“「自分の人生には、何円くらいの価値があるか?」
そんな質問をされたことがあったな。
確か、小学四年生の道徳の授業だったか。”
2013年5月7日。2ch上に突如出現した、
”寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で”
というトピックス。上のフレーズは、その冒頭部分である。
”自分の人生は、果たして幾らくらいか”
この哲学的なテーマで投稿したのは、”げんふうけい”という人物。
(書籍には、三秋縋<ミアキスガル>となっている)
まとめなどで話題となり、後にこれを”三日間の奇跡”として書籍化している。
冒頭のフレーズは、後にこう続いている。
”大半の生徒は、きょろきょろ周りを見ながら、
最終的には、数千万から数億という結論を出してさ、
「お金では買えない」って考えを譲らない生徒も居たね”
”大人に聞いても、似たような答えが返ってくるだろうな。
少なくとも俺は、実際に寿命を売る前その日までは、
自分の人生は二、三億くらいの価値があると思ってた。”
物語は、主人公が古書店の爺さんから、寿命を売る話を持ちかけられるところから始まる。
その男には金がなく、残りの人生を売った金で生活しようと考える。
しかし、自分の人生は査定で三十万円にしかならず、残りの三ヶ月を残し全てを売却。
その日から、男プラス女性監視役のミヤギという2人の不思議な共同生活が始まった。
話の内容からは、最初は人生を投げやりに過ごしていた男が、
ミヤギとのかかわりを経て、徐々に明るく前向きになる様が描かれている。
”人生の対価”とは、本来は無くて当然であり、想像するにもあいまいなモノである。
私たちは、しばしば思い込みと言う勝手極まりない解釈の基で、モノを見ているのだ。
この物語は、自分に生きる価値なんてない。
そう感じている人に是非読んで欲しい。 こんな風にはならなくとも、
自分と向き合うキッカケになるだろうし、
案外、この世も捨てたものじゃないと思えるかもしれない。
少なくとも、私はこれを読んでそう思えたのだ。