半年ぶりの寄稿となります今回の勝手に映画薄口レビューは、公開が始まった映画『ある用務員』です。ソ・ジゾブ主演の『ある会社員』みたいなタイトルですが、大変興奮する映画でした。このレビューは薄口ですが、映画の味付けはヒリヒリする緊張感に満ちたアクション映画!以下、ネタバレの感想を展開していくので、気になる方は退避してください。
■公式サイト:https://www.youmuin-movie.com/ [リンク]
お話の構成はシンプルなほうでした。用務員としてとある高校で働く主人公・深見は、元暴力団員だった父がいましたが、幼い頃、何者かに射殺されています。深見は暴力団には属さず、学校で用務員として働いている背景には、その父親の組兄弟・真島善喜の命令で、彼の娘・真島唯の見張りをしているからです。ところがある日、暴力団の抗争が勃発して善喜が殺されてしまい、その娘の唯までも狙われるハメに…というお話です。
9人の刺客が放たれ、瞬く間に戦場と化した学校で深見は用務員としての衣を脱ぎ捨て、唯のガードに入るのですが、意外にも映画初主演&本格アクション初挑戦の深見役の福士さんが、身を呈して守り抜こうとするわけです。一度始まったら続々と刺客が深見&唯に襲い掛かり、ノンストップでラストまで駆け抜けるのですが、逃げずに応戦していく福士さんがですね、これがまた、ひたすらにカッコいいです。
初期の沈黙のセガールみたいに圧倒的に強い暗殺マシーンというわけではなく、だんだんとダメージを負いながらも彼女を守り抜こうとして満身創痍になっていく。そこには悲哀も漂い、本作とは関係ないですが、ウォンビン主演の『アジョシ』を思い出しました。
また、般若さんや前野朋哉さん、渡部哲さんなどなど、豪華キャスト陣の、まるでお芝居を楽しんでいるかのような熱演も気持ちがいいほか、個人的に面白いなと思ったのは、随所に入っている小さな笑いの数々。その効果は「シリアスとのバランスを図る」「余計に怖くなる」など、いろいろとあろうかと思いますが、意外なものも多く、面白かったです。興奮を煽る音楽や、どうしても気になるラストシーンまで、シンプルに見えて一筋縄ではいかないような味わいがあり、非常に楽しめる作品でした。
そして唯を演じた女性は、若手女優の中で今もっとも注目を浴びているだろう芋生悠さん。ちなみにガジェット通信では、映画公開に合わせて、芋生さんにインタビューを行いました。芋生さんご本人は空手を得意とするのですが、今回はアクションをまったくしておらず、それもまた意外性の妙とでも言いましょうか。唯というキャラクターを通じて、あるメッセージを投げかけたいと思ったそうで、合わせてお読みください。
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ちなみに全上映劇場で来場者に劇場パンフレット(全32P)を進呈しているそうで、これにもびっくりしました。映画のおともに、映画鑑賞の記念にもなるので、在庫があるうちに(?)映画館へ行ってみてください。
映画『ある用務員』
公開中
(C) 2021「ある用務員」製作委員会