あの世の仏教辞典 アシュラ

  by 睡魔太郎  Tags :  

 アシュラは古代ペルシャ、古代インドにまたがる、ふる~い神さまです。もともと善神として、自然や秩序を司る神々だったのです。そこに新しい神々が誕生してきました。人間界で功徳を積んだマガというバラモン青年と仲間の生まれ変わり、インドラ(帝釈天)たちです。

 アシュラ族とインドラたちは神々の住居である須弥山山頂でともに暮らすようになったのですが、アシュラ族にしてみれば気に食わない。生意気に見えるのですね、新参者のインドラたちが。そこでなにかといちゃもんをつけて喧嘩を吹っ掛け、白黒つけてしまおうと考えるのです。ところが、インドラは無益な争いは好みません。かたやアシュラたちは放っておくと、どんどん粗暴になります。

 このあたりの模様は中村元訳『悪魔との対話』岩浪文庫や『ジャータカ』、インド神話『マハーバーラタ』に詳しく記されています。そこで、業を煮やしたインドラがある酒宴の席でアシュラ一党をぐでんぐでんに酔っぱらわせ、その上でいっきに須弥山から突き落としてしまったのです!

 海底深く突き落とされたアシュラたちが黙っているわけありません。ただちに総攻撃を開始します。アシュラとインドラたちの長い戦闘が始まったのです。そこで、インドラたちを天、アシュラたちを非天と位置付けるようになりました。こうしてアシュラは神々と戦う魔神として六道輪廻のひとつに数えられるようになったのです。

漢訳:阿修羅、阿須羅、阿蘇羅、阿素羅、阿修倫など
Skt.:asura pali:asura
仏教語大辞典 中村元著 p4d.
The practical Sanskrit-English dictionary
http://dsal.uchicago.edu/dictionaries/apte/
The Pali Text Society’s Pali-English dictionary
http://dsal.uchicago.edu/dictionaries/pali/

仏教ネタはおもしろい! エンターテイメントな仏教アドベンチャーを目指します。 仏教学修士課程修了、日本印度学仏教学会所属

ウェブサイト: ブログ:http://tarosuima.blog.fc2.com/