「長く座り続けるのは身体に良くない」「一日中座っている人と活動的な人を比較すると、後者の方が長生きする」という説がネットニュースでたびたび取り上げられています。最近の調査では、多くの人々が1日に12時間座っているというデータも。英国BBCニュースマガジンは「一定時間立ち続けると、座り続けた場合と比較してどれだけメリットがあるか」を伝えています。
長時間座り続ける習慣の悪影響は2点。血糖値安定の役割を担う、膵臓から分泌される「インシュリン」が効果的に働くには、人間が活動的でなければなりません。血糖値が高いと糖尿病のリスクが高まります。また、座り続けると「リポ蛋白リパーゼ」の酵素活性の著しい低下が懸念されます。酵素で中性脂肪等を分解できなければ、心臓病のリスクが上昇します。
英国チェスター大学の研究チームは、不動産会社で働く10名を対象とし、1日3時間立ちっぱなしで5日間仕事をこなしてもらう実験を行いました。被験者はどれだけ動いたかを測定する加速度計を身に付けて、心拍数と血糖値のモニター装置を日夜装着することに。
実験の結果、被験者には「食後の血糖値の低下」「カロリー消費量の増加」が確認されました。しかも3時間の立ちっぱなしを5日間続けると、平均750キロカロリーが消費されたとのこと。年間に換算すると3万キロカロリーの消費量。これは3キログラムの脂肪に相当し、年間10回のマラソンを走るのと同等のカロリー消費になります。
研究チームは、勤務時間中に3~4時間立つのを推奨する一方、「電話の間は立つ」「同僚に用件を伝える際は直接会いに行く」「階段を使う」といった工夫も紹介しています。ウィンストン・チャーチル(20世紀の英国の政治家)、ベンジャミン・フランクリン(18世紀の米国の政治家)といった偉人も立ちながら職務に励んでいたそうです。そのおかげか、チャーチルは90歳、フランクリンは84歳まで生き続けました。
画像: BBCニュースマガジンの該当記事のキャプチャー
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-24532996