世界各地で日本酒ブームが巻き起こっていると言われて久しい。
国税局のデータ『酒類の輸出統計』に目を通すと、平成13年から平成24年の11年間で日本酒の海外輸出額は32億円から89億円に、約三倍の伸びを見せている。
データを見る限り、原発事故の風評被害も日本酒に関しては影響が感じられず、ここまで来ると海外での日本酒の位置づけはもはやブームにとどまらず、ワインのような定番酒となってさらに幅広い層に普及していくのではないかと期待してしまう。
そして今、注目されているのが日本酒の現地生産。これまでにも韓国や台湾、ブラジルなどで日本人、もしくは戦前から日本文化に触れていた人々に向けて現地生産がおこなわれている例はあった。しかし2010年頃から、それらとは一線を画す新しい動きとして、ヨーロッパ、アメリカ各地で現地の醸造家たちが、より自分達の好みにあう日本酒を追及して現地生産をスタートし始めている。日本人の民族酒であった日本酒が、着実に世界の『Sake』になりつつあるのだ。
代表的な銘柄はアメリカ・テキサス州 『Texas Saké Company』の『Whooping Crane』
ノルウェー『Nøgne Ø』の『裸島』
カナダ・トロント『Ontario SpringWater Sake Company』の『泉 IZUMI』など。
これらの酒蔵に共通しているのは、あくまで高品質の酒造りを目指し、山廃(やまはい)仕込み、高精白の吟醸造りなど手間もコストもかかる技術にこだわっていること。味は、従来の価値観からすると個性的に感じるものも多いようだが、地域の食文化や作り手の方向性によって趣向が異なってくるのは当然だ。むしろ日本酒の世界が多種多様に、豊かになることは酒飲みにとって喜ばしい限りではないか。
世界各地に根付いたばかりの日本酒文化が、今後どのような発展を遂げていくのか温かく見守っていきたい。
※画像は
『Texas Saké Company』ブログ http://www.txsake.com/
『Nøgne Ø』ブログ http://sakenogne-o.blogspot.jp/
『Ontario Spring Water Sake Company』公式サイト http://ontariosake.com/
から引用いたしました。