画像は『韓国史データベース(http://db.history.go.kr/)』の”慰安婦”の検索結果。
橋下徹大阪市長の「慰安婦は当時は軍に必要だった」発言、そして「沖縄の米軍海兵隊は日本の風俗を活用すべき」発言で、反発が広がっている。
5月19日の読売新聞等の報道によると、みんなの党の渡辺代表が日本維新の会との選挙協力について「もう一緒に組むべき相手ではない」と語ったとされているが、未だ事態が収束しそうな様子はない。
一方で、橋本市長はtwitterで「日本の慰安婦だけを批判するアメリカはアンフェアだ」、「アメリカ始め戦場の性として女性を活用してきた世界各国も自らの過去を直視すベきだ」等の書込みを引き続き行っているが、こうした発言には、韓国をはじめ、周辺諸国からの反発の声も根強い。
ところで、慰安婦問題でもっとも反発しているのは韓国、そしてアメリカは「風俗を活用すべき」で反発した当事国であるが、朝鮮戦争の時や、戦後の在韓米軍は、どのように「戦場の性」と向かい合ってきたのだろうか?
現代においては、在韓米軍も沖縄の米軍海兵隊と同じく、オフィシャルにはオフリミッツ(禁止)だろう。
しかし、過去においては、韓国現地の新聞報道により、在韓米軍の慰安婦活用の実態があったことを知ることができる。
例えば、韓国史データベース(http://db.history.go.kr/)で慰安婦関係の新聞記事を検索してみると、1961年1月31日の『東亜日報』には、以下のような記事がある。
慰安婦教養講習 伊淡支所主催で
【東豆川】去る27日正午一時、ここ東光劇場では、伊淡支所主催で800余名の慰安婦に対する教養講習会が開かれた。
当地、駐屯米第7師団憲兵部司令官、及び同民事処長等、米韓関係者が多数参席した同講演会では、慰安婦に対する徹底した性病管理を強調したところがあり、同講習会が終った後、慰安婦によって構成された歌と踊りの余興が異彩を放った。(筆者訳)
韓国現地の”慰安婦”を単純利用していただけでなく、性病管理の教養講習に参席する等、在韓米軍関係者を巻き込んだ管理により、慰安婦を活用していた実態が述べられているが、記事の中には「性病管理を強調」とある。
少し遡るが、1959年10月18日の『東亜日報』には”慰安婦66%が保菌 全国接客女人検診結果”という見出しに続き、慰安婦や接待婦、私娼の検診結果が述べられている。記事によると、保菌率に関しては、接待婦63,635人中16.2%、私娼51,119人中13%に比べ、慰安婦の保菌率は、261,089人中66.4%と極めて高い。
准戦時下体制で、何時北朝鮮の南進があるか分からない状況で、性病感染は兵力や兵士の士気に関わる問題だけに、慰安婦の性病管理は、在韓米軍としてオフィシャルに関与せざるを得なかったのかも知れない。
1950年代後半から1960年代前半にかけては、このような記事の他に、米軍兵による慰安婦殺傷事件や慰安婦の自殺、慰安所での米軍兵の変死等が報道されており、朝鮮戦争直後の在韓米軍は、韓国人慰安婦とかなり密接な関係であり、数々のトラブルも引き起こしていたことが分かる。
こうしたことは、韓国で決して秘密になっていたわけでなく、例えば、1991年の韓国映画『シルバースタリオン』では、米軍兵にレイプされ、その後”生きる為”に娼婦になる女性(主人公の母親)の姿が描かれている。
橋下市長は、「日本だけではなく、アメリカもかつては女性の性を利用していた」とtwitter等で述べ、アメリカをはじめとする諸外国を批判しているが、具体的にどのようなものだったのか、ほとんど説明していない。
諸外国の”軍隊と性”について批判するのであれば、戦後日本の”特殊慰安所”や上述のような朝鮮戦争直後の在韓米軍の慰安婦利用の状況について調べた上で発言しても、遅くはなかったのではないだろうか?