男の医療脱毛は痛いのか?しかもヒゲは特に痛いというが…やってみた!(1)

  by 古川 智規  Tags :  

以前に医師が開発した男性用の基礎化粧品である「ゴリラコスメティクス」シリーズをレビューした記事を書いたが、その開発した医師というのはゴリラクリニックという男性専門の美容医療機関を各地に開院している。

※参考記事
医師が開発した男性用の基礎化粧品群の「ゴリラコスメティクス」がアツい!
https://rensai.jp/455256 [リンク]

男性専用とはいえ美容クリニックとはなかなか耳慣れない。若い方にはポピュラーなのかもしれないが、昭和生まれの記者の世代には、男性が美容、しかも医療機関となると「美容整形」しか思い浮かばない。さすがにそれは関係ないと思っていたが、例えば医療脱毛の需要は多いそうで、標ぼう科目(内科や外科といった診療のカテゴリー)は美容整形外科ではなく美容皮膚科なのだ。よってひげの脱毛の需要は多い。確かに男性にとってひげは厄介な問題だ。できればひげをそる時間や手間は面倒で身だしなみにも影響する。これは何歳になっても同じである。それでも髭剃りは男性である限り仕方のないことで、脱毛しようとは考えもしなかった。そこで、本当に脱毛できるのか、痛くはないのか、そういったところを体験してみたのでレビューする。
数回の施術が必要なので、1回で書ききれないため数回に分けてレポートする。今回は第1回目施術までのレポートだ。

カウンセリング(診察)

一般的にカウンセリングと呼ばれる医師によるチェックは病院なので診察ということになる。総院長の稲見文彦医師が開口一番「痛いですよ」とのたまう。実はある程度わかってはいた。レーザーを使用して毛根その他のひげを生やす組織を死滅さる(レーザーで焼き切る)ことにより脱毛していく。よって毛穴の中では瞬間的にやけど状態になるので痛くないわけがない。特にひげは毛髪や産毛とは違い太いので特に痛いだろう。
レーザーは黒いものに反応する波長なので、白髪(ひげにも白髪はある)には効果がないことや、黒に反応するのであまり日焼けしないようにとの医師からの注意事項があり、麻酔が使用できるのかどうかの診察も行われた。このあたりがさすがは病院で、麻酔薬を使用できるのは医師(の処方により看護師が実施する)だけだ。そして全くリスクがないわけではないが、仮にやけど状態が続いたとしても、病院なのでその治療は即座に開始でき医薬品も院内処方で出すので安心してほしいとのことだった。これは美容サロンでは不可能な医療行為なので、安心して医師に任せればよい。

このような医療脱毛には健康保険は適用されないので、自由診療つまり全額自己負担である。では形成外科と美容整形をはじめとした美容系診療科目とは何がどう違うのか聞いてみた。
「やることは結果としては同じです。しかし例えば事故やケガや病気で体の部位が崩れてしまった際に修復して元に戻すのは形成外科の分野でこれは保険適用です。原因がケガや病気で社会復帰には必要な医療行為だからです。一方で、美容整形や医療脱毛は原因が治療が必要なケガや病気ではなく容姿を美しくしたいという願望で、必ずしなければならないことではありません。よって健康保険は適用になりませんので自由診療になります。」
なるほど、医療行為そのものは何ら変わらないということのようだ。

施術

こうして医師の診察が終了すると、看護師に案内されて一般の病院でいう処置室のような個室に通された。記者の場合はクリーム状の表面麻酔を塗るのではなく、笑気と呼ばれる医療用の亜酸化窒素を吸う笑気麻酔で施術を行うことになった。
笑気は鼻から吸うのだがガスが100%だと窒息してしまうので、酸素との混合気を効き具合を専門の知識を持つ看護師が観察しながら流していく。外科手術のいわゆる全身麻酔とは違い、気を失うことはないので意識ははっきりとある。
そして看護師があまり痛くない部位からレーザーを照射していく。レーザーは面で照射するので毛穴を丹念に1個ずつ潰していくのではない。照射された瞬間に冷却ガスが噴射されるので、水しぶきを当てられたかのような感覚だ。

看護師が徐々にひげの濃い部分に照射していくと、明らかに熱いし痛い。一瞬だけなのだが声が漏れそうな痛さが襲う。看護師からはバナナの形をした握り棒を持たされる。これを握りしめて痛みを我慢しろということだ。そんなことを言っても痛いものは痛い。女性がこれで全身脱毛をしているのかと考えるととても信じられない。ひげほどではないとはいえ、この痛みに耐えているのかと思うと頭が下がる。総じてやはり男性の方が痛みには弱いそうで、お産の痛みに耐えられる女性は偉大だと改めて思う。

それでもまったく我慢できないほどではないので、耐えながら施術を続けてもらった。記者は取材のために看護師と会話をしながら施術をしてもらっていたのだが、これが麻酔が効きにくい原因なのは知っていた。ガスによる麻酔は気管から肺に入り、肺胞で血管のガス交換を行うことで脳に運ばれる。そして脳に麻酔ガスが到達すると痛みを感じにくくさせるというプロセスなのだ。よって会話なんかをしていると呼気と同時に麻酔ガスが抜けてしまう。そこで最も痛い鼻の下を施術する際には1分ほど待ってもらい、笑気を肺いっぱいに吸い込んでしばらく息を止めて会話は中止した。そうすることで効果的にガスが脳に運ばれ痛みが感じにくくなる。参考にしていただきたい。

ようやく1回目の施術が終わり、笑気ガスを止め100%酸素をしばらく吸って完全に麻酔から回復したのを待って、顔に薬を塗ってもらい終了だ。看護師の話によると記者は体をよじらせたり悲鳴を上げることはなく、痛みに強い方だとのことだった。
では、レーザー照射の様子をダイジェストで動画にまとめたのでご覧いただきたい。

■配信記事連動・医療レーザー脱毛の実際
https://youtu.be/KnAwgaMBBQY

1回目のまとめ

1回目の施術で脱毛ができたわけではない。今現在生えているひげの一部は確かに死滅した。しかしその下から新たな髭が生えてくくる。そうすると死滅したひげはそのうち自然に抜けていく。
写真は洗顔後にタオルで顔を拭いたときに抜け落ちたひげだが、この抜け落ちたひげの元である毛乳頭は死滅しているので、もうここからはひげは生えない。しかし他の毛乳頭から新しくひげは生えるので、2度目以降の施術でまた同じようにつぶしていくのだ。数回やると明らかにひげが目立たなくなり、ひげをそる回数が減っていくということだ。そもそもレーザーによる医療脱毛で完全永久脱毛はできないとされているが、要はひげをそる面倒がなくなればよいので、毎日そらなければならない回数が減り、いわゆる無精ひげが目立ってだらしないということにならなければそれでいいのだ。

それでも施術の回数を重ね根気よく丹念につぶしていけば概ね脱毛はできるとのことだった。前述の通り白髪になったひげや、休眠中のひげが出てくることはある。そういった少ない例外をどう考えるのかにより脱毛の「効果」は個人により違ってくるのだろう。
ちなみにそんなに痛いのであれば眠っている間に終わる全身麻酔でしてくれた方が楽だと思うかもしれないが、そうした場合は必ず入院が必要になり麻酔からの回復に時間がかかるので、そのたびに数日間も会社を休むわけにはいかない社会人男性には最低限の痛みは我慢してもらうしかなさそうだ。
次回は2回目以降の施術とその結果をレポートする。

※写真はすべて記者撮影

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