ドイツでDJに登録・課金制度!テクノ大国崩壊の危機

  by 中将タカノリ  Tags :  

『ラブパレード』『Ruhr in Love』『MAYDAY』など動員人数が数万、時には百万を超えるテクノイベントが多数開催されることで知られるドイツ。ところがそのテクノ大国で、テクノ、クラブ文化の根幹であるクラブDJの活動自体を脅かす法律が施行される。

内容は”すべてのDJはGEMAなどの著作権管理業者と契約し、かつそのプレイにデジタルコピー楽曲を使用する際、その場に持ち込んだコピー楽曲1曲につき0.13ユーロの楽曲使用料を支払わなくていけない”というもの。法律は4月1日から施行され、これに反した場合は処罰の対象となる。現在のレートで換算すると0.13ユーロは約16円。仮に10000曲入ったパソコンを持ち込めば16万円もの使用料を支払わねばならず、よほどの大物でない限りそれだけでギャラが吹き飛ぶばかりか自腹を切ることになる。

実際に近年はDJプレイにパソコンやCD-Rを使用するDJが多く、筆者自身の経験でも1~2時間の持ち時間があれば500曲くらいのコピー音源を持参することはざらだ。「プロなら原盤を使用すれば」という指摘もあるかもしれないし、実際それにこだわっているDJもいるが、市販のCDの場合、重量は一つで約100g、LPレコードなら約500g。持ち運びに要する負担は大きい。また、アマチュア、アンダーグラウンドのイベントでは「素人が気軽にDJしたら案外盛り上がった」という現象は数多く、今プロとして活躍している人の中にもそういうきっかけでDJにハマっていったという人が多いのではないかと思う。つまり、今回の法規制はクラブ文化に属するすべての階層、将来に大きなダメージを与えることにつながるのだ。

日本でもこれまで風営法の時代錯誤な解釈やJASRACの著作権使用料請求により多くのクラブや飲食店が廃業に追い込まれてきた。既得権益をかさに、音楽文化を衰退させてでも一時の利益をむさぼろうとする輩がいることは洋の東西を問わない。
※画像を『laut.de』から引用いたしました

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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