追憶の神器(レガリア)壱・再来の鬼神(連載小説)

episode.19 追憶の神器(レガリア)
壱・再来の鬼神

日神ジャスティオージ外伝~Secret of Birth~
(連載小説)

(イラスト・小林ユキト)※イメージイラストはアマテライザーを持ったテルヒコとユタカ

(小説版キャッチコピー)

「灼熱のなか真実が蘇るー!」

神代~弥生、平安、戦国、令和と繰り広げられる

魂ゆさぶる伝奇スペクタクル、

愛を巡り戦う戦士たちが紡ぐ群像劇(ドラマ)ー。

(あらすじ/邪馬台国の戦火を逃れ残った神秘の鏡、アマテライザーに導かれる記憶を失った青年テルヒコと彼を導く女神ユタカの壮大な歴史の波を駆ける大河アクション小説。台詞後ろ=( )キャラ名)

登場人物(テルヒコ/本作の主人公。記憶を失った青年。その正体は滅びた邪馬台国のかつての王子。)

(ユタカ/鏡を通してテルヒコを導く謎に包まれた女神。かつての卑弥呼の後継者。)

(石上雅也/魔界に魂を売りテルヒコと彼の祖父大善らと対立するライバル。九頭竜と契約し後に令和の世において冥王イブキとなる。)

画像・戦国時代、耳川の合戦にて初期創聖者三人。(テルヒコ・シマコ・サクヤ)

中央/テルヒコ
(記憶を失い戦国の世を彷徨う王子テルヒコの創聖した・スサノヲアームド形態。自ら戦う理由、愛する者たちの記憶一切を忘れており闇を討つその本能のまま修羅の如く闘い続ける。)

右側/シマコ
(邪馬台国時代のテルヒコの親友シマコこと浦島太郎が創聖した水神ワダツミ。テルヒコからかつて神器を渡されており海底の龍宮で特殊能力を身に着けた。)

左側/サクヤ
(神器継承者として宮崎を代々守護してきたコノハナサクヤヒメの後裔、姫神サクヤ。公私ともに使命に生きサクヤを名乗る。蔦のような重火器、カグツチを愛用するスナイパー。)

(※本作品はフィクションです。本小説に登場する人物および団体事件いっさいは実際に存在するいかなる人物および団体とも関係はありません。)

(以下冒頭文)

時は戦国時代、天正6年(西暦1578年)・・・。

日向の地。当時帰郷していたテルヒコが居たその場所は、

西の関ヶ原といわれるほどの合戦、まさに後世語られる「耳川の戦い」が引き起こされた主戦場となっていた。

数多く死者の怨念が徘徊し、凄惨な戦地となったこの地に、現在では英霊を祭る石碑が建つ。

後のクロウ宮崎支部の牙城となる高城時計台。かつてそこには難攻不落の要塞といわれた

巨大な島津軍の城がそびえていた。

豊後国(今の大分県)のキリシタン大名であった大友宗蘭の大いなる夢は、まさに広大なこの日向の地に彼のキリスト教王国を建設することにあった。

熱心で飽き性、情け深く時に暴虐という
両極端な性格を一つに内包した男でもあった宗蘭は、一度傾倒したキリスト教を国内に布教すべく

キリスト教とは別の宗教や信仰文化、仏教や神道にまつわる神社寺院に至るまでを一気に破壊した。

古来からの信仰を伝えていた日奉神社の本殿も、この時の宗蘭(大友軍)の侵攻によって炎の中うち壊され、神社の伝承は

その多くが行方不明となってしまっていた。

(以下エピソード本文)

ドッガァアーーーン!(砲弾の直撃する音・追撃・残響音)

そのとき、雪崩のように撃ち込まれたフランキ砲が、その漆黒の異様の鎧武者の胸部装甲に連続し直撃した。
※(日本で初めて使用された西洋の大砲)

「・・・・・・・(創聖したテルヒコ)」

「国崩しを受けても立っておるとは、どういうことなのだ・・・。(大友宗蘭)」
※国崩し=フランキ砲の異名。敵国を崩す程の武器という意味でそう呼ばれた。

1578年、日向国へキリスト教国建設のため、いよいよ大友軍の侵攻がはじまった。

「・・・・・・・・。(テルヒコ/黒き鎧武者)」

「援軍か?!おっおまえはう、う゛わアアアーーーー!!!(頭を砕かれる大勢の島津兵たち)」

表情の悟られぬ武者の顔、光に照らされ浮き上がったその鎧の形相は

大友・そして彼らと戦地にて敵対し争っていた、島津の兵士たちに異質な恐怖感を与えた。

(こいつはきっと、いや絶対に俺らの仲間じゃないー!)※兵士たちの直感

「ギャアァアなんだ、なんだこれはぁあーーあぁああー!!(胴体を手刀で貫かれ引きずり出される大友兵たち)」

「やめでっう・・ぎゃああ!(大友兵)」

「なんだあいつは・・・うっうて、撃て!撃てェエーーー!!!(大友宗蘭)」

「ガ嗚呼――――――――――ッ!(テルヒコ)」

獣のように、兵士たちの鎧を唐竹割にねじ切り、歪みはじけ飛ぶ戦国の戦士たち。

頭部を、腕を・・・、足を搾り上げ、響く絶望、悲鳴。

水に染みさせた襤褸雑巾を最後の一滴まで絞るように

敵地に突如として現れたその黒い武人は数百に及ぶ兵士の体・・・そのパーツを、敵味方無差別に粉砕させていった。

「・・・・ダ嗚呼アッーーー!(テルヒコ)」

「何奴か知らぬが・・・こちらにはとっておきの隠し玉がおる!行けェエ!わが聖霊(土蜘蛛)よォオ!(大友宗蘭)」

「・・・・・・・・・!(テルヒコ)」

シュパァアーーン!(空を断つ剣、ちぎれる蟲の胴体)

分離(パージ)した兵士の鎧の中から現れる土蜘蛛共、

飛び跳ねる化け蜘蛛共を一様に蹴散らし、

武者の腕に光る叢雲(ムラクモ)の剣が戦地に嵐を巻き起こした。

ブガァアアアーーーッ!(戦地に巻き起こる竜巻)

「う、うわああーーーっ!(大友・島津軍)」

「・・・・・・・な、なんなのよ、あいつは・・・!(サクヤ)」

木っ端みじんに太刀により千切られ、むしり取られる土蜘蛛の足、人間の四足・・・。

戦国の世において、その使命に生きた戦士である女武者、当時の姫神サクヤはその異形の戦士の荒ぶる戦い、

否強烈な絵図としか言いようもない光景に、驚きを隠せずにいた。

幼い時節、御伽草子で聞いた世界と違う生のバトル。

神社や絵馬にあった色彩とも違う。

「お爺様からかねてより聞いていたものと違う。土蜘蛛・・・。(サクヤ)」

(あの黒き鎧武者は・・・!)

「・・・あれは、・・・オニだ。(サクヤ)」

彼女は戦地において、確かにそう確信した。

三神器を継承する者。社にて神宝として極秘にされていた勾玉である

咲夜威座(萌芽精霊魂サクヤイザー)を授かり5年の月日が過ぎていた彼女(サクヤ、当時17歳)にとって、

聖地さえ火の海に変えるマガツカミたちとの戦いは、当時武士たちが己の覇権を争い戦ったこと以上に重大な使命だった。

幼いころから女武者として、武芸百般に富む才女としてもその覚悟を決めていた彼女、終生使命に生き公私ともに姫神サクヤとして

この日向の地を防衛せんと決めていた。

この度の大友軍の侵攻は、サクヤヒメの力を継承した彼女らの総本家、宮崎の聖地の元締めでもあった都萬宮神社(モデル=都万神社)と、

彼女自身にとっても自らの全てをかけ阻止すべき(巨大なマガ)そのものであった。

「・・・・あやつは、間違いない・・・!(サクヤ)」

サクヤの持つ植物・蔦(ツタ)のような伸縮自在の重火器、カグツチから放たれた火炎弾が

鎧武者の周囲に無数に打ち込まれた。
※カグツチ=火山、炎の神。サクヤヒメの先祖といわれ姫神自身も火中で子を産むなど
炎のような激しい火山のパワーを持つとしおそれられた。

「わたしが当代サクヤの誇りにかけ、焼き討ち滅ぼす!(姫神サクヤ)」

ゴゴゴゥアアアアアアアッ!(火球飛び交う戦地)

「・・・・・・・(テルヒコ)」

「恐れをなしてひるんだかあっ!(サクヤ)」

炎の中、突如として武者は行動を停止した。

「・・・・・・・こいつめ!な、なんて強(したた)かな鋼なの。やはりただの鎧武者ではない・・・。(サクヤ)」

一人の将としての判断により、サクヤは現在の大友軍と島津軍の二局を引き離すことが、
鎧武者を討ち取る上で、戦禍を最小限度に抑える最善の策と考えた。

バッ!

「あ、あの軍は、もしや神女の・・・・・・・!(大友・島津軍)」

「・・・・皆の者、命が惜しくば去りなさい!灰にされたいか!(姫神サクヤ)」

「愚か者どもよ!姫神サクヤ直々の詔(みことのり)であるというのだ!この無礼者めぇえ!(サクヤの護衛兵たち)」

「だからあれほどやめろと言ったのだ・・・!(大友兵)」

「まだ新納にて権勢を張っていたか、日下部家めえ・・・・分が悪い!・・・皆の者、退け!これ以上はやめろ!・・・・浅間大明神の怒りに触れるぞぉお!(大友兵)」
※浅間の神=富士山で祀られたサクヤヒメのこと。(新納=昔の宮崎県の中央地域の呼び名)

「大火事になるぞ、皆ひけぇええ!!!(大友・島津軍)」

「・・・・・・(よ・・・よかったわ~~~。)・・・(サクヤ)」

「こうなるのは見えていた。日向侵攻など夢だと。道雪様のご助言のとおりなされば・・・・(大友軍)」
※立花道雪=宗蘭の忠実な部下。当時日向侵攻を反対していた。

「ばっバカ者が!かまわぬ!相手は断じて神などではない!あんな、ただの娘っ子だ!
神はデウスただ一人!いいや私こそが・・・。
貴様ァア、この儂のいうことが聞けぬというのかァアッ!あ、まておいい!(大友宗蘭)」

「宗蘭め・・・よほど人望のない将とみえる。神をも畏れぬ所業、いつか天罰がおりるぞ。(島津軍)」

「大友家もおしまいだな・・・。やはり戦いは数などではない。あな恐ろしや。(島津兵)」

騒めき立つ兵士たちのなかに一人佇む武者(テルヒコ)は、去り行く敵軍を眺め身動き一つ取らずにいた。

(・・・散らばってる兵士たちの容貌が・・・)

「・・・・あ、あれは・・・!(兵士たちの、あの顔は!)(サクヤ)」

まるで神スサノヲのごとき魁偉な黒鉄(くろがね)。

照り輝く鎧武者の周囲に散らばった、彼が粉砕し倒した人間たちの顔・・・。

彼女が目を凝らしてよく見つめると、倒れされた兵のいっさいは人の顔をしていない、魑魅魍魎の相。病的に膨れ上がり、牙に触角、複眼がせり出たマガツカミのものであった。

その黒鉄の狂戦士は、(人ならざる者=土蜘蛛)に肉体を変質させる真っ最中の兵士のみに焦点を絞り、正確無感情にその剣を振り下ろしていた。

「・・・この黒いヤツは、即座にマガツカミと判じて屠(ほふ)っていたというの・・・?(サクヤ)」

戦いの中で常に彼女特有の勘(センシティブ)を張り巡らせていたサクヤは、それを瞬時に直感した。

「(邪鬼、ではない・・・)もしや、この男は・・・・・・(サクヤ)」

創聖を解いたその男(テルヒコ)の眼には、一粒の涙が浮かんでいた。「泣いてるの・・・?!(サクヤ)」

「教えてくれ・・・・。俺は、どこへゆけばいい・・・・・。(テルヒコ)」

ドサァアッ!(倒れるテルヒコ)

血を流し倒れた青年の上体を、彼女は揺さぶり起こしその目で、その表情をしっかりと見た。

「親方様・・・・お下がりください!(サクヤの護衛兵)」

「待て、こやつを殺してはならぬ。(サクヤ)」

「・・・・・サクヤ様、その男を、どうなさるのです?!(サクヤの護衛兵)」

サクヤとともに戦地にいた護衛兵たちが、先ほどの武者の戦いを想起し恐怖に駆られた表情で、彼らの姫君に問うた。

「ひとつ・・・思うところがあるのです。この男を我らの社に、屋敷まで運んでください!(サクヤ)」

「こ、ここここいつぉおお???ぇええええええ???(仲間たち)」

「やはり・・・先刻の矢文の通りであった。(サクヤ)」
※矢文=弓矢に刺さった手紙

「この男は何奴ですか?!(仲間たち)」

落ち着き払った表情で、当時戦国の世を生きたうら若き日向の姫君は告げた。

「おそらく私の見込みが正しければ・・・・・・(サクヤ)」

「こやつは、我らと共に新たな日向の防人(さきもり)となってくれる・・・”鬼神”やもしれぬ。(サクヤ)」

(次回へつづく!)

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