巣ごもり需要で復活! 最新「送りつけ詐欺」とはどのようなものなのか?

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

以前流行した「送りつけ詐欺(ネガティブ・オプション)」は、気をつけなければいけない詐欺手口として、かなり話題になりました。しかし、この新型コロナウイルス感染症騒ぎで急増中の“巣ごもり需要”に乗じて、再びその手口が復活しているといいます。

では、その手口とはどのようなものなんでしょうか?

今回は、詐欺などに詳しい現役警察官の内輪さん(仮名/50歳)と、その単純ながら巧妙な手口について、特殊犯罪アナリストとして語り合ってみたいと思います。

アダルト系の映像作品を送りつけられる

丸野(以下、丸)「十数年前に流行った手口が息を吹き返しつつあるんですね

内輪さん「そうみたいだね。昔の手口としては、代金引換郵便がその家に住む男性に送りつけられて、中身がアダルトビデオとかアダルトDVDで……。それが1万円くらいで送られてくる。でも、普通の家庭持ちなら、奥さんか、子供かが家にいるでしょ。送られてくる指定時間は、大体昼間。夫は出社していたりして外に出ているから、自然に奥さんが受け取る。夫が帰ってくるまで中身は見ないわけ

丸「旦那さんが帰ってくるのは、夜遅くなることは極々当たり前ですからね

内輪さん「奥さんは夫が帰ってくるまでガマンできずに中身を見てしまう。そこに入っていたのは、アダルト系の映像作品。“あの人、私という妻がいながらなんてもの買うの、も~う!”なんてことになって、ね

丸「旦那さんが疲れて帰ると、夕食が載ったテーブルの上にアダルトビデオが……。奥さんは必死で責めたてるけど、旦那さんには何のことだか皆目見当がつかない……

法改正されても、事実上の全額返金は不可能

内輪さん「この時点でやっと詐欺に遭ったと気がついてしまうわけ」

丸「こんな感じでしたよね、当時は?」

内輪さん「そうそう。夫婦間で仲たがいして、もたもたしている間に回収された金は加害者の架空口座に振り込まれると……

丸「よく考えていましたよね。郵便局の代金引換郵便を悪用した詐欺犯罪。これが一般的な宅配便でも代引き支払い配送サービスがありますが、郵便とは違って、差出人の実体とか法人格をちゃんと審査して、宅配業者と顧客の代金の振込み方法など細かいポイントを決めて契約を結ぶから、詐欺に活用するのは難しいんですよね」

内輪さん「昔だと、一度支払った代金については、法令や制度上で郵便局側は、独自判断で被害者側に返金をしたりすることはなくって、差出人の情報開示もなかったわけ。だから、被害者本人が送られてきた郵便物に表示された名前や住所を手がかりに、実在するのかしないのかわからない差出人に交渉する手立てしかなかった。でも、そのほとんどが、やっぱり架空

丸「ええ」

内輪さん「代金全額を取り戻したければ、管轄の裁判所に支払った代金の仮差押え申請をしなきゃならないって……どれだけ面倒なんだよ、と

丸「徴収された代金が差出人に渡ってしまう前に、全手続きを完了させなければいけないし、ね

内輪さん「費用だってバカにならない。2008年に《振り込め詐欺被害者救済法》が施行されたけど、支払った代金が入金される振り込み口座が凍結されても、ね……。実質、口座凍結されたとしても、100%金が返金される保証もない一度支払ってしまった金を取り返すのはかなり困難だから……」

昨年あたりから流行の兆しを見せている送りつけ詐欺

丸「コロナウイルスの感染拡大で外出自粛。今、たくさんの人がネットショッピングを利用しています。やっぱり詐欺師は、そんな便利さを利用した詐欺が発生していますよね。最近では、Webと連動している送りつけ詐欺が非常に多いですが……」

内輪さん「去年の5月くらいには、高額のマスクが届く送りつけ詐欺がかなりあったよね。中国からマスクが届くことが多くて、高額の請求書が送付されたこともある。ちょうどアベノマスクの送付に便乗した送りつけ詐欺だった」

丸「最近の送りつけ詐欺は、アマゾンや楽天などの人気ネットショッピングの仕組みを逆手に取ったものが多い。新しい手法です。注文した覚えがまったくない荷物が、アマゾンで代引きで送られてくるというのは、二束三文の倒産品や売れない商品をムリに買わせる詐欺手口のひとつですね。頻繁に利用するアマゾンの配送となれば、ついついいつもの流れで受け取ってしまうと

内輪さん「犯罪者もキッチリとその心理を読んでいる。“あれ、なんでカード払いじゃないんだろう?”と思っていても、上限額いっぱいだったのか、現金で買いたかったのかな、といいような理由をつけてしまうわけね。特に夫や妻に送られてきて、受取人がその逆だと勘違いをしてしまいやすい」

裏社会には一定のリストがある?

丸「やっぱり配送先一覧のようなリストが存在するんですかね?

内輪さん「配送先のリストはあると思うけど、確認は取れてはいない。でも、送り主が不明という荷物が勝手に送られてくることもあって、代金の支払いがなくても、受け取ってもらえたことで送り先の住所と名前を確認できてリスト化できるという、一種のハッキングができてしまうと

丸「かなり面倒ですけど、確実ではありますね

内輪さん「送りつけ詐欺ではないけれど、注文した記憶のないのに、精巧な偽ショッピングサイトの購入確認のメールが届いて、そのメールに記載されているURLをワンクリックすると、クレジットカード情報を入力するフィッシングサイトに誘導。そんなものもあるよね」

丸「最近多くの芸能人や一般人などが騙されているのが、アマゾンの“Amazonプライム会費のお支払方法に問題があります”というフィッシング詐欺ですね。多くの人がカード情報を入力して、不正利用されました。非常に巧妙ですね

内輪さん「人間、喉元過ぎればなんとやらで、また昔の詐欺が横行しはじめる

警察が教える送りつけ詐欺の対処法

丸「こういった詐欺の対処法というものってありますか?」

内輪さん「身に覚えの商品が届いたときや送り主が記載されていない郵送物の場合は、“受取り拒否”や“受取り保留”にすること。荷物を「保留」にしたときは、伝票番号を控えておいて、自分が使っているショッピングサイトの運営先に問い合わせをする。あとはその荷物を受け取ってしまった場合、絶対に開封しない。ショッピングサイトであれば、後から返品できて、返金されることが多い。あとは、家族にも購入したかどうかの確認を取り、購入履歴を見ること。それが送りつけ詐欺の対処法かな」

その後は、ショッピングサイトのカスタマーサービスに連絡。

キャンセル手続きを取ることが先決です。なかなかうまく解決することができないという場合は、国民生活センターや警察に相談しましょう。

少額商品だからといって、絶対にそのまま使用したり、受け取ったままにすることは、詐欺師の自信を助長するだけなのでやめましょう。

(C)写真AC
※画像はイメージです

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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