< 広隆寺(京都、右京区、太秦蜂岡町 著者撮影/NikonD750)>
この寺の一番の宝物は国宝の弥勒菩薩半跏思惟像、通称「宝冠弥勒」だ。中宮寺の弥勒菩薩半跏思惟像と並び称される。この像を見ていた中学生が思わずこの像に抱きついてしまった…という逸話があるが、その気持ちもよくわかる。
細く凹凸の少ない体型などの特徴から朝鮮半島の影響が大きいのは明らかで、事実同じ時代の非常によく似た造形の半跏思惟像は朝鮮半島にもある。元は聖徳太子の持ち物だったということは史実だが作者は不明。当時日本に多く来日していたという朝鮮氏族の作である可能性もある。
しかし、あえて言わせて貰えば、我が国の半跏思惟像(中宮寺と広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像)の方がはるかに洗練されているのは明らかに見える。中宮寺の半跏思惟像が世界三代微笑にあげられているということはおそらく世界的評価も日本の像の方が高いのは間違いないだろう。
確かに日本側としては朝鮮氏族たちが持っていた優れた技術を吸収したかったに違いない。指導の目的で招かれたからと言って、一方的に技術を伝達するばかりではなく、逆に訪れた現地で吸収することも多かったはずで、我が国の風土、気風と消化して生まれたのがこの洗練された仏像だ。
朝鮮半島では匹敵する傑作は生まれなかっただろうし、事実残ってもいない。要するに…日本の仏像を盗もうとするのはやめてほしい。
了