【秘境グルメ旅】日本人は許可無しで入れない香港の超特別地区「沙頭角」に行ってみた

香港の沙頭角(サトウカク / Sha Tau Kok)は特別な地域です。香港と中国シンセン市の境界がある地域で、日本人は香港警察の許可なく入ることが許されていません。もっと厳密にいえば、外国人は許可なく入れません。

許可を得ても中英街には絶対立ち入り禁止

香港側とシンセン側を行き来している地域住民もいますが、外国人は行き来できません。また、沙頭角に入ることを許可された外国人でも、中英街と呼ばれているストリートに立ち入ることは許されません。もし入ってしまうと、捕まります。

少なくとも平日2日前には申請して許可を得る

いったいどんな地域なのか? とても気になったので行ってみました。しかし、すぐには行けません。香港警察にインターネット上から申請し、入ることを許可してもらうことが必要です。

少なくとも平日2日前には申請して許可を得ておきたいところ。

iCloudは信用しないでください

許可が出たら、メールでPDFファイルの許可証が届くので、iPhoneに保存して向かいました。この許可証、とても重要なので、必ず持参しましょう。クラウド上に保存せず、必ず実データをスマホに保存しておきましょう。

スマホの電波が弱い地域もあるので、iCloudなどのクラウドにあるとダウンロードできずに困ることがあります。筆者は、困りました。

沙頭角までの所要時間は約1時間半ほど

では、さっそく沙頭角に向かいます。香港の中心部から行く場合、鉄道とバスを乗り継いで行くことができ、所要時間は約1時間半ほど。今回は、紅磡駅から上水駅まで地下鉄・東鉄線で移動し、そこからバスで沙頭角に向かいました。意外とカンタンです。

上水駅に到着してからバス乗り場まで近い距離ですが、初めて行く場合は、30分くらいは余裕をもって向かいたいところ。今回乗ったバスの番号は「55K」です。

オクトパスカードはじゅうぶんチャージしておく

鉄道もバスもオクトパスカード(香港版Suica)で支払うので、しっかりチャージしておきましょう。出発時にチャージしておくことを強くオススメします。チャージできる場が限られるので、バスに乗り換えるとき、時間がなく、さらに残高が足りないと焦ります。筆者は、焦りました。

オクトパスカードで運賃を前払いし、バスに乗って走り出したころ、なんか、強風と雨が……。天気予報を調べてみると、激しい雨の予報が! ちょっと気分がダダ下がりに。豪雨でいい写真なんて撮れるのか……。

「中英街に入ってはならない」と念を押される

沙頭角の入口で、いったんバスが停車します。街の入口は検問になっていて、バスに警察官が乗り込み、乗客全員のIDをチェックします。

外国人は、香港警察から得た許可証をスマホで見せます。そして、その場で「中英街に入ってはならない」と念を押すように言われます。

警察官に許可証を見せることができず

ちなみに筆者、検問でトラブりました。このとき、iPhoneに保存していた許可証が勝手に(?)クラウド上に移動されており、スマホ電波も激弱だったことから、許可証を見せることができず。なんとバスから降ろされてしまいました……。

豪雨だからサクッと街に入りたいのに!

必死になってiPhoneをタップ連打

警察官の詰所でiPhoneの許可証のアイコンをタップしますが、なかなかダウンロードできず。警察官と私で、必死になってiPhoneをタップ連打するという状況に。ほかにも警察官がいましたが、なんか談笑してなごやかな雰囲気。

「この日本人怪しい! 連行するか!?」とは思われていないようですが、かなり焦りました。警察官、とても親切でした。多謝。スマホのiCloud、信用できません。

激ウマすぎる食堂がフードコートのように複数営業

ようやく許可証を見せることができ、沙頭角の中心部に向かうことができましたが、凄まじい豪雨はやみません。災難ばかり!

「強記飯店」という食堂のオバチャン

この豪雨はやみそうにないので、ダッシュで乗り切ることを決意。猛烈なダッシュで向かった先は沙頭角市場。ここは食品販売をしているだけでなく、激ウマすぎる食堂がフードコートのように複数営業しているのです。

ここの絶品料理を食べることが、今回の目的のひとつ! どんなにずぶ濡れになろうとも、食べずして帰るわけにはいきません。

「強記飯店」という食堂のオバチャン

ズブ濡れになりながらどの食堂で食べるか迷っていると、「強記飯店」という食堂のオバチャンが声をかけてくれました。

中国語なのでよくわかりませんが、「何が食べたいの?」「ここは鶏肉の食堂だよ」と言っているっぽい。鶏肉! 食べたい。

鶏肉を酸味ある漬物であえたもの

ということで、おばちゃんがオススメする料理をオーダー。鶏肉を酸味ある漬物であえたもの+ライスが目の前にやってきました。

ウホッ♪ めっちゃウマそう! こういうのが食べたかったんだよ、こういうのが! ちなみにお茶は飲み放題で無料です。

うますぎてライスが無限に食べられそうな鶏肉

その味は……。むっちゃウマい! ほど良く軽い酸味の部分と、強めのガツン系の酸味、その双方が爽やかさの起伏を生んで、食べていて楽しいし、ライスのおいしさを盛り上げます! ライスが無限に食べられそうな鶏肉です!

まずはそのまま食べて楽しみます。実にうまい。骨付き肉なのですが、骨しか残らないように徹底して吸い付きながら食べます。全部食べ切ったはずなのに、「まだ身が残っているよ」とオバチャンに言われてしまいました。

次に、すっぱいキャベツの漬物をご飯と合わせて食べます。これがもう至高。鶏肉も美味ですが、酸っぱいキャベツの漬物もメインディッシュになりえるくらいウマイ。ライスどんどん進む!

このあと知ったのですが、この食堂、この漬物が名物のようです。どうりで激ウマなハズです!

お金いらないから好きなだけ食っていいよ

あまりにもおいしそうに食べていたせいか、オバチャンとオジサンが、どんどんキャベツの漬物を持ってきてくれます。「お金いらないから好きなだけ食っていいよ」と言っているようです(たぶん)。

酢漬けでご飯をガッツリ食べる。もはや酢漬け丼と化しています。「ごはんもおかわりする?」と聞かれましたが、「もしかしてご飯のおかわりも無料なのでは」と思うと悪い気がしたので、今回はここでおしまいに(小心者なので……)。

ガッツリと鶏肉、ごはん、お茶、無限に出てくる酢漬けを食べたにもかかわらず、会計は35香港ドル! 約660円! いまの香港の物価を考えると、信じられない安さです。

酢漬けは「ずぶ濡れの変な日本人がきた」と思って、善意で無料で出してくれたと思うのですが、たとえ酢漬けをおかわりしなくとも安いです。いい人だ~。香港の辺境の地で優しさに触れました。

香港で食べたグルメの中でトップクラスのウマさ

あまりにもウマすぎて、店主のオジサンと記念撮影してしまいました。いやー、まさか、この辺境の地で、こんなにも美味なるグルメに出会えるとは驚きです。

もしかすると、香港で食べたグルメの中でトップクラスのウマさです。ただの漬物に見えるけど、凄まじく最強な漬物でした。

中英街のギリギリ外側にある金煕海山酒楼

そのあと、もう一軒、レストランに行きました。「金煕海山酒楼」という店名です。こちらは中英街沿いにあるのですが、ギリギリ、入口が外国人でも入れるところにあるため、外国人でも入れる場所にあります。

しかし、一歩でも中英街に足を踏み入れると捕まる緊張感が……。

ルートを誤ると捕まるので、ドキドキしながら金煕海山酒楼に入ります。店内では、くつろいでいる地域住民が。ランチタイムでもディナータイムでもない中途半端な時間帯だからなのか、お客さん少なめ。

店員さんに案内された席が、相席!! ええっ!! めっちゃ席が空きまくりなのに相席!? おそらくですが、客を同じ場所に集中させると接客が楽だからだと思います。おもしろい。

沙頭角の名物といえばミルクティー

ここでは、沙頭角の名物ミルクティーを飲むことができます。名物がミルクティー、おもしろい! オーダーしてみるとペットボトルがテーブルにやって来ました。ラベルには「沙頭角」と書かれていて、名物であることをアピールしています。猛烈にご当地感を出しているミルクティーのボトル。

飲んでみると、おおっ! あなどってはいけないおいしさ。苦味と甘味のバランスが絶妙で、濃さを感じつつゴクゴク飲めます。苦味が強めだけど、そのおかげで甘味が際立って美味です。テキトーにラベル貼っただけのミルクティーかも? とか少し思っていましたが、そんなことはなかった。おいしい!

名物っぽい豚肉を煮込んだ料理をオーダー

せっかくなので、名物っぽい豚足を煮込んだ料理「豚足鍋」をオーダー。当初、「これ食べるの? 本当に?」みたいな店員さんの反応だったのですが、オーダーしてからその理由がわかりました。

これ、かなりデカ盛り。一人では食べきれない量! ダイナミック!! そして、調理に時間がかかる!! 20分くらい待った気がします。豚足もダイナミックで、骨がかなり太い。そして脂身が極厚!! 店員さんによると、これをご飯とともに食べるのだそうです。

気になるその味は……。

今回は豚肉だけをガッツリ食べる

食べると弾力強め! 甘い肉汁とコラーゲンと脂がジュワッとあふれてくるので、ご飯が欲しくなります! でも、さっき漬物ライス食べまくったので今回は豚肉だけをガッツリ食べます。

……でも食べきれず、持ち帰りにしてもらいました。……空港で食べよう。

ダッシュでバス乗り場に向かう→ 空港へ

許可証に有効期限があるため、筆者は、夜までにこの街を出なくてはなりません。しかも今夜の便で帰国です。ということで、豪雨のなかダッシュでバス乗り場に向かいました。そして、香港国際航空へと向かい、日本に帰ったのでした。

香港には何度も行ったことがあるものの、まだまだ行ったことがない場所が多いです。特に外国人が許可なく入れない沙頭角に行けたことは、希少な体験となりました。豪雨じゃなければもっといろいろ見学できたのに! ……ということで、また訪れようと思ったのでした。

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