『ドォーモ』と『水曜どうでしょう』は似ているのか?

  by 香椎みるめ  Tags :  

先日、KBC製作の『ドォーモ』にて、同じテレビ朝日系列のHTB制作の『水曜どうでしょう』のディレクターに会いに行く企画が放送されていた。北海道ローカルから口コミで人気を拡大し、今や全国各地のテレビ局が再放送を流している『どうでしょう』だが、KBCは「ほとんど『どうでしょう』を放送していない局」として知られる(2004年の「ジャングル・リベンジ」のみ)。それだけに今回の企画を非常に興味深く観ることにした。

『ドォーモ』出演者とスタッフが北海道に向かったのは、番組リニューアル後の【木曜ドォーモ】企画の放送中、Twitterにて「水曜どうでしょう」のキーワードが多くつぶやかれていたのが理由。リニューアル前から「どうでしょうと似ている」との指摘が耳に入っていたスタッフの発案で、『どうでしょう』のディレクターに企画が似ているかを“バカ正直に”尋ねに行くことに。

『ドォーモ』スタッフの心中を勝手に察してみると…

福岡県民の私にとっての『ドォーモ』は、旅先のホテルで偶然見かけて好きになった『どうでしょう』と同じくらい、馴染みのある番組だ。個人的には「似ている」とは思わない。どちらも深夜帯の放送だが、放送回数は全く異なる。1989年開始の『ドォーモ』は月~木、1996年開始の『どうでしょう』は水曜だ。福岡・九州の企画がほとんどの『ドォーモ』は「情報番組」、『どうでしょう』は「一風変わった旅番組」といった印象の違いもある。

ただ『ドォーモ』のスタッフの心中はどうか。あくまで想像だが、他地域では観られる『どうでしょう』をほとんど放送していないことに対する局への批判があったはず。結果的に深夜の枠を埋めている形の番組の作り手として、また同じローカル局の番組の作り手として、『どうでしょう』を意識してもおかしくない。会いに行った藤村忠寿ディレクターの情報(甘党、「魔神」の呼称)をさりげなく入れていたことからも伺える。

似ている点は探すほどに出てくるが、肝心の中身は…

『ドォーモ』一行が訪れたのは、藤村Dが『どうでしょう』の編集を行なっている一室。藤村Dは「同じ系列」という理由で『ドォーモ』は知っているとしながらも、「だからうちの番組を編成してもらえない」とぶっちゃけていった(もちろん笑いながら)。パクリ疑惑については「他の局もそう言われているのでは」とした上で、『どうでしょう』を意識せざるを得なくなった全国の若手ディレクターの心中を察していた。

藤村Dの舌鋒は【木曜ドォーモ】のVTRを観ながらの検証中も続く。「書体が似ている」「(スタッフと出演者で)4人だね」「カメラマン喋った?」「飛行機の画が…」「縦スーパーが…」と次々に指摘。どこか楽しそうである。肝心の中身を「違う」と断言した後で、「俺もパクっているから」「基本はパクリ」と笑い飛ばす藤村D。「公認でマネしているってことでいい」と告げながらも、「リスペクトしているなら、(番販を)とれよ」と一言。

似ているかどうかは決着がついた、今後は…

企画の最後は嬉野Dも含めた飲み会の様子。振り返ると、やはり興味深い放送であった。『どうでしょう』を放送しないKBC(のスタッフ)をチクリとした藤村Dだが、「似ている箇所を探せばキリがないし、真似される側の自分も真似してきた。要は面白ければ」という製作の姿勢が伝わってきた(もちろん以上のようなことを言ったわけではなく、私の推察だが)。『どうでしょう』のDVD宣伝も「面白いから」と自信たっぷりに語っていた。

私は大学入学時の歓迎会のあるシーンをよく覚えている。クイズ大会の中で「福岡深夜の人気番組の名前は?」という問題があった。あれから人気が大きく上下動したとは思えない。『どうでしょう』と似ているか否かの問題は、わざわざ北海道まで訪れて、藤村Dに会うまでした企画で決着がついたと思う。これからの【木曜ドォーモ】で、より面白い企画が生まれることを楽しみにしている。

画像: 『ドォーモ』の公式ホームページのキャプチャー
http://www.kbc.co.jp/tv/duomo/

香椎みるめ: フリーのライター、英日翻訳者、校閲者の三刀流。平成生まれ。性別は秘密。ウェブマガジン「GIGAMEN」で10年、計1890本以上の記事を執筆。サッカーの観戦記から始まった物書き屋は、「Yahoo!ニュース」や「ガジェット通信」に掲載された経験も活かしつつ、今は日本市場へ参入する海外企業の皆さんとタッグを組みながら、ありとあらゆる「文字を書くお仕事」をこなす日々。

Twitter: GigaMirumeK