食用の犬たち

連日の猛暑でウンザリしますが、毎夏猛暑が訪れる度に蘇るのが5年前に製作したドキュメンタリー映画『アジア犬肉紀行』の一場面。中国・吉林省の僻地に存在していた犬の屠殺場を取材できないか訪れたところ、あいにく日曜日で工場は閉まっていました。工場内から犬の鳴き声が聞こえたので、咄嗟に塀の隙間から中を覗いてみると炎天下に晒されたケージの中から食用の大型犬が悲鳴を上げてこの世を恨んでいたので、僕もゲンナリした記憶が蘇ります。
そんな、800万の低予算で東アジアを長期間放浪して作った映画『アジア犬肉紀行』がAmazonプライムやDMM、ドクソー映画館、アジアンドキュメンタリーズ、vimeo等で配信されてから3年が経ちました。お陰様で、アジア圏に於ける犬食事情も少しは浸透したかと思われます。国会議員の串田誠一先生も、この映画がきっかけでその後、国会に於いて違法な海外の犬肉輸入禁止を訴えて議題にあげて調査を行って頂いています。

ですが、まだまだ犬食という犯罪(現地でも歴とした法律条例違反です。)をご存知ない方の為にも、この映画をご紹介させていただきます。
【Amazonプライムで映画『アジア犬肉紀行』を観る。】
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『アジア犬肉紀行』の撮影ヶ所を★印で記載してみました。

中国大陸、下から南寧市(ここから南東200キロ地点に玉林【ユーリン】市があります。)
その上が広州市(所謂、中国人は何でも食べるという逸話はここから発展したもの。香港も近いので勿論、広東語圏。今回の映画で偶然に撮影された、犬肉産業のトラックを止め、生きた犬たちを救出・移送保護・治療等を長期間施したのも、この周辺に住む若い世代たちが中心でした。)
真ん中の★印は河南省。我々は、鄭州という中国で最も大きい駅から、タクシーで二時間走った所に存在する【中国小動物保護協会・河南省事務所愛心救助ステーション】という屠殺場などから救った食用犬を中心とした保護施設を取材した。また、そこから更にタクシーで一時間弱走ったエリアに、飼い犬などを食用として出荷する工場も突き止めました。
その上の★印は、天津市。楊さんのシェルターもここに存在します。
一番上の★印は吉林省・長春市。(戦時中、日本が満洲国として侵略した地です。朝鮮半島が近いという事で、朝鮮族も多く、中国大陸でもかなり犬肉の消費量が多い土地です。) 王岩さんご夫婦が独自に3000頭の犬たちを保護している施設もこの地にあります。
そして、韓国ソウル。城南市、その他、金浦周辺と京畿道龍仁市など数か所の犬繁殖場・飼育場(すべて劣悪な衛生でした。)
日本は東京のみの★印ですが、実際には東北、関東近郊、関西などで、犬食の慣習が続いた昭和30~50年のお話しを取材する。実際の屠殺方法や、犬の仕入れ先などの証言を聞き出しました。(これらの資料は過去には殆ど残っていません。)
この東アジア一帯の広大な犬肉にまつわる流通網が存在します。その他の、ベトナム、タイ、インドネシア、インドなどは今回では予算と時間の都合で、記録する事はできませんでした。仮に1000万程の制作費が与えられたら、もっと中国の奥地にまで足を運び、いったい犬たちはどんな手段で、どこから来たのか?まで記録したいと考えています。

そんな、私の新作映画2本が来週7月20日から一週間、大阪のシアターセブンというミニシアターにて公開されます。4年間、動物虐待犯と対峙し続けた記録映画『動物愛護法』(116分)と、その想いを劇映画として表現したドラマ仕立ての映画『彷徨う魂』(92分)です。http://www.theater-seven.com/mv/mv_s0470.html

日本各地の蕎麦屋さんを探索中。