株式会社スペースはオスマン・サンコン監修による、日本の斬新なアイデア商品を紹介することでアフリカを支援する「サンコンプロジェクト」の一環として日本の伝統的な喫煙具である煙管(キセル)入れを模して、さまざまな日常のアイテムを持ち運ぶケースに仕立てた『漱石』(商品名称)をまもなく販売開始する。売上一部は同プロジェクトによりアフリカの支援に充てられる。
まずサンコンさんにお話を伺う中で、「私はもう昭和46年から日本にいるので、もうすぐ50年になりますよ!」と記者に語ってくれた。記者は昭和45年生まれなので、生まれた次の年には日本にいたことになる。もっとも当時は外交官としての立場だったのだが、「1コン2コン・サンコン!」で有名になった同氏は、ギニアをはじめとするアフリカのために、あるいは日本の子どもたちのためにボランティア活動を絶えず行っていることでも知られる。
記者がおどろいたのは外国人が和暦を使用したことだ。最近は日本人でも西暦を使用する傾向が強い。元号は古来中国で発明された紀年法だが、現在のところ世界で元号を持ち続け、現在に至まで元号を使用する歴史を持つ国は日本だけである。したがって日本人なら違和感のない元号での年号を外国人が自然使用するのにおどろいたのである。そのことを聞いてみると「私はもはや日本人ですよ!」とお得意の笑顔で即答してくれた。
漱石
そのサンコンさん監修で開発されている「漱石」は伝統的な日本人が持っただろう煙草入れ(昔はタバコといえば刻みタバコのことで煙管で吸ったので煙草入れと呼ばれた)の色味から、現代風で女性が持っても違和感のない色味まで各色がそろうようだ。
外観は2つの部分からなる。写真奥の長い部分は筒状ではなく巻いて収納する仕様になっていてホックで止める。煙管のような長物を収納する。
手前の箱状の部分は中に別のポケットが付いていて、小物を収納する。本来は刻みタバコを入れておく部分だ。その他に折り畳みの抗菌ビニール製の小さなコップが付属する。
それぞれの部分を広げると写真のようになる。同社では歯ブラシや歯磨き粉を収納してランチ後に使用することを想定しているようだった。もちろん何を入れても構わないので、使う人のアイデア次第である。
「漱石」は丸洗いでき、中のビニール部分は抗菌仕様なので歯ブラシや人体に触れるものを収納しても問題はなく、使用後に洗って干すこともできるので衛生的に使用できる。
写真は一例だが、記者の私物である煙管2本、各種カトラリー、歯磨きセットを全部入れてみたが問題はなかった。タバコの葉が入る煙管と歯ブラシを一緒に入れるのには抵抗があるかもしれないが、長物を入れる場所は外側と内側に分離されているのでその気になれば可能である。
ここからは記者が勝手に「漱石」とコラボさせて入れたものを紹介しよう。
デンティス
リベルタが販売する「デンティス」は、タイ製の口臭防止に特化した歯磨き粉である。何度か記者も取り上げたことがあるが、こちらは旅行携帯用の歯ブラシが付いた小型のセットである。出張や旅行の際には常に持っていくアイテムであり、記者が自信をもっておススメする歯磨きセットだ。
「目覚めてすぐキスができる」という刺激的なキャッチが付いている同品だが、これは本当で記者も実証済みである。それほど協力に口臭除去ができるので、食事後でも喫煙後でも寝る前にも強い味方になるだろう。いつでもどこでもサッパリしたい方には最適である。
ののじ・カトラリー
ランチには箸だけを使うとは限らない。コンビニ弁当でパスタを食べるときもあるだろうし、カレーライスを食べるときもあるだろう。現在は購入したものに合わせてプラスチック製のフォークやスプーンが付くが、環境省が大々的にぶち上げたレジ袋に次ぐ有料化の波はすぐそこまで押し寄せている。そこで環境省に迎合するわけではないが、先取りして記者が最適なマイカトラリーを探してきた。
「ののじ」が販売するカトラリーは独創的なものが多い。名称こそ専用品っぽいが、実際には汎用品なので商品名にこだわる必要はない。
今回は記者が選抜した5種類を紹介するが、このうち2本程度を入れておけば良いので食のスタイルに合わせて選んでいただきたい。
写真左から特徴を紹介する。ほとんどが幼児・子供用なのだが、大人が使って余りあるメリットがあり、小型で持ち運びしやすいのであえて選んだ。
・「おかずフォーク」は子供が自分で食べたいと思うのに合わせて開発されたフォークだが、フォーク部分が波型になっているので麺類を一度絡めたら落ちない。よって「今日はパスタやラーメン」と思ったらこれを入れておく。
・「カットフォーク」は、先割れスプーンのような形状だが、幼児の口に入れても傷つかないように徹底的に曲線を追求した形なので汁物以外のご飯やおかずはこれ1本でOKだ。柔らかいモノであればナイフ代わりにもなる。
・「ソフトスプーン」は材質がソフトなわけではなくスプーンのエッジが切り出しになっておらずフチが付いているために口に運んだ時の口触りがまるで違う。しかも写真のモノは右利き用で、もちろん左利き用もあるので弁当パッケージの隅にあるご飯やおかずを残らずすくうことができる便利な設計である。
・「ごはんスプーン」は、ご飯ものはもちろんだが、チャーハンやカレーライスにも最適で、前述のエッジ部分にフチが付いており口当たりはスムーズかつ柔らかい。またスプーンの最も深い部分が中央ではなく先端になっているので、すくったご飯がスムーズに口の中に入る。柄の幅が広いのでカレーライスのような若干重いものでも楽に食べることができる。
・「おかゆスプーン」は幼児用の離乳食スプーンを進化させた大人用のスプーンだ。こちらはスープやリゾットに限らずヨーグルト、プリン等のスイーツにも最適な仕様。ランチにスイーツを加える場合は1本持っておくと最後まで美味しい。
今日のランチを想定して決め打ちして2本程度入れておくのもいいし、ランダムに選んで選んだカトラリーをもとにランチを決めるのも楽しい。いずれも日本製の高級ステンレス鏡面仕上げで、酸や油にも強く洗い残しがないようにデザインされているところも評価したい。また小さめのカトラリーを使用すると少しずつご飯を食べることになり、時間はかかるが消化によく少量でも満腹感が得やすというメリットがある。
サンコンさんがさまざまなボランティア活動や日本での生活で見出した日本文化を具現化した「サンコンプロジェクト」は、これまで色とりどり全20色の抗菌マスクケースや飛沫感染防止プロテクターを送り出してきた。日本の子どもたちを守るために、アフリカを支援するためにと、その心は同氏の持ち前の笑顔のとおり、常に平和を願い子供たちの味方であると確信した。
まもなく発売されるが、最後の最後まで改善を重ねて世に送り出すということなので製品はもっと使い勝手がよくなっているかもしれない。中に何を入れるかは読者のライフスタイルに合わせて選んでいただきたいが、「漱石」を腰にぶら下げているときは、子供たちやアフリカのために一役買ったことを思い、穏やかな心持で一服(煙草に限らずお茶でも)していただきたい。
※写真はすべて記者撮影