創業は昭和10年。西暦では1935年。そのときから90年間も営業し続けるラーメン屋に、神域レベルのチャーシューメンがあると知って、実際に行ってみたのですが、確かにこれ、伝説級のおいしさで感動しました。
かなりエモーショナルなラーメン屋「福留軒」
そのラーメン屋さんは「福留軒」(山形県米沢市中央1-7-21)です。JR米沢駅からバスと徒歩で計10分ほどの場所に店舗があります。店構えも、店内も、かなりノスタルジーでエモーショナルな雰囲気。
お店の外壁に、謎のスペースがある食堂、なんだか雰囲気がイイ感じですよね。もともとは料理の見本が展示されていたと思うのですが、今は置物が置かれていました。イイ感じです。
料理の写真をプリントアウトして貼っていたようですが、経年により薄くなってしまったようです。……しかし、だから、それがイイ。この経年を感じさせるビジュが、いいんじゃあないか。
麺とワンタンが半々で入ったチャーシューメン
メニューを見てみると、名物は「チャーシューワンタンメン」(税込1000円)であることがわかります。麺とワンタンが半々で入ったチャーシューメンという感じですね。
このお店ではじめて食べる人はチャーシューワンタンメンがオススメと書いてありました。ということで、チャーシューワンタンメンを注文しました。
しっかり厚みを感じさせるスライス肉
チャーシューはロース肉でしょうか。カットは薄すぎず、厚すぎず、でもしっかり厚みを感じさせるスライス肉で、それが何枚もスープに浮かんでいます。
あまりにもチャーシューが多すぎて、麺やワンタンを目視で確認できません。なんとも惹かれるビジュです。
心地よい食感とともに崩壊するチャーシュー
価格が安めのラーメン屋さんで、これほどロース肉に厚みがあると、食べた際にネガティヴな意味でゴワゴワ感があっても仕方ないのですが、福留軒のチャーシューは違いました。
ほどよく硬めで、少し力を入れると「ブヂヂヂッ」とちぎれていきます。そう、心地よい食感とともに崩壊するのです。
チャーシューを楽しむための最適な濃度
砕けたチャーシューは、瞬時に旨味エキスを放出。スープと一体化して、ジワリジワリと尾を引く「肉の旨味」を楽しませてくれるのです。
スープは塩味が柔らかく、チャーシューを楽しむための最適な濃度だと感じます。
ワンタンを至高の存在へといざなうスープ
そのスープの良さは、ワンタンと麺にも寄与しています。ワンタンは、まるで生命体のようなフワッとした状態でスープの海に浮かんでいて、レンゲにのせてすするように食べれば、これもまた、ほどよい塩味と繊細な旨味が、ワンタンを至高の存在へといざないます。
それにしても、このワンタン、なんなのでしょうか。あまりにも唯一無二すぎる柔らかさと流動性。やっぱりこれ、命を感じます。
大量のスープをまとって味覚を訪れる麺
麺は細くて縮れており、箸でサルベージすると、大量のスープをまとって味覚を訪れます。そう、含んだスープ量が多いので、チャーシューやワンタンを食べた時とは違った濃度で旨味を感じる。ベースは同じテイストでも、その強弱に緩急があるという流れですね。
チャーシューメンの正当メガ進化系
このラーメン、「奇抜か?」と聞かれたら「奇抜ではない」と答えます。奇抜さとは違った「こういうのでいいんだよ」なチャーシューメンの正当メガ進化系が、唯一無二の独自性を持った感じです。伝説級のおいしさなのは間違いないと思います。ごちそうさまでした。

