< 詩仙堂から庭園を臨む(京都、左京区、一乗寺 著者撮影/NikonD750)>
< 詩仙堂庭園の1シーン(京都、左京区、一乗寺 著者撮影/NikonD750)>
詩仙堂は石川丈山(大坂夏の陣の武人としての功労者で、後に文人として隷書、漢詩の大家となった人物)が死に至るまで心血を注いで造営した、いわば彼のライフワークとも言える住居だ。京阪叡山電鉄一乗寺駅から山方向にまっすぐ徒歩15分ほどのロケーション。
現在は丈山寺と称する寺の一部ではあるが、元々は単なる家と庭園なので宗教色は感じられない。日本邸宅・庭園の美しさ、ひいては華美に走らず質素倹約を旨とする日本独自の文化である「わびさび」の境地をコンパクトに堪能するには絶好のスポットだ。チャールズ皇太子と故ダイアナ妃が来日の際、詩仙堂を訪れたというのはきっとそんな理由からなのだろうと思う。
日本庭園の一つの美の頂点(もちろん別の美の頂点もある)として苔寺(西芳寺)があると思う。あちらは苔を全面に出したどちらかといえばシンプルな庭園。こちらは個人が手を入れ抜いた庭園らしく、石の置き場、木の配置等々にもこだわり抜いている。造園には費用もかかると思うがよく手入れが行き届き、丈山の意図をよく守り抜いているなぁ…という印象。
そういえば英国人も一生かけて自分の庭園を死ぬまで造営し続ける…という伝統がある。そんな英国人二人の目に丈山のライフワークはどう写っただろうか?
了