日本の水は、他国と比較してカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の含有率が低いのが特徴。WHO(世界保健機関)の基準では100mg/L以下だと軟水ですが、国産のミネラルウォーターのほとんどが軟水に区分されます。一方で、アルプスを水源とする『evian』などの硬水を愛飲しているという人も多いのではないでしょうか。
味香り戦略研究所が発表した調査によると、各メーカーのミネラルウォーターでも水源地によって味に幅があり、料理に使う際にもその特徴が際立つとしています。
感性工学技術を活用した味覚センサーを用いて、ミネラルウォーター39品を比較したというこの調査。飲みごたえとミネラル感は、水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量と相関があり、海外から輸入される硬水はしっかりとした水の味わいが感じられるといいます。
また、国内産でも飲みごたえとミネラル感には幅があるといい、『ファミリーマート宮崎県霧島の天然水』は中軟水でミネラル感と飲みごたえが高め。逆に『シリウス 北アルプス安曇野の清らかな天然水』はすっきりとした飲み心地。富士山麓の水源地としていることを謳っているものは、似通った味わいになっていることから、水源地が重要だと分かります。『サントリー天然水 南アルプス』や『い・ろ・は・す 天然水』はバランスがよく、山梨・長野の水が多くの日本人の口に合う水だと言えそうです。
この調査では、冬の鍋などに使う昆布、かつお節、煮干しのダシと各ミネラルウォーターとの相性も比較。ダシの種類に関わらず、軟水は全体的に味が控えめでコクやうま味が際立つ味わいになり、中硬水はバランスの良い味わい、硬水は味の濃さやうま味の余韻が強くなる傾向になるといいます。また、硬水になるにつれ、ダシの透明度は低くなっています。
これを踏まえて、『サントリー天然水 南アルプス』のような軟水は雑煮やしゃぶしゃぶに、『ファミリーマート宮崎県霧島の天然水』をはじめとする中軟水は寄せ鍋やちゃんこに、『evian』などの硬水はキムチ鍋や豆乳鍋に合うと結論。ダシが濁ることがなく味わいを引き出すという点を重視するならば軟水のミネラルウォーターを使うとより美味しく感じられるかも? 一方で、味にパンチが欲しい時は輸入された水を使ってみるというのもアリなのではないでしょうか。
※トップ画像は『写真AC』より