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< 六波羅蜜寺(京都、東山 著者撮影/NikonD750)>
この寺の歴史については非常にややこしいので置いておくとして、鎌倉時代以降の政争や戦火にさらされたという割には貴重な文化財を多く残す寺。
で、中でも気になるのが空也上人立像だ。空也上人が「南無阿弥陀仏」と唱えると一字一字が六つの阿弥陀仏となって現れたという伝説を現した像で日本史の教科書などにも載っているお馴染みの像だ。Webで見るとフィギュアなども販売されているがどうもこの微妙な表情をコピーするのはなかなか難しいようだ。
まず、仁王像のような怒りを表現する場合を別として人物が口を開けている像というのは我が国には滅多にない。顎がややつきでているし、背筋はやや前屈み気味。草鞋の紐や露わになった脚や額に血管が浮き出る様子に至るまで徹底して写実的だ。
「現代彫刻です」と言われてもほとんど違和感を感じないだろう。ちなみにモデルは時代がニ世紀も離れているので空也本人ではないはず。
運慶の四男康勝の作というがどんな人だったのだろう?頼まれたから彫ったには違いないが、あえて人物像で当時としては大胆な作風に挑んだのだろうか?それとも、一介の芸術家としての血が騒いだ?
了