『トモダチコレクション わくわく生活』レビュー:過去作未経験の40代父親が妻の勧めで島の“神”になった日

Nintendo Switch / Nintendo Switch 2向けソフト『トモダチコレクション わくわく生活』は、2026年4月16日に発売された。シリーズ最新作で、約13年ぶりの完全新作である。筆者はこれまで本シリーズに一切触れたことがない完全な新規プレイヤーで妻が過去作で熱中していた頃、ただ話を聞くだけだった。それが今、満を持して自ら島の管理人となり、Miiたちを眺めている。

妻がかつてシリーズの旧タイトルをプレイしていたころは、自身や両親、妹、そして夫である筆者をMiiとしてゲーム内に登場させていた。ゲーム内でなかなか恋に発展しないふたりの行方をヤキモキしながら見守る妻の話を、筆者はただ笑って聞いていた。プレイする機会は結局訪れなかったが、その話自体が楽しかった記憶がある。そして初代の発売から16年以上の時を経て、ようやく筆者もその世界に足を踏み入れてみた。

自由度の高いキャラクターメイク

▲とりあえず筆者自身のMiiを登録。今作では恋愛対象を同性も選択できる。しかも複数選択可能だ

▲性格のパラメーターは細かく設定可能

▲筆者の性格と合っている……かも?

▲さっそく筆者自身だとMiiにバレている!?

本作発売前に話題となったのは、画像共有機能の制限だ。スマートフォンへの転送、SNS直接投稿、Switch2の自動アップロードなどの利用が不可となった。これはMiiを現実の人物に似せて作る本作の性質上、プライバシーや二次創作の観点から任天堂が配慮した結果だ。公式スクリーンショットが拡散されにくい仕様になったことで、プレイヤー間の話題の広がりは制限された印象もある。

しかし、プレイ自体に制限はなく、既存キャラクターや芸能人をモチーフにしたMiiで遊ぶ楽しみは、プレイヤーコミュニティ内で確かに続いている。筆者は商業メディアのレビューという立場上、既存キャラクターは一切登場させず、オリジナルMiiを中心に据えた。妻と小学生の娘も登場させたが、すべて仮名だ。

▲キャラクターメイクはシリーズ随一の自由度の高さ。パーツを配置するだけでなく、ペン機能で細かいメイクも可能だ

▲筆者のように絵心に自信の無い方は、スタンプを押すだけでも楽しい。「一体どこの部族?」とツッコミたくなる不思議なキャラが完成

▲漢字のお勉強よりXが好きらしい……わかる

Miiたちが“家族”になる新要素

本作最大の特徴は、複数のMiiを「家族」として設定できる点だ。作成時に現実世界での関係性を登録可能で、島に住み始めた当初は初対面のように振る舞うが、関係性が深まるにつれ「実は家族だった」と気づくイベントが発生する。

最初は他人同士として挨拶を交わす三人だったが、ある日突然、娘のMiiが「ママと一緒に暮らしたい」と言い出す。見事に両者の気持ちが通じ合い、共同生活を開始した。そのときゲーム内ではニュース速報が流れ、二人が親子関係であると判明したことが報じられた際には、思わず笑みがこぼれた。現実の家族関係を、ゲーム内のMiiたちがゆっくりと再発見していく過程は、なんとも不思議で温かい。

▲娘を模して作ったMiiが、「ママといっしょに住んでみたい」と言い出す

▲妻を模したMii。「いっしょに住もう」と承諾してくれた!

▲そこで親子関係であることが発覚!

▲新しい家で共同生活を始めるMiiたち。筆者のMiiも早くそこに加えてほしい……

もちろん、関係性の構築は一筋縄ではいかない。今作ならではの直接的な介入機能として、プレイヤーはMiiをつまんで引き寄せ、強引に会話のきっかけを作ることができる。しかし、最初は仲良くなった二人でも、途中ですれ違いが生じたり、片方が満足しているのに片方が落ち込んだりする。現実の人間関係を簡略化したようでいて、意外と複雑だ。「もっとくっつけよう」としたり、「もう少し様子を見るべきか」と手を止めたり。そういった駆け引きも面白い。

▲Miiをつまんで、意図的に引き合わせるのも自由。早く親子だと気づいてくれ……!

▲と、仲良くさせるはずが、急に真剣勝負!?

▲「食べ物ジャンケン」とは?

▲……トマトジュース VS クロワッサン?

▲勝ったのはトマトジュース……謎すぎる

プレイヤーの想像力で“神視点”を楽しむ

また、オリキャラを作成する過程で強く感じたのは、想像力の重要性だ。筆者は小説を書く仕事柄、昔から創作が好きだった。Miiたちのセリフはパターン化されているが、関係性から勝手に深読みしてしまうクセがある。セリフがシンプルだからこそ、プレイヤーの解釈の余地も無限に広がるため「このMiiは実は過去にこんな出来事があったのではないか」と想像を膨らませているのだ。おままごとが好きだった小学生の娘もすでに大ハマりしているが、想像(妄想)力をある程度養っている大人こそ、深く楽しめる作品だと言える。

▲「なんとなく文豪っぽいキャラ」と「海賊っぽいキャラ」を作ってみた。どんな関係性が築かれるのか……

『どうぶつの森』など類似の箱庭ゲームと決定的に異なるのは、プレイヤーの立ち位置だ。プレイヤーは住民の一人ではなく、神のような俯瞰視点を持つ。Miiたち一人ひとりの関係性を常に上空から見下ろし、必要に応じて近づけたり離したり、介入したりできる。この「神視点」が本シリーズの醍醐味である。Mii同士の恋愛、友情、喧嘩、和解をまるでドラマを演出する監督のようにコントロールしていく。

▲時にはMiiからミニゲームに誘われることも

▲ミニゲームの結果で豪華賞品を獲得!? 真剣勝負だ

「自分の島だけの物語」を作ろう

そして今作最大の進化が「島づくり」である。前述の『どうぶつの森』とはプレイヤーの立ち位置(視点)こそ異なるが、環境のカスタマイズ性においては同等の自由度を手に入れたと言っていい。従来のマンション生活から一転、島全体を自分の手で創り上げることが可能になったのだ。陸地を拡張し、道を敷き、ベンチやシーソー、木々を配置する。食べ物屋、服屋、リフォーム屋などの施設も次々と開放されていく。

シミュレーションとしての複雑さは抑えられており、経済的破綻や災害といったストレス要素は一切ない。Miiたちが喜ぶような快適な環境を整えてあげれば、彼らは感謝の気持ちとしてお金や「気持ち玉」をくれる。疲れた心に優しい、純粋な癒しの箱庭だ。

▲絵を書くような手軽さで島づくりが可能。アスファルトなど、地面をつくるのにお金はかからない

▲「気持ち玉」を「願いの噴水」に奉納するとランクアップし、店のアイテムを増やすなどの願いが叶えられる

筆者が特に気に入ったのは、島が発展するにつれてMiiたちの生活が豊かになっていく様子だ。最初は簡素な家しかなかった島に、徐々にレストランや放送局などが増え、Miiたちが笑顔で行き交う。妻や娘のMiiが一緒にベンチに座って談笑する姿を見ていると、現実の家族の日常を別の角度から眺めているような感慨を覚える。

▲アイテム工房がオープン!

▲ここではオリジナルのアイテムを作ることができる。Miiの顔入りケーキだって……おいしいの?

ゲームプレイ自体はシンプルで、Miiたちのレベル上げは単調に感じる瞬間があるし、シチュエーションにもそれほど多くのバリエーションがあるわけでもない。しかし、こうした部分を補って余りあるのが、プレイヤー自身の想像力とMiiたちの予測不能な動きだ。ある日、突然の三角関係が発生し、別の日には予期せぬ友情が芽生える。笑える出来事、ほろ苦い出来事、すべてが「自分の島だけの物語」になる。

▲願いを叶えていくと、Miiがレベルアップ!

▲アイテムを渡すだけでなく、プチ個性や口ぐせをプレゼントすることも可能だ

▲Mii達の家をリフォームすることも可能

▲本好きの筆者のMiiを、本で埋め尽くされた家にリフォーム。出口はどこだ……?

今から始めても遅くない作品

過去作未経験の筆者から見て、本作は十分に「今から始めても遅くない」作品だ。妻の勧めでプレイし始めたが、今では家族三人で島の様子を共有しながら楽しんでいる。派手なアクションや奥深いストーリーばかりがゲームではない。静かに、ゆったりと、しかし確実に心を掴む体験がここにある。

▲島のMiiたちが突然カエル化? 本人たちは楽しそうだけれども

『トモダチコレクション わくわく生活』は、プレイヤーに想像力と慈しみの心を求めてくる。本作はMiiたちをただ見守るだけでなく、ときに介入し、ときに距離を置く。現実の人間関係を、緩やかに、しかし深く映し出す鏡のようなゲームである。筆者はこれからもこの島の“神”として、Miiたちとともにわくわくした生活を続けていきたい。

▲住人が増えるたびに島の大きさもどんどん拡張していく。自分だけの箱庭を作ろう

(文:平原学)

ガジェ通ゲーム班

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