2026年3月4日、BANDAI SPIRITSが東京・ベルサール三田ガーデンにて、テーブルトップゲームブランド「BANDAI TABLETOP GAMES」のプレス発表会を開催した。プラモデル事業で培ったものづくりの技術を武器に、テーブルトップゲーム市場へ本格参入するという。
第1弾として発表されたのが、サイコロポケモンバトル『プラコロ』(2026年7月発売予定)と、ミニチュアボードゲーム『GUNDAM ASSEMBLE(ガンダムアッセンブル)』(2026年10月発売予定)の2タイトルだ。
今回は、ボードゲームも好きな筆者が発表会の模様と、会場で実際に遊んできた試遊レポートをお届けする。
なぜ今、テーブルトップゲームなのか
発表会のトップバッターは、ホビーディビジョン ゼネラルマネージャーの高橋誠氏。新たに制定された「BANDAI HOBBY」ロゴとともに、「BANDAI TABLETOP GAMES」ブランドの全体像が語られた。
高橋氏がまず振り返ったのは、コロナ禍からの市場の変化。巣ごもり需要でデジタルゲームとプラモデルが伸び、コロナ終息後には対面コミュニケーションの価値が見直されてアナログTCG市場が急成長した。高橋氏自身、3年前までTCG事業を担当していたそうで、「その熱量を肌で感じていた」とのこと。この2つの波——プラモデルとアナログゲーム——を掛け合わせれば新しい価値を生み出せる。そう確信しての参入だという。
印象的だったのが、「商品を出すだけじゃない」という姿勢だ。遊びやすい入口、繰り返し遊べる仕組み、人が自然と集まる場——そうした”体験まるごと”を設計するブランドにしたいという。「プラモデルと同様、何十年という長い期間楽しんでいただけるホビーに成長させたい」。その言葉からは、単発のブームで終わらせる気はないという覚悟がにじんでいた。
『プラコロ』——ポケモン30周年に、30年前の記憶が蘇る
続いて登壇したのは企画担当の松浦由莉氏。「プラコロ」は1997年にバンダイから発売されたサイコロバトルホビーのリニューアル版だ。もともとはポケモンの石原恒和社長が発案し、クリーチャーズが設計、バンダイが製造・販売を担ったタイトル。今回はその当時のチームが再結集し、ポケモン30周年にあわせて”本気のアップデート”を施したという。
映像ではイメージキャラクターの菅田将暉さんがポケモントレーナーとして登場。松浦氏によると、初公開映像はYouTubeとXの累計で190万回再生を突破、Xの日本トレンド3位にもランクインしたそうだ。3月20日週には渋谷センター街の大型ビジョンジャックも控えているというから、プロモーションの本気度がすさまじい。
肝心のアップデート内容はというと、旧版ではエネコロ(エネルギーを示すサイコロ)のカスタマイズできる面が2面だったのに対し、今回は4面に拡大。ワザが決まりやすくなったことでワンプレーの時間も大幅に短縮され、ポケモンタイプも11タイプに拡大されたことで戦略の幅がグッと広がっている。松浦氏の掲げるコンセプトは「箱を開けた瞬間から遊びが始まる」。ワンプレー10分前後のスピード感は、現代の生活リズムにもフィットしそうだ。
スタートセットはフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、ピカチュウ、イーブイ、ミュウの全6種で、初回限定価格はなんと500円(通常価格990円)。7月にはランダム封入の「たんけんボックス」(各385円)、12月にはポケモンの進化が楽しめる「プラコロ進化セット」(各2,530円)も登場する。
さらに7月には「バンダイナムコ Cross Store 横浜」内にオフィシャルショップがオープン。東京ドームシティ プリズムホールを皮切りに東名阪で500名規模の公式イベントを開催し、雑誌「ポケファン」にはキャラコロを同梱した大特集も予定されている。「買える場所」だけでなく「集まれる場所」まで用意していく構えだ。
【試遊】サイコロを振るだけで、もうポケモンバトル! 一瞬でルールが理解できる親切設計
さて、ここからは実際に遊んだ感想をお届けしたい。
結論から言うと、めちゃくちゃ楽しい! プレイシート兼説明書がセットに入っていて、ボードゲーム好きの筆者はものの2~3分でルールを把握できた。慣れていない人でも、説明を聞きながら遊べばすぐ分かるはずだ。
基本の流れはこう。手持ちの7つのワザから4つを選んでセットし、そのうち1つを宣言。ポケモン型サイコロ「キャラコロ」とエネルギーサイコロ「エネコロ」3つをまとめてコロコロ。エネコロの出目がワザに必要な条件を満たせばワザ発動、さらにキャラコロの向き(正位置・うつぶせ・逆立ちなど)で追加効果が乗る、という仕組みだ。
ポケモンバトルの「タイプ相性」や「追加効果」をサイコロに落とし込んだような感覚で、ポケモン好きならニヤリとすること間違いなし。
遊んでいて感心したのが、ゲームバランスの良さ。大ダメージを狙えるワザほどエネルギーのコストが高く失敗しやすい。逆に小ダメージのワザは成功しやすい。「ハイリスク・ハイリターン」がサイコロの出目に直結する感覚はクセになる。連続攻撃ができるワザ、相手の次のダメージを軽減するワザ、相手のエネコロの数を減らすワザなど、特殊効果のバリエーションも豊富で、対戦が大いに盛り上がった。
何より最高なのが、決着の早さだ。負けても「もう1回!」と自然に口をついて出る。このテンポの良さは、繰り返し遊びたくなるゲームの絶対条件だと思う。
エネコロの出目カスタマイズ(チップの付け替え)は今回の試遊では体験できなかったが、自分好みのダイスを作り込めれば戦略がさらに深まるのは想像に難くない。
そしてスタートセットが500円。これは本当に驚きだ。「とりあえず買って遊んでみるか」と気軽に手に取れるハードルの低さは、新しいテーブルゲームを広めるうえで最大の武器になるだろう。
『GUNDAM ASSEMBLE』——ガンプラで戦場を指揮する、新感覚のミニチュアゲーム
続いて登壇した企画担当の染谷潤氏からは、2025年1月のティザー発表から約1年越しとなる「GUNDAM ASSEMBLE」の全貌が語られた。
染谷氏が強調したのは「小規模部隊のスカーミッシュバトル」という形式。従来のミニチュアゲームはワンプレーに数時間かかるものが多いが、本作は濃密な戦略体験を現代的なスピード感に収めているという。「ガンプラの造形美とゲームの競技性を融合させ、世界中でリーグ戦が開かれるグローバルな競技タイトルに育てたい」と、その志は大きい。
ゲームデザインの中心にいるのが、デッキ構築ボードゲーム「アセンション」の開発者であるジャスティン・ゲイリー氏。染谷氏いわく「PCGの世界大会での優勝経験を持つレジェンド」とのことで、先行するミニチュアゲームを徹底分析した上で、現代のプレイヤーが求めるテンポの良さと”ガンダムらしさ”の両立を追求したそうだ。
ミニチュアは接着剤不要のスナップフィットで、パーツ数も最小限。「遊ぶまでの距離を極限まで短縮した」と染谷氏は語る。単色成形ながら劇中の印象的なポーズを立体化し、置くだけで陰影が際立つ造形は、さすがのガンプラ品質。塗装すれば世界に1体だけの自分のMSが完成する。
スターターセットにはRX-78-2 ガンダム、シャア専用ザク、ウイングガンダムゼロ(EW)、ガンダムエピオン、ガンダム・バルバトスルプスレクス、ガンダム・ヴィダールの6体が収録され、これに各種カード、10面ダイス、ゲームマップ、紙製テレインが付属して3,850円(税込)。まずは手に取りやすい価格で裾野を広げ、拡張セットでコンテンツを継続させる戦略とのこと。
10月の発売後は毎月新商品をリリースし、1年以内に30アイテム以上をグローバル展開する計画だ。「1年戦争を皮切りに、SEED、W、鉄血のオルフェンズなど様々なガンダムの歴史を網羅していく」という言葉にも期待がふくらむ。
印象に残ったのは染谷氏のこの一言。「もしあの伝説のバトルであなたが指揮を執っていたら、もしかしたらジオンが勝っていたかもしれない。そんな”もし”を現実にするのがガンダムアッセンブルです」——ガンダムファンなら、この言葉だけでもう遊びたくなるのではないだろうか。
【試遊】「ミニチュアゲームは難しい」の先入観が崩れた日
白状すると、筆者はボードゲームこそ好きだが、ミニチュアゲームには「ルールが難解で時間がかかる」というイメージを持っていた。しかし実際に遊んでみて、その先入観はいい意味で崩れた。
理由はシンプルで、『ガンダム』というよく知っているIPだからこそ、ルールがスッと入ってくるのだ。たとえば「ガンダムのビームライフルは障害物があると射線が通らないから撃てない」と言われれば、ガンダムファンなら「まあそうだよね」と直感的に納得できる。一方で「ガンタンクの低反動キャノン砲は山なりに飛ぶから障害物を越えて撃てる」と聞けば、「なるほど、ガンタンクだからね」と腑に落ちる。ガンダムの作品知識がルール理解の近道になるという構造は、実によくできていると感じた。
ゲームの核となる「タイムライン」システムもユニークだ。各ユニットが行動するたびにアクションに応じた「時間コスト」を支払い、タイムライン上のトークンが後退する。たとえば強力なビームライフルを撃てば大ダメージを与えられるが、そのぶん時間コストが重く、次の行動が大きく遅れる。結果、相手に連続行動を許してしまうことも。
この「火力と行動速度のトレードオフ」が常にプレイヤーの判断を迫ってきて、実に手に汗握る。高いところに登ると移動コストが増えるなど、地形の要素も戦略にしっかり絡んできた。
ちなみに盤面はヘクス(六角形マス)で構成されている。ガンダムファンならピンとくるだろう——そう、『SDガンダム ジージェネレーション』シリーズのあの感覚だ。ヘクスマップ上にモビルスーツを並べて移動させるだけでテンションが上がる。「自分の手で駒を動かしている」というアナログならではの実感が、デジタルゲームにはない興奮を生んでいた。
さらに対戦を熱くしてくれるのが「戦術カード」の存在。プレイヤーには手札として配られ、使うことで追加行動が可能になったり、攻撃のダメージがアップしたり、クリティカルヒットの条件が緩和されたりと、多彩な効果を発揮する。ここぞという場面で切る一枚が戦況をひっくり返す可能性もあり、タイムライン管理+カードの駆け引きが掛け合わさることで、戦術性がさらに増していると感じた。
試遊では使えなかったが、展示されていたウイングガンダムゼロのツインバスターライフルは扇状に攻撃できる「マップ兵器」的な性能を備えていた。これを見た瞬間、筆者の頭に浮かんだのは「じゃあガンダムXのサテライトキャノンは直線でぶっ放せるのでは……?」という妄想。こういう”もしも”を考え始めたら止まらないのが、ガンダムIPとミニチュアゲームの最高の相性だと思う。
プレイ時間はシナリオにもよるが30分~1時間ほどとのこと。ミニチュアゲームとしてはかなりライトな部類で、慣れればテンポよく回せそうだ。もちろん超手軽とまでは言えないし、ボードゲーム初心者がいきなり全ルールを覚えるのは少し大変かもしれないが、基本的な動かし方は遊びながら覚えていける設計になっている。ベースさえつかめば、あとは慣れで楽しめるはずだ。
そしてなんとスターターセットが3,850円。ボードゲーマーとしての肌感覚だと、このコンポーネント量なら7,000~10,000円くらいが相場だと思っていたので、価格を聞いた瞬間は思わず「え!? 嘘でしょ?」と声が出た。ミニチュアゲームの入口としては破格と言っていい、攻めに攻めた価格設定だ。
遊びのインフラまで設計する「BTGシステム」とは
発表会の終盤では、国内マーケティング部の清水浩史氏が登壇。公式プラットフォーム「バンダイテーブルトップゲームズ(BTG)システム」の概要を説明した。イベント検索からエントリー、対戦結果の記録までをブラウザ上で完結できる仕組みで、TCG事業で実績のある「TCGプラス」のノウハウを応用しているとのこと。
「どこで、誰と、どう遊べばいいのか。その不安を解消しない限り、新しいホビーが文化として根付くことはない」という清水氏の言葉は、テーブルゲーム好きとして深く共感するところ。商品を作って終わりではなく、コミュニティが生まれる仕組みまでを一体で設計していく——その姿勢が、発表会全体を通して一貫していた。
『プラコロ』は7月、『GUNDAM ASSEMBLE』は10月。ポケモンとガンダムという2大IPで切り込む「BANDAI TABLETOP GAMES」の船出が、どんな波を起こすのか。今から夏と秋が楽しみでならない。
※記事内の価格はすべて税込表記です。
※本記事はプレス発表会での試遊体験にもとづいています。製品版では仕様が変更になる場合があります。
(C)Pokémon. (C)Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
(C)SOTSU・SUNRISE (C)SOTSU・SUNRISE・MBS

