簿に夫の名前のつづりを誤って記載しており、生年月日もでたらめでした。

 死亡届を出した後も夫の行方を探し回っていたチョンさんは、2012年になって陸軍参謀総長から「夫が殉職した」という返事を受けました。 21歳の青春の夫と別れたチョンさんは、すでに八十を越えていました。

 チョンさんは報勲処(退役軍人や遺族に対する報勲等を行う機関)に、夫と自分を国家有功者とその配偶者として登録した後、毎月支給される遺族補償金を受けようとしましたが、 2012年3月以降からのみ与えられました。これに対しチョンさんは息子と一緒に、「過去3年間の遺族補償金と慰謝料を支給せよ」と国を相手に訴訟を起こしました。

 ソウル中央地裁民事35部は、 「国民が兵役義務の履行のために入隊したが死亡した場合、死亡の事実を遺族に通知する義務があり、遺族が死亡確認を申請した場合、最善の努力を尽くして死亡の事実を確認する義務がある」とし、これを怠った国の責任を認め、 「チョンさんに7700万ウォンを支給せよ」と原告の一部勝訴判決をしたと6日に明らかにしました。

 裁判所は、長い時間、夫の生死も分からないまま未亡人として過ごしてきた妻が経験した苦痛を慰労し、慰謝料の支払い判決を下しましたが、あまりにも多くの賠償金が支払われることを考慮して、慰謝料の遅延利息が支払われる期間は限定したということです。

カフェで笹の葉をほおばりつつ、記事を作成しています。 経済・国際関係なんか、興味あります。