告白!借金まみれで「ヤクザの盃事会場」の手伝いをした男が見た風景

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

暴力団のVシネマなどを観てみると必ず出てくるのが、盃事(さかずきごと)です。襲名披露や兄弟盃、親子盃、放免祝い、事務所開きなど事あるごとに様々な儀式があります。

暴力団に属するヤクザの特色はこれでお分かりの通り、親兄弟よりも深い血縁関係で結ばれているということです。

さらに義理がけ(ぎりがけ)もあります。こちらは、結婚式や葬儀、婚葬祭のことです。さらにここに付随するのが定期的に執り行われる法要やディナーショーへの参加など、多岐にわたるわけです。今でこそ、自前の会場で行われるこのような盃事ですが、以前はホテルや料理旅館で執り行われていました。

人の数が減ったヤクザ業界―そんな中、借金まみれで盃事の手伝いを命じられた男性・吉永満さん(44歳/仮名)に、今回は自分が目にした業界の盃事の作法についてお話を聞きました。

盃事、義理がけには様々な呼び名がある

丸野(以下、丸)「盃事や義理がけの現場というのはどのような感じなのですか?」

吉永さん「若手の組員でもないのに、準備や作法、金額、後始末まで部屋住みの方たちと一緒に学びましたね」

丸「いろいろあると聞いています。《盃事》と言ったり、《交盃》《盃式》とか」

吉永さん「ほかにも《縁組》や《結縁》なんて呼ばれるものですね。部屋住みの方々には非常にお世話になって、優しくしてもらえましたよ。暴力団の盃事というのは、暴力組織独特の習慣と伝統に基づいてずっと引き継がれてきた文化のようです

丸「元来日本では、恒久的に約束を結ぶのに盃を交わすという風習もありますからね。結婚式で三々九度とか一気に飲み干すとか……

吉永さん「目の前で初めて見ましたが、昔からの厳粛な雰囲気の中で格式や作法が決まっていて、物々しかったですね。秘めごとの儀式のようで……。ヤクザ社会では、この盃事はただの儀式ではなく組長以下の組織統制やら団結やら、意識を高めることを目的としての大切な役目があるわけです。でも、昔借金して“人数が足りない”や“手伝え”、“体使って払え”、“失礼のないように……”と言われた盃事のときはピリピリしていましたよ」

丸「部屋住みという扱いで人集めとかしておかないと、格好がつかないですもんね」

吉永さん「暴力団の盃というものはすごく厳しい上下関係があります。《貫目(かんめ)》の違いにより上下の関係が決定して、兄弟盃という盃事で《分違い(ぶちがい)》の兄弟分になるんです。だから兄弟と言えども弟分になると……。それも、部屋住みの先輩から聞きました。

知り合いから聞いたんですが、今は、こんな盃事を行うこともなく、口頭のみで簡略化した方法で“どこの組織に所属しているか”の身分を証明している例も多くなっているようです。僕が呼ばれることもなくなりましたね」

ヤクザの親子盃

吉永さん「親子の血縁関係を示すのが親子盃です。僕が出た盃事は、吉日。日取りの決定日になると、清めた式場の床の間に大きな祭壇を設けて、右側から《八幡大菩薩》《天照皇大神》《春日大明神》の3つの掛け軸が掲げられます

丸「それはどういう意味が?」

吉永さん「知らなかったんですが、誓盃(せいばい)という儀式にこのような掛け軸を掲げるのは、暴力団の強い親分衆の信仰が厚く、強者の親分の上段に民族神と二武神を置き、力がみなぎるようにするためですね。これも意味を教わったんですが……

丸「なるほど……」

義理がけでは月に数百万円を包む

吉永さん「この義理がけが組織や親分の実力につながっているという話もお聞きしました。祝儀の金額や高級車かどうか、若い衆の振る舞い、人員、組織の台所を見透かされるというわけです。何度かお手伝いに行きましたが、よく来られたのは、某親分でしたね

丸「どんな感じでしたか?」

吉永さん「全国を行脚するんですが、自宅近くの義理がけには数件、数百万円を持って回るそうです。数回、小遣いだと言って1万円をもらいました。それとは真逆で、義理がけに向かわない組長などは、評判が悪くなります。それだけではなく、他の組織の幹部連中から総スカンを食らうようになります」

丸「お金かかりますね

吉永さん「月の半分は義理がけで出かけていると言っておられました」

丸「包む現金は相当なものですね。上納金というわけではないんですよね」

吉永さん「つき合いで一番大事なことは、《借りをつくらない》ということなんだそうです。でも、このヤクザ業界でも最も大切な義理がけは襲名披露ですが、最近では名門組織でも大きな組織でも、過去のような派手な襲名披露というものはできなくなってきているそうです

丸「やはり暴対法の改正や暴排条例ですよね。ヤクザ社会学の権威で大学教授の廣末登先生がおっしゃってました。当局の締めつけというものが厳しいと……」

吉永さん「昔は手伝いとして駆り出された襲名披露、葬儀すら行えないエリアもあるようですね。昔お世話になったので心苦しいのですが、あまりに当局が躍起になっているときには、葬儀を行っている途中に機動隊が踏み込むこともあるようですね

最後に吉永さんはこのように締めくくりました。
「当局は葬儀自体が資金集めだと決めつけているわけです。借金のカタとして葬儀のお手伝いもしましたが、資金集めではないですよ。どこの組も香典を集めて、葬儀代金だけを差し引いて、そのあと残りの香典を全部家族に渡すんですから……。それから香典に関しては、いずれ誰かが亡くなったときに同じ額を返すのが決まりなんですよね」

もはや、ヤクザは葬儀すらできない存在なのでしょうか?

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』やその他有名週刊誌で執筆、『プレジデントオンライン』の待機中。 『丸野裕行の裏ネタJournal』や『初めての不動産投資マガジン』のポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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