刑務官を目指すあなたへ!意外に大変?「刑務官になる」方法

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

先日は4月11日月曜日の『5時に夢中』マツコ・デラックスさんの回に出演をさせていただきました。そのときのテーマがこのガジェット通信でも取りあげた【勝手に他人の家に住む男】というもの。

犯罪者インタビュー:「他人の家に勝手に住む男」に話を聞いてみた
https://getnews.jp/archives/2137957

彼はのちに住居不法侵入や窃盗の容疑で逮捕されて服役と相成りましたが、彼の世話をしたのが収監される施設を管理する刑務官なのですね。いつも、刑務所の裏話などを綴っている筆者のコラムですが、彼らのような職業に就くには、一体どのようにすればいいのでしょうか?

・連載《刑務所》シリーズ
https://getnews.jp/search/%E4%B8%B8%E9%87%8E%E3%80%80%E5%88%91%E5%8B%99%E6%89%80

今回は、元刑務官の経験を持つ現在は探偵業を営むWさん(49歳)にお話をお聞きし、受刑者とはまったく真逆の立場にあたる《刑務官》になる方法をお伝えしたいと思います。

刑務官としての素質を見極められる試験!

丸野(以下、丸)「刑務官の仕事というのは安全なものなのですか?

Wさん「いえ、刑務所が安全だと思ったらまったく違いますよ。自殺未遂や暴行事件、刑務官への暴行、受刑者の死傷事件や脱走なんてのは当たり前で、それは年間で4万3千件にも上ります。誰も知らない獄中のことは数多くあり、それなりの体力と精神力がないと刑務官は務まりませんね」

丸「では、刑務官になるにはどのようにすればなれるんのでしょうか?

Wさん「刑務官になるには、採用試験に学歴の制限はありません。しかし、筆記試験と体力検査など一定の基準がありますね。まずは《刑務官採用試験》に合格してしまうことが一般的な順番。これは法務省や人事院が行っている試験です」

事細かい受験資格

丸「受験資格はどのようなものなのですか?」

Wさん「試験が実施される年度の4月時点で17歳から29歳未満の男女。高校卒業程度の知識がないと、一般公務員としての基礎的能力が問えませんから《筆記問題》と《作文》、《面接》をパスしなければいけません。その後に、《体力検査》。また、採用試験の中には《武道枠》というものがあります。この枠は体力検査の代わりに、柔道や剣道の実技を見られるわけですね」

この後、試験に無事合格した採用者は一定の研修を受けて、実務に就く刑務施設に配属になるということです。

刑務官の仕事とは?

丸「刑務官のお仕事は主になにを?」

Wさん「全国に点在する拘置所や刑務所などで刑の未確定者、受刑者の指導や管理などを行います。刑務官は、拘置所、刑務所、少年刑務所などで、収容者に対する日頃の生活指導や施設管理などの任務を遂行します。拘置所では、収容されて拘留中の被疑者と被告人が証拠隠蔽したり、逃亡したりすることを防ぐため、出廷前の護送や施設保安警備などを担うわけです。また、刑務所や少年刑務所では、受刑者が社会復帰できるように、受刑者処遇に関する多くの業務に携わるわけです

丸「刑務官というのは、休みがないというイメージがあるのですが……

Wさん「ええ、拘置所や刑務所というものにはゴールデンウイークや盆正月はありませんね。交替制で常に勤務しているということです。1週間あたりの刑務官の勤務時間は39時間と定められています。しかし、拘置所や刑務所などの施設は24時間体制で稼働しているので、自然と交替勤務になるわけです」

丸「やはり大変ですね。常に気を張っているわけですから……」

勤務地は本人の希望を聞いてもらえる

丸「勤務地はどのようにして決まるのですか?」

Wさん「勤務地に関しては、刑務官本人の希望考慮。だから定年前になったり、親の介護が必要になったりした場合は、実家近くに戻る刑務官も多いです。しかしあくまでも配慮なので、同じ管轄内で異動することもありますよね」

丸「ほほう。刑務官に向いている適性というものはあるのでしょうか?」

Wさん「先ほど仰られていたとおり、刑務官は常に被疑者、被告人、受刑者へ気を配っています。そのうえに、自傷行為や自殺などをされないようにメンタル的なフォローもしなければいけません。もちろん生活指導や社会復帰の支援まで……。そこで必要になってくるのは、職務に対する強い使命感。さらに、倫理観や職務上の法律知識、教育や心理学に対する理解の深さまで多岐にわたります。だからこそ、一般国家公務員と比較して10%を上回る高水準の給与をもらえるんですね」

丸「高い給与をもらっているんですね」

Wさん「それもそのはず、公安職給与の規則が適用されているんですよ。そこに各種の手当が上乗せされます」

丸「公安職なんですね」

Wさん「しかし、刑務官は集団職務です。上長や同僚、後輩とのコミュニケーション、検察庁を含めた関係機関などとの協力体制を整えたりして任務を遂行しなければいけないので、気がすり減って大変です。そのうえ、刑務官採用試験の受験者は減少の一途をたどっています。職務の負担増で大変な状態なんです」

Wさんの話では、刑務官採用試験の受験者数は、2019年の1万1千525人からこの3年間減り続け、昨年2021年では4,532人。合格者数は1,019人でした。凶悪犯罪、外国人犯罪などが増える中、これからも刑務官採用数は減らないものとのことでした。もしあなたが、採用条件に当てはまっていたとすれば、一度試験を受けてみてはいかがでしょうか?

市民の安全な生活を守る番人として、社会貢献に携わるチャンスかもしれませんよ。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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