< 吉宗定食 2420円(昨年9月時点)(長崎、浜町 著者撮影/iPhone)>
長崎(とは言っても島)に住んでいた頃父親がよく口にしていたのが吉宗という長崎の卓袱料理の伝統を受け継ぐ料亭。店の「茶碗蒸し」とあるように茶碗蒸しが有名。何となく通りかかってしまうので長崎に来るたびに何となく入っている気がする。
江戸時代には中国との交易は長崎に限られたし、唐人屋敷が設けられるなど関わりは深い。卓袱料理とは中国料理の影響を受けて独自に発展を遂げた長崎の宴会料理をさす。
この店の茶碗蒸しは普通の茶碗蒸しとそう変わる味ではないと思うが、「茶碗」というには大きすぎる器で調理されていて、具よりも卵の部分が圧倒的に多い。
卓袱料理の代表格である東坡肉(トンポーロウ)は要するに煮豚。長崎のものはまた独特の製法(よく煮込むので柔らかい)と味付けで特別に美味しい。長崎の街中の店ではトンポーローを蒸しパンに挟んだものが売られていて…4個目ぐらいになると脂っこいだけにさすがに体が受け付けなくなってくる。
改めて見ると子供の頃の我が家の食卓は吉宗の影響が大きかったことを改めて実感。さて、今度来たときには本格的な卓袱料理を食してみるとしよう。
了