< 西院の河原 8000を数える無縁仏の墓(京都、右京、嵯峨鳥居元化野 著者撮影/NikonD750)>
< 竹の小径 六面体地蔵へと続く道(京都、右京、嵯峨鳥居元化野 著者撮影/NikonD750)>
以前雪が降った後の京都でこの寺を探して徒歩で彷徨ったが結局見つからず、諦めたことがある。駐車場に掲げてある看板を見逃したらそれ以外に入口の手がかりはないので足元に気を取られがちな雪の道では無理もない。
化野(あだしの)とはいわくありげな地名だ。案の定ここらは平安時代以降風葬の地だったらしい。風葬とは遺体を雨風、虫・微生物と鳥・獣にさらすことで自然に消滅するのを待つ…というエネルギーも手間も必要としない、なんともSDGな埋葬方法。当時は気味悪がって誰も近づかなかっただろう。もちろん今は違うのでご安心を。
なんでも弘法大師が野ざらしになっていた遺体を回収して弔ったのがこの寺の始まりで、「西院の河原」(ネーミングがなんだか不吉だが「賽の河原」ではない)は八千を超える身元不明の人々のお墓。ここまで来るとなんだか来ては行けないところに来てしまったような…そんな錯覚に陥る。
と言うことでこの寺は京都のダークサイドを知るための一つの手がかりにはなる。決して物見遊山な気持ちで訪れてほしくない…そんな気持ちにさせられる陰気な寺だ。
今度はちょっと楽しそうな愛宕(おたぎ)念仏寺にも行ってみたい。
了