みなさんは、オープン・ドア・チャーチをご存知だろうか?
直訳すると”開かれた扉の教会”、つまり、どんな宗派であっても受け入れてくれる、教会を指す。たとえ、プロテスタントだろうが、カトリックだろうが、その門戸は開かれているのだ。
これは、アメリカのカリフォルニア州で始まった、新しいスタイルであり、今後この流れをくむ教会が増えてくると予想される。
仏教で説明すると、浄土真宗、真言宗、日蓮宗など、宗派の違いを乗り越えて、同じお寺で拝みましょうということになるのであろうか。
そんなオープン・ドア・チャーチをサンフランシスコに訪ねてみた。
入口から中へ入ると、明るく開放的なロビーがある。一番に目を引くのは、美味しそうなドーナッツ、ベーグルパン、コーヒー、紅茶などが用意されているテーブルだ。これらの軽食は、寄付金をしてから、いただくことができる。寄付金は、1ドル程度で大丈夫だ。
おかわりして、好きなだけ食べることが可能だが、みな、お行儀よく1つしか取らない。一人が欲張って取り過ぎると、他の人に回らないためで、助け合い、譲り合いの精神が息づいている。
また、奥には、バーカウンターが用意され、アルコールの提供をしている。もちろん、この場所でも、きちんと寄付をしないと失礼にあたる。飲み過ぎて、酩酊状態になっている人などいない。
子供を連れた家族の姿が多く見受けられる。教会の中に託児所があるため、親たちは安心して礼拝を受けることができるためだ。
やがて、時間になり、礼拝が始まった。ロビーには、モニターが設置されていて、中に入らなくても、参加ができるようになっている。
礼拝堂の中は薄暗く、ステージの上部に大きなスクリーンが3枚、設置されている。この教会では、讃美歌の演奏が、オルガンを使用しない。その代わりに、バンドマンたちが演奏をする。ボーカル、ギター、ドラム、ベース、とかなり本格的な編成だ。もちろん、アコースティックの演奏ではない。
歌の歌詞は、スクリーンに映し出される。もちろん、英語のみだ。
と、ここで、聞き覚えのあるイントロが流れ始めた。
あろうことか、ローリングストーンズの”悪魔を憐れむ歌”にそっくりなのだ。もしやこのまま、その曲を歌うのだろうか…。
心配になり始めたところで、歌が始まり、突然に曲調が変化する。
イントロは、そっくりだったが、やはり普通の賛美歌だった。
余計な心配など必要なかった。当たり前といえば、当たり前だ。
歌に続き、祈り時間、報告と続いていく、恋人同士、夫婦などは、手をつないでいる。さすがゲイにオープンなサンフランシスコらしく、ゲイと思われるカップルが、堂々と頬をすり寄せあっていた。
そして、いよいよ牧師さんが登場である。直接、礼拝堂に来るのではない。他の会場と中継で繋がっていて、スクリーン上に映像が映し出されるのだ。
ここでも、また、驚いた。牧師さんがジーンズを履いている。スーツ姿の牧師さんが多い日本では、考えられないことだ。やはり、自由の国、アメリカならでは。
牧師さんの話が終わると礼拝も終了となる。
日本でも、2011年2月末、同じような施設がオープンした。札幌に誕生した同所は、”オープン・ドア・チャペル”と名付けられている。
同じように神を信じ祈るのなら、宗派の違いを乗り越えて、みながひとつになる。ありそうでなかった、素敵なコンセプトではないだろうか。もし機会があれば、一度訪れてみては、いかがであろうか。日本の教会をご存知の方なら、カルチャーショックを受けること間違いなしである。
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