26日(米国時間)より、Windows 8.1 Preview版(Build 9431)が入手可能となりました。巷(ちまた)ではスタートボタンについての話題でもちきりですが、正直なところ、筆者にとっては、あまり重要なことではありません。
操作性が改善された
確かに、Windows 8のユーザーインターフェイスは配慮に欠けるものだと言わざるを得ませんでした。マウスカーソルを画面の隅に持っていくまでは、何をどうやって操作していいか分かりません。さらに、リモートデスクトップや仮想マシン内の画面を操作する場合には、当たり判定が非常に厳しいことがあるという問題があります。ですから、Windows 8.1 Preview版で、「スタートボタン」という、操作する対象が画面に常に表示されるように変更されたというのは、ナイスな判断であるといえるでしょう。これについては詳しく書くまでもないと思います。個人的には、スタートメニューには特に未練はありません。
Windows 8の抱える地味で致命的な問題
ところが、Windows 8 には、操作性の他にも大きな問題があったのです。それは、モノ書きや漫画家の皆さんには致命的ともいえる欠陥でした。既にご存じの方もおられることと思いますが、Windows 8では縦書きの表示に不具合があり、縦書きにもかかわらず『…』(三点リーダー)や『―』(ダッシュ)などの記号が横に倒れてしまうというものです。
生きるか死ぬかを問う前に、文字が横に倒れてしまっているという悲惨さです。これでは、モノを書く気も起こりませんね。
やる気が出ないですね。
こんな状態では、文字入れも適当になってしまいます。
ちなみに、この問題はWindows 8 RTMが開発者向けに公開された頃から指摘されていた問題です。OS内部の処理に問題があるようで、GDIを使用してフォントをレンダリングしているアプリケーションは影響を受けるようです。Word 2010などでも不具合が報告されているというのですから深刻ですね。残念ながら今現在でもWindows 8はこの不具合を抱えたままとなっています。一部アプリでは正常に縦書きが表示されますが、これはアプリ側で対策しているか、フォントのレンダリングに独自のエンジンを使用しているかです。正直なところ、こんな目に見える形のデグレードを起こして、半年以上も修正しないという姿勢はどうかと思うのですが、まあ大人の事情があるのでしょう。筆者も現役プログラマーの端くれですから、気持ちは分かる気はします。気持ちだけは……。
Windows 8.1 Preview版で、ようやく解消
さて、「Windowsはサービスパックがリリースされるまで有償ベータテスト」と揶揄(やゆ)されることもありますが、“実質Windows 8 SP1”のWindows 8.1で、ようやくこの問題が解消される方向に向かうようです。
ご覧のように、Windows 8.1 Preview版では、『…』(三点リーダー)や『―』(ダッシュ)の記号が正常に表示されています。これが当たり前といえばそうなのですが、ようやく“当たり前”を享受できるようになった、ということですね。
これで縦書きエディタを使用されているモノ書きの皆さんも安心して執筆に励むことができるのではないでしょうか。この一点だけでもWindows 8.1へアップグレードする価値があるのではないかと思います。
ただし、まだPreview版
現在提供されているのはPreview版のため、メイン環境にインストールすることはおすすめしません。また、正式版がリリースされたときに、この問題が再発するという可能性もあります。まあ、そうならないことを祈るばかりですね。
それでは、長寿と繁栄を。
参考
GDIを使った縦書き処理がおかしい(Windows 8 )
http://social.msdn.microsoft.com/Forums/ja-JP/d509e3db-aac8-43a7-b5fa-67513c44b01d/gdiwindows-8
Windows 8 でだけ縦書きの「…」「‥」「―」を誤って表示
http://answers.microsoft.com/ja-jp/windows/forum/windows_8-performance/windows-8/acd9cc23-dfab-4039-ade1-254dc9f36bc1
Windows 8 RTMで遭遇した問題点
http://btmn.jp/2012/08/16/windows-8-rtm/