中小企業の経営者は、事業承継に悩んでいることが、エヌエヌ生命の調査で浮き彫りになった。
まず、中小企業経営者100名に、経営する会社を引退、離脱した後の後継者について考えたことがあるか聞いたところ、「はい」と回答したのは61.0%。
中小企業経営者の妻100名に、夫が経営する会社を引退、離脱した後の後継者について考えたことがあるか聞いたところ、「はい」と回答したのは39.0%で、夫婦間で22.0ポイントも差があった。
また、中小企業経営者100名に、後継者を自分の子どもにしたいと思うか聞いたところ、「はい」と回答したのは28%で、後継者を妻にしたいと思うかと聞いたところ、「はい」と回答したのはわずか6%。
いっぽう、中小企業経営者の子ども200名に、父親の経営する会社の後継者になりたいか聞いたところ、「はい」と回答したのは18%、中小企業経営者の妻100名に、夫の会社の後継者になりたいか聞いたところ、「はい」と回答したのはわずか5%だった。
さらに、夫の会社の後継者になりたくない・わからないと回答した中小企業経営者の妻95名、父親の会社の後継者になりたくない・わからないと回答した中小企業経営者の子ども164名に、その理由を聞いたところ、いずれも「経営者にふさわしくない、向いていないと思うから」という理由が1位に。
そして子どもを会社の後継者にしたいと思わない、わからないと回答した中小企業経営者72名、子どもを夫の会社の後継者にしたいと思わない、わからないと回答した中小企業経営者の妻84名に、その理由を聞いたところ、いずれも「本人の意思がわからないから」という理由が1位という結果に。
また、妻を会社の後継者にしたいと思わない、わからないと回答した中小企業経営者94名に、その理由を聞いたところ、「本人が後継したいと希望していないから」と同率で「本人の意思がわからないから」という理由が1位に。
「本人の意思」を確認するため家族間のコミュニケーションが必要
中小企業の事業承継問題は、「本人の意思」を確認するために、家族間のコミュニケーションが必要だという結果が浮き彫りになった、今回の調査結果。
エヌエヌ生命カスタマーエクスペリエンス部 小橋秀司部長は、今回の調査結果を得て、こうコメントしている。
「本調査では、中小企業経営者夫婦とその子ども、それぞれの意識の違いがわかる結果となりました。とくに中小企業経営者と妻は、それぞれ配偶者や子どもから尊敬をされていながらも、その自信を持ち切れていないようです」
「普段、そのような感情をあえて言葉にすることは少ないと思いますが、この調査結果をきっかけに、お互いの尊敬の気持ちを言葉にして伝えあっていただくと良いかもしれません」
「また、中小企業経営者の多くは、妻や子どもに会社を引き継ぐことに消極的でありましたが、その理由としては「本人の意思がわからないから」が最多でした」
「このことから、会社の後継者選びなどの事業承継について考えていくにあたっても、家族内でのコミュニケーションを深めていただく余地がありそうです」
「経営者とその家族が会社の将来について話し合う機会を」
「当社では、昨年2021年10月20日より中小企業経営者の妻に向けた情報提供サイト「つぐのわ」(https://www.nnlife.co.jp/wife-succession)の運用を開始しております」
「経営者の妻だからこその疑問や不安にお答えし、いまからできる備えやお役立ち情報をお届けしています。本調査や「つぐのわ」をきっかけに、経営者とそのご家族が会社の将来について話し合う機会を日常の中で少しでも持っていただければと考えています」
___「つぐのわ」は、全国1000名以上の中小企業経営者の妻が登録する事業継承情報サイト。
一般社団法人緊急事業承継監査協会 伊勢田篤史 弁護士 監修のもと、現経営者の突然の経営離脱・相続発生時における事前準備を促すことで中小企業の円滑な事業承継を支援している。