「realme」というブランドをご存じだろうか。ご存じなくてもOPPOはすでにヒットを飛ばすスマホが日本市場向けに投入されており聞いたことがあるという方も多かろう。
もともとはそのOPPOのサブブランドとして登場したのがrealmeなのだが、ブランドの方向が若者向けに高品質で比較的低価格かつスタイリッシュなデジタルデバイスを提供するというものになり、日本市場にも満を持して正規品が投入され今年の4月に初上陸した。そして一気に5種類のスマホに接続するIoT機器を発売した。本稿ではノイズキャンセリングワイヤレスイヤホンを試してみたので取り上げる。
realme Buds Air Pro
「realme Buds Air Pro」は、ノイズキャンセリング機能付きイヤホンが2万円から3万円オーバーの価格帯が多い中で、実売15000円を切る価格で販売されているので比較的低価格と言える。とてつもなく多機能というわけではないが、必要な機能はきっちりそろえてきているので実用上は必要十分と言える。
ちなみにノイズキャンセリングとは、周囲の雑音(便宜的にプラスの雑音)と逆位相(便宜的にマイナスの雑音)の音をデジタル的に作り出し、デバイスから流れてくる音楽等の音にミックスさせて流すことにより、周囲の音だけが打ち消されて人間の耳にはほとんど聞こえなくなることを利用して開発された技術だ。海の波の凹凸とは逆の凹凸の波をぶつければ波が消えるのと同じ原理だ。音も波なのでこの技術が利用できる。
よってまずは周囲の音を集めなくてはならないために必ずマイクが内蔵されている。集めた音を本体のコンピューターで演算をしてマイナスの音を作り出し、スマホから送られてくる音楽にミックスしてイヤホンのスピーカーから流す。耳にはそのスピーカーからの音と、周囲からダイレクトに入ってきた雑音が届き、便宜的に式にすると(スマホの音声+マイナスの雑音+プラスの雑音=スマホの音声)となりノイズがキャンセルされる。
そして最も困るのが遅延だ。逆位相の音を作り出してミックスする際に遅延が発生すると波がずれるので打ち消すどころか余計に不快になる。さらに、スマホの画面と音声がずれると非常にまずいゲーム時にほぼ遅延をなくすことができるゲームモードを搭載している。このモード時の遅延は94/1000秒という人間にはわからないレベルを達成している。
パッケージには収納ケース兼バッテリーボックスに本体が内蔵され、付属の各種大きさのイヤーピースとType-C充電ケーブルが同梱されている。もちろんマニュアルやアプリは日本語だ。
本体の細かい設定は専用のアプリで行う。アプリでリモート操作もできるが、本体がタッチボタンになっており左右のボタンを2回または3回タップで行える動作を設定することができるので、一度設定してしまえばアプリがなくても操作は可能だ。
またノイズコントロールのモードは3つあり、任意のモードをアプリで選択して設定できるので不要なモードはオフにしておくことも可能だ。操作は本体を2秒タップすればモードチェンジできる。
ノイズキャンセルモードは、前述の技術を利用して周囲の音をほとんどカットしてしまう。音楽以外は耳に入れたくないときに使用する集中モードと言えるだろう。徒歩や自転車運転中は危険なのでこのモードは厳禁だ。
次に通常モード。これはノイズキャンセリング機能をオフにしてしまい、通常のイヤホンとして動作する。
そして、どうせマイクが付いているのであれば拾った音をそのままの位相でミックスしてしまえというのが「トランスペアレントモード」だ。意外に利用価値はあり周囲の音を積極的にイヤホンで流すので、徒歩やジョギング中に音楽を聴くときに危険を軽減することができる。また、電車乗車中にこのモードを使用すると車内放送が聞こえるので乗り過ごしの心配が軽減される。
肝心のノイズキャンセリング機能はというと、記者の耳で90%以上の周囲の音は聞こえない感じだ。どうしても高い音はダイレクトに入ってくるので完全に消すことはできないが、人の声や車の音はほぼ聞こえない。同社の公称スペックでは35デシベルまで外部の雑音を低減できるということになっているが、これは数メートル向こうの人がささやいてる音声、図書館での静粛さ、都市部ではない住宅地の深夜時間帯というレベルの静粛さだ。
そしてどちらか片方のイヤホンをを外せば動作が停止し音楽は止まり、装着すれば再び再生される便利機能が搭載されている。
高速充電に対応しており10分の充電で3時間駆動するし、ノイズキャンセリングを機能させてもフル充電で20時間稼働するのでほぼ丸1日は大丈夫というロングライフだ。ちなみにフル充電までは約2時間だ。防水機能はIPX4なので雨程度はまったく問題ない。
最後に電話での通話品位だが、ノイズキャンセリングは通話時でも機能するので相手にもクリアな音声が届き伝えたいことがきちんと伝わるメリットがある。音楽を聴かなくても通話待ち受けのためにイヤホンをするならばトランスペアレントモードにしておけば、スマホからは無音でも周囲の音を拾ってくれるので、リアルなミーティング中でも目の前の人の声ははっきりと聞こえる。そして着信があればノイズキャンセリングモードにすればよい。
バッテリー容量を気にしてこまめに電源を落としたりケースに収納したりする必要はなく、思う存分通話や音楽鑑賞、ゲームを楽しむことができるので1台持っておいて損はないイヤホンだ。ビジネスにエクササイズに、プライベートにいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影