活用方法はアイデア次第!『+Style』で安価で簡単に今ある電化製品で最新のIoT環境を構築し広げてみた

  by 古川 智規  Tags :  

IoTという言葉を聞いたことはないだろうか。Internet of Thingsのことで、俗にモノのインターネットと呼ばれる。山ほどあるIoT事例の中で産業用ではなく、一般家庭でのIoTの具体的としてはネットを介した家電製品の遠隔操作や監視等が最もわかりやすい例だろうか。今回はこれに限って簡単に廉価で手軽に実現できるデバイスとその可能性を例示する。説明書に書いてあることができるのは当然だが、従前の家電製品とは異なり使い方は無限なので使う人のアイデア次第ということになろうか。よってライフスタイルに合わせた使い方のアイデアを考えながら読んでいただきたい。

何らかのデバイス(例えば監視カメラや電化製品等)をネットに接続するためにはWiFiやBluetoothに接続する。それさえしてしまえば、制御する人がどこにいても(ネットに接続さえできれば宇宙でも)それらのデバイスを何らかの制御をすることができる。
しかしながら、それを家庭で実現しようと思えば今まではネット接続機能が付いた最新の家電製品を購入するしかなかった。ところが現在では安価で性能の良いしかも特定の機器にこだわらずに汎用性のあるIoTデバイスも増えてきた。今回紹介する+Style(プラススタイル)もその一つのシリーズだ。

スマートマルチリモコン

本シリーズには特定の働きをする専用のデバイスもあるがそれは後述する。初めに紹介するのは、今現在使用している昔からある遠隔操作機器、つまり赤外線リモコンを使用する家電製品を制御することができる汎用のステーションである。
「スマートリモコン」は、現在使用中のリモコンで制御する家電製品(例えばテレビやエアコン等)をスマホでコントロールすることができるデバイスである。スマホがネットに接続されてさえいれば、どこにいても自宅の家電製品をコントロールすることが可能になる。それぞれのリモコンを探す必要もないし、電池切れで困ることもない。
またこんな困ったこともあるだろう。すなわち、長く使用していると家電製品本体は正常に動作するのに、肝心のリモコンが故障していてもはやメーカーでも補修部品はなく修理もできない。しかし本体側のスイッチで制御できる機能は限られておりリモコンがないと何もできない。よって家電量販店やネット通販で社外製の汎用リモコンを探さなくてはならなくなる。本品があれば、このような困りごとはなくなる。

記者がリモコンで制御している家電製品はテレビとエアコンだが、これを本機を介して制御してみた。
最初に本機を付属のマイクロUSBケーブルで電源に接続し、スマホに専用アプリをインストールする。そしてスマホ上で本機が常時接続する家庭のWiFi接続情報を入力すると、本機を探して登録してくれる。この操作は同じネットワーク上でしか制御ができないというわけではなく、本機に家庭のWiFi接続情報(SSIDやパスワード)を登録してネットに接続させるための手順なので一度接続が成功すれば、スマホがどこにあっても、どのネットワークに接続していても関係はない。
その後、リモコンを使用している家電製品を登録する。これには例えばテレビやエアコン等のカテゴリーとメーカーと製品シリーズから選択してもいいし、なければ今使用中のリモコンから制御コードを手動で学習させることもできる。
こうして登録した家電製品(写真はテレビのもの)のリモコン画面は、リアルなリモコンとほぼ同じ配列になっていて違和感なく操作することができる。

最終的に記者はテレビとエアコンの2つをを登録した。
これで、家にいるときは今まで通りリモコン機器ではなくスマホでテレビとエアコンの操作をすることができるが、それだけではあまり価値のない使い方と言える。
例えば、これから暑くなる夏や寒い冬にはエアコンが必要なのだが、家に帰りつく前に電源を入れることができれば帰宅した時は涼しい、または温かい環境が待っている。タイマーを設定しても帰宅時間がずれると無意味だが、これを使うと例えば帰宅途中の電車の中からエアコンの電源を入れることも可能だ。もちろん切ることも可能なのでエアコンを切らずに家を出てしまった恐れがある場合にはあわてず騒がず家に戻ることなく、電車の中からスマホで電源オフ操作をすれば完了する。
以上のことから、使い方は無限なのがお分かりいただけるだろう。

スマート LED 電球(人感)

「スマート LED 電球(人感)」は、同シリーズの数ある電球の中でもフラッグシップ級のデバイスだ。実は同シリーズには多くの専用機器があるのだが、今回は記者が手に入れることができたこのLED電球についてのみ紹介する。
本品は口金がE26規格なので、まずは既存の電球ソケットを確認する。センサーが搭載されているのでどういう場所で使うのが効果的なのかも考える必要があるが、記者はワンルームマンションのキッチン兼廊下に設置した。本当は玄関がよかったのだが、口金が合わず変換アダプターを入手する時間的な余裕がなかったので、今回はこれで良しとした。

設置とは言っても、既存の電球を取り外し本品に付け替えるだけで完了してしまう。配線も何も必要ない。電源はAC100Vから供給されていて、制御にはWiFiを利用するので配線の必要はないのだ。
電球下のでっぱり部分がセンサーだと思われる。このセンサーが電球のオンオフだけではない活用につながるのでアイデアが必要なところだ。

本品はLEDの特性を利用してその照度や色温度を任意に設定することができる。
照度とは物体表面を照らす明るさの単位で単位はルーメン。本機では40lmから810lmまで任意に設定することが可能だ。
一方、色温度とは電球でいえばその色のことで、電球色や昼光色という言葉でなじみがあるだろう。カメラを扱う方にはホワイトバランスを調整するときに必要になる数値だ。単位はケルビンで数字が小さいほどオレンジから赤に、高いほど白から青が強くなる。本機ではわかりやすいように電球色を0%に、昼光色を100%として設定するが、2700Kから6500Kまでの任意の色温度を設定可能で、電球の色でいうと電球色から昼光色までを再現することができる。
写真は100%、つまり6500Kの色温度である。ほぼ白色LEDを照射した感じで青みがかった白色で明るく感じる。

一方、色温度を0%、つまり2700Kにするとフィラメント式の電球のようなオレンジ色になり、暗く感じるが照度は変わらない。よって物理的な明るさと、色温度による明暗の感じ方を組み合わせて自由に設定することができるので、設置場所の特徴や雰囲気に合わせて連続的に変化させることが可能だ。

基本的には人感センサーが搭載されているので動くものがあれば自動点灯して一定時間後に消灯という使い方が一般的だろう。センサーの感度や点灯時間、また突然消灯することがないように消灯前に任意の時間にお知らせ機能として減光させることもできる。
このような天井に付いたライトはたいていは壁面にスイッチがあるが、こちらのスイッチは常時入れて通電しておかなければセンサーも自動点灯もできない。よって、設置当初はいつもの感覚で誤ってスイッチを切ってしまうので何らかの対策が必要だ。
またセンサーの動作にかかわらずスマホから点灯や消灯ができるので、手元のアプリがスイッチになることを忘れてはいけない。

さて、これらの本シリーズの制御はすべて1つのスマホアプリからできるのだが、電球のセンサー機能を駆使して防犯機器にすることも可能だ。
アプリにはさまざまな機能があり、例えばセンサーが働いて電球が点灯したり消灯したりするたびにスマホアプリにリアルタイムで通知が行くように設定することができる。これらは任意の条件でさまざまな動作をさせることができるので、シーケンス(手順)を考えるのもIoTの楽しいところだ。
家にいて自分自身がトイレに行くときにセンサーが作動するのは何ら不思議はなく正常な動作だが、例えば外出中にセンサーが働けば一大事だということは容易に察しが付くだろう。IoTに接続できるカメラがあれば完璧だが記者は持っていないので確定判断はできないものの、留守宅に何らかの異常が起きた可能性があることだけはわかる。もし帰宅して何事もなければ、地震で何かが落ちたか、ゴキブリが動いたか、センサーの前を虫が飛んで行ったかだろうから、その場合はセンサーの感度を下げて様子を見ればよい。

アプリには設置場所の天候情報をネットから取得して表示する機能や、前述のステーション的な存在であるスマートマルチリモコンには温度・湿度・照度センサーが内蔵されておりアプリに情報が同期されるので部屋の中の状態もわかる。これらの情報をもとにシーケンスを組んでリモコンを動作させることも可能なので、一定の温度や湿度でエアコンをオンオフさせる、暗くなれば自動的に電球を点灯させる等々の使い方も可能だ。

基本的な機能だけでも日常生活がずいぶん便利になるが、使い方を考えてシーケンスを組んで自分好みで動作させることが可能なので、使い込みながらアイデアを巡らせて自分だけの設定でIoTを発展、アップデートする楽しみがあるのが現代の家電製品なのかもしれない。
そういう意味で本シリーズはIoTの入り口的な存在だが使う人のセンスで本格的な構築も可能なので、だれも考えつかなかった本シリーズの用途を限りなく広げてみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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