C-Unitedが運営する「珈琲館」・「珈琲館・蔵」では、7月1日からグランドメニューをリニューアルする。50年以上の歴史を誇る同店が考える、喫茶店の楽しみ方『喫茶道』を積極的に提唱する。発売に先立って行われた報道関係者向けの試食会を取材したので、リニューアルメニューの一部をレポートする。
11種類のコーヒー
同店ではサイフォン式やドリップ式で一杯ずつコーヒーをいれていく。サイフォン式は下から機密状態の容器を熱して膨張した空気が沸いたお湯を上に押し上げる。上の容器には粉砕されたコーヒー豆が詰まっていてそこに到達したお湯によりコーヒーが抽出される。お湯の量が一定なので抽出できるコーヒーの濃さはお湯の量で決まり、抽出したコーヒーにブレがなく一定のすっきりした味わいの豆に向いている。
一方、ドリップ式は上からお湯が注がれるので、どんどん新しいコーヒーが抽出されるためにコクを重視する豆に向いていると言えようか。
記者は3種類のコーヒーを利き酒ならぬ「利き珈琲」をしたが、最も好みだったのは炭火珈琲だった。少ない酸味で苦みとコクが極限まで引き出された焙煎方法と抽出の絶妙さが、苦みの中にもあと引く確かなうまさがよくマッチした好みの味だった。
ホットケーキは専用銅板で
喫茶店での人気メニューのひとつにホットケーキがある。同店では一枚一枚専用の銅板で手焼きする「トラディショナル・ホットケーキ」が昔ながらの味わいを提供する。
バターとホイップクリームとシロップが付くので食べ方で個性が出る。記者はバターを少し2枚の間に挟んで溶かし、残りのバターとクリームを上にのせてシロップをかけた。
1枚切ってみると確かな厚みと手ごたえがナイフに感じられれ、食べるとフワフワながらもしっかりとした食べ応えで大満足できる。昔の喫茶店のホットケーキはこうだったなぁと懐かしさに触れることができた。
女性にはこのボリュームであれば昼食でちょうどよいかもしれない。ちなみに1枚でも注文できるので、間食にはこちらもおススメだ
美味しさと満腹感で勝負する喫茶店メニューの数々
店内で仕込み作られるハウスサンドは肉と野菜のバランスがよく、量も多いので満腹感が得られること間違いなしだ。
特製ナポリタンも昔ながらの「スパゲッティ」という装いで、量も多く満足感は高い。喫茶店や洋食店のナポリタンといえばこのスタイル。懐かしく思う方も多いのではないだろうか。
アイスコーヒーやフルーツ牛乳ミックスもなかなかこだわっている。炭火珈琲にはブラウンシュガーが付いたが、アイスにはブラウンシュガーシロップなのでコクのある甘味と煙いくらいの苦みが口をサッパリして頭を引き締める。
一方のフルーツ牛乳ミックスはいわゆる大阪のミックスジュースに近い。バナナの味が中心になるが、牛乳で薄めた感じはなく、純粋にフルーツをミックスした果汁を牛乳で溶いた感じだと思えばいいだろう。
炭火珈琲ゼリーはしっかりと味のある苦いコーヒーゼリーなので、バニラアイスクリームやシロップ、クリームと合わせて好みの甘さに仕上げることが可能だ。男性ならシロップを掛けずにこのまま食べても美味しいのではないだろうか。
プレミアムフロスティはココアビスケットとバニラアイスが乗ったフローズンドリンクだ。唯一現代チックなドリンクだが、シャリシャリとした甘いフローズンとクリーム、バニラアイスにビスケットなのでかなり甘いのは覚悟だ。暑い夏には冷たいフローズンが一時の清涼感を与えてくれるだろう。
「喫茶道」が何たるかは結局のところ、自分が理想とする喫茶店にどこまで近いのかによるものなのだろう。「道」は武道・書道・華道・茶道、等々数多くあるが、非常に哲学的で定義は難しい。よって自分が喫茶道家の家元として理想の喫茶店を定義すれば良いのではなかろうか。そのうえで珈琲館は多くの喫茶店愛好家にとって気軽に通える理想の喫茶店になることを願って提唱したのかもしれない。
※写真はすべて記者撮影