ドールの加工食品本部は、“いつでもどこでも、全力ナチュラル<フル活>習慣”をスローガンに掲げ、“お手軽ナチュラル オールデイ・フル活”をテーマに、1年ぶりの新味としてバナナとキウイを初めて使用した『果物の恵みゼリー バナナ&キウイ フルーツミックス』を9月26日(月)より全国で発売する。
いわゆるパウチ系のゼリードリンクだが、実際に飲んでみたのでレビューする。
ドールと言えば昔から有名なのはバナナだ。本品はそのバナナを5%、ゴールドキウイを10%配合している。バナナの甘さとキウイの酸味が引き立つようにパイナップル果汁などを隠し味として加えてトロピカルな味わいに仕上げたとのこと。これらの果肉により、バナナの繊維質な食感やキウイの種のプチプチ感を楽しめる。
味としてはゼリー飲料を感じさせないスムーズな口通りで、果汁感はたっぷりだ。甘酸っぱさが目立つ先入観があったのだが、そんなことはなくバナナの優しい甘みが全体を整えている感じがした。その意味では忙しい朝にこそ最適な印象を持った。
ところで本品において特記すべき事項はもう一つある。それはバナナだ。現在では世界中から輸入されるが、バナナは昔から台湾やフィリピンからの輸入が多い。現在でも無形文化財的に継承されている「バナナのたたき売り」は、単なる啖呵売とは異なり必要に迫られて始まったものだ。輸出用バナナは産地ではまだ青い(緑色の)うちに収穫され、それを船積みして数週間から1か月をかけて北九州市の門司港に到着していた。現在でも機能しているバナナ倉庫に陸揚げされ、熟れるのと店頭に並ぶタイミングを見計らって倉庫から出荷された。しかし中には船で輸送中に熟れてしまうバナナも存在し、そういうものは陸揚げ後すぐに売り切らないと痛んでしまう。つまり陸揚げ直後にすでに食べごろになっているのだ。そこで都市部に輸送する間もなかく、熟れてしまったバナナをまとめて安く買い取った業者が倉庫に近い門司港でその日のうちに叩き売ったのが始まりと言われる。もったいないバナナの発祥ともいえるのかもしれない。現在では温度管理が昔ほど難しくないので職業としてのバナナのたたき売りはなくなってしまった。しかし輸送形態は基本的には同じなので技術が発達してもなお、熟れすぎや形が悪いことやキズが入った等の理由により、流通経路に乗らないバナナはある。国内の野菜でも同じなのは承知の通りだ。そのようなバナナは廃棄されることになる。
同社ではまだ美味しく食べられるにも関わらず、流通過程における様々な要因により、捨てざるを得ない廃棄バナナである「もったいないバナナ」を加工して利用している。こうした食料廃棄を極力減らし口に入るようにするのは何も「もったいない」だけではなく産地農家の増収にも貢献し、消費地では味や品質は変わらないのに廃棄されるものを安く美味しく口にすることができることにも貢献する。
細かいことだが、こういった背景も知ることで、世界の流通問題や産地の問題にも心を寄せていただければ、広く優しい心が芽生えるというものではないだろうか。
高度な情報化社会の中で何でも知っている感じがして実は何も知らないということは多い。世知辛い世の中で甘酸っぱい『果物の恵みゼリー バナナ&キウイ フルーツミックス』を飲む短い時間に、さまざまなありがたみを感じることができるだろう。
※写真はすべて記者撮影