お仕事でどうしても通らなければならない時の食事と休息に全店取材したので『Ginza Sony Park』はいかが?

  by 古川 智規  Tags :  

首都圏1都3県に緊急事態宣言が発令されたので、また巣ごもりに逆戻りという様相だが、リモートワークが普及したとはいえ出社しないと仕事にならない方も多いはずだし、そもそも接客を生業とするお仕事の場合はなおさらのことだろう。
そこで、同宣言が発令されるまさに直前にGinza Sony Park(以下、銀座ソニーパーク)に行って飲食やテイクアウトができる店舗全4店を取材したので、銀座、有楽町、日比谷、数寄屋橋周辺でお仕事をされる方はランチや休息のおやつ、テイクアウトディナーの参考にしていただきたい。

銀座ソニーパークはもとはそこにソニービルというソニー製品を主に取り扱う有名なビルがあった場所だ。現在はビルのリニューアル途中であり2021年9月末までの限定で「変わり続ける実験的な公園」をコンセプトに整備している。地上部分はビルに囲まれた平地の公園(一部に2階部分はあるものの)だが、もとは地下鉄直結のビルなので地下部分はそのスペースを生かしてイベントスペースや飲食店が入るという実験的な展開をしている。

地上部分から地下に向かい全4店舗を取材した。イートインもテイクアウトも可能なので、お仕事で銀座を通過する際の休息に、近くにオフィスがあればランチやおやつを手に入れるために出向いても良い。寒い場所にはオープンストーブもあるので暖を取ることも可能だ。
では地上から地下4階に向かい順次紹介する。
なお、緊急事態宣言発令に伴うイベント中止の状況や店舗の営業時間変更については記事末尾に詳報するので参考にしていただきたい。

ÉCRU. GINZA

地上にある「ÉCRU. GINZA」はスペシャルティコーヒーとナチュラルワインのポップアップストアでる。福岡・天神のコーヒーとワインの店「ÉCRU.」がGinza Sony Parkとコラボレーションし、「昼から夜までコーヒーとワインを主役に飲めるスタンド」としてオープンした。

メニューは非常にシンプルで、コーヒー各種とワインにちょっとつまめるクッキーやケーキ。昼間なのでワインは遠慮してラテにしたのだが、これがおどろきの至福を与える1杯となった。

街のテイクアウトができるカフェのラテと見た目には大して違わない。しかし、一口飲んだ瞬間にコーヒーの味そのままをミルクで割った優しくしかしダントツに濃い、良い意味で味わうことが強制されるドリンクだった。二人以上で飲んだ場合、味の話題以外には出てこないのではないだろうかと思ったほどである。
そしてコーヒークッキーはクッキーのサクサク感としっとり感という相反する食感を同時に楽しむことができ、また味もコーヒー豆をかじっているのではないかと思うくらいに素材の味と甘さを融和させた昼下がりには最適なおやつになった。

GEN GEN AN 幻

地下1階の「GEN GEN AN 幻」は注文スペースとカウンターだけの飲食スペースがあるだけのシンプルなつくりだ。しかもランチタイムは別としても、主に売られているのは「お茶とお菓子」だけである。お茶といっても基本的には緑茶やほうじ茶という日本茶であり、一瞬「ん?」と思ってしまうが騙されたと思って一度賞味していただきたい。紅茶も緑茶ももとは同じ茶葉である。発酵の有無や時間により変わるだけだ。紅茶にフレーバーティーがあるように日本茶にもフレーバーティーがあっても良い。しかも日本茶独特の風味を損なわないために抽出方法まで研究しつくされた味には脱帽である。
そしてもう一つ、オーディオマニア特に古い規格のものに目がない御仁にも立ち寄って空間そのものを楽しんでいただきたい場所でもある。

カウンターに置かれた今では存在自体が珍しくなってしまった超大型の「ラジカセ」からさりげなくFM放送が流れている。ラジカセとはラジオとコンパクトカセットテープが1つの筐体に入ったオーディオシステムである。それは技術の進歩とともに年々小型化していく。もちろんCDすらなかった時代のもので、ラジオは中波(AMラジオ)、超短波(FMラジオ)に加え、長年ソニーが得意としてきた短波も受信できるという仕様である。それがさりげなくカウンターに置かれて電源が入っていて現役で動いてることが奇跡である。アナログの針によるレベルメーターあたりは懐かしさしかない。あまりにも貴重すぎて記者は触ることさえできずに、ただ稼働しているラジカセを眺めていた。

お茶の話に戻ろう。アイスは柚子のフレーバーが緑茶だが、香りが命のはずの柚子の香りはしない。おかしいと思って飲んでみると口の中で柚子の香りが広がる不思議体験ができる。決して柚子の味が際立っているわけではなくあくまでも緑茶の味なのだが、「香りを味で楽しむ」と表現するのが最適だろうか。ホットは黒豆を使った日本茶だ。こちらはほうじ茶にプラスして黒豆の香ばしさが際立つ美味しいというよりも料理を食べた時の「美味い」お茶だと表現するのが良いだろうか。
そしてお菓子は、ガトーバスク。サクサクなのにしっとりとした甘さはじっくりと口中を包むので日本茶によく合う。それもそのはずでパリのレストラン「MAISON」とココでしか味わうことができないレアな逸品である。

かまぱん&フレンズ<ナチュラル物産館>

地下3階の「かまパン&フレンズ<ナチュラル物産館>」は地方のものを集めた物産店であるが、いわゆる地方ごとに設置するアンテナショップとは違い、徳島県・神山で農業や食堂、食料品店等を営む「フードハブ・プロジェクト」が地方の特産物を選りすぐり販売するショップである。よってあれもこれもというわけにはいかないものの、厳選したものだけが置いてあるといっても過言ではない。

そして同店が各地の農家から直接仕入れた新鮮な野菜の数々が並べられていて、銀座のど真ん中で地方のしかも採れたての野菜が手に入るのはうれしいばかりか、ランチのついでに購入していけば夕食の買い物も減ろうというものだ。

さて同店で食べることができる(もちろんテイクアウトでも)メニューの代表が人気の「産直!コンボ サンドイッチ」である。魚、肉の2種のほかに国産在来種の豆を使ったファラフェルサンドが珍しい。元は中東で食べられるグルメだが、これを日本風にアレンジしたものと思えばよい。ジャガイモの代わりに豆をつぶして揚げたコロッケのようなものと考えていただければよいが、肉類を一切使用していないのでヘルシー食として人気だ。パンはもちろん同店のこだわりのあるモノなので中身はもちろんパンまで美味しい。たっぷりの野菜は新鮮すぎて素材の味の主張が著しくフェラフェルの方がサブ的な具材に感じるほどだ。豆で作ったコロッケバーガーにサラダをふんだんに挟み込んだサンドと表現したい。ボリュームがあるのにヘルシーなので女性向けのランチとして特におススメしたい。
ただし記者が取材したのが緊急事態宣言発出前日だったために、13日からは店舗調理品の販売は一時休止となる。販売再開までしばらくお待ちいただきたい。

Seafool

地下4階の「Seafool」は、アメリカンスタイルのシーフードファストフード店と考えて構わない。日本人は古来からその立地を生かしてシーフードを多く食べてきた。遺跡によると3世紀にはすでに焼き魚は当然として刺身も食べていたらしい。その遺伝子はわれわれ日本人に受け継がれ、新鮮な刺身や寿司、さまざまなシーフード料理を生み出し好む国民性となったのであろう。
しかし昨今では食の欧米化が進みファストフード全盛時代。しかしそのほとんどは肉が中心でありシーフードは決してメインではない。そこで同店では本当はシーフードが好きなはずの日本人にアメリカンスタイルのファストフードを組み合わせ、かつ美味しいメニューを提供すべく豊洲市場にも近い同地を選んで出店した。

写真をご覧いただければ一目瞭然でが、フィッシュバーガーにしてはボリュームがある。ハンバーガーなのでかぶりつくスタイルで食べてみるとジワーっと出てくる魚のうまみが実に新鮮で、あっという間に食べ終える。「うま味」という味覚は日本人が発見した基本5味のひとつである。日本人には当たり前のうま味なのだが、外国語には基本的に「うま味」を表現する単語はなく英語でもフランス語でも「UMAMI」である。そのようなうま味をダイレクトに手軽に味わうことができるバーガーでるということができるだろう。

セットにはフライドポテトとドリンクが付いてくるのは一般的なハンバーガーと同じだ。フレッシュなシーフードと野菜を同時に食事として食べることができるので、テイクアウトでオフィスでランチということにしてもシーフードのうま味に舌鼓を打つことができよう。

緊急事態宣言中の営業時間等

(写真は旧ビルに掲げられていたソニーのロゴをエレベーターホールにディスプレイしたもの地下3階から見ることができる)

・イベント
 2月7日(日)までは『#014 ヌーミレパーク(仮)』DIRECTED BY PERIMETRON を一時休止

・ÉCRU. GINZA(地上階)
 営業時間に変更なし 1100-2000
 ただし酒類の提供は1900まで

・GEN GEN AN 幻(地下1階)
 1月13日から 1200-1900に変更
 準備が整い次、第周辺地域へのデリバリーサービスを開始予定

・かまぱん&フレンズ<ナチュラル物産館>(地下3階)
 1月13日から 1200-1900に変更
 店舗調理品の販売を一時休止

・Seafool(地下4階)
 1月8日から 1130-1930に変更
 ラストオーダーは1900
 地下2階でお弁当等の販売を検討中

緊急事態宣言の発令により身も心も経済も大変な状況であることには変わりないが、わざわざ銀座に出向くことは厳に慎むべきであるものの前述したとおり、周辺でお勤めの方やお仕事で通過する方には重宝する食事・休憩・買い物スポットとして立ち寄りたい。コロナに負けず、よく食べて心身ともに健康で過ごしたいものである。

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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