いくら何でも安すぎ!『玄品』が40周年記念で「とらふぐ」のスペシャルコースを4000円で提供中なので取材してきた

  by 古川 智規  Tags :  

いくら何でも、これは安すぎる。届いたプレスリリースを見て最初に思ったのはその一言である。
とらふぐ料理専門店『玄品』を運営する株式会社関門海が発出したリリースだ。2019年に玄品は取材しているので、間違いなくとらふぐを出すことは知っている。値段も安く美味しい。独自の調理法やこだわり、あるいは確立された仕入れルートで無理に安くしているのではなく、これで普通なんだと言わんばかりの価格設定である。
しかしフルコース4000円は安すぎる。ということで、玄品上野で取材したので、その中身をレポートする。

※参考記事
夏バテ対策にも?『玄品』で安く腹いっぱいにトラフグを食べてきた!
https://rensai.jp/282265 [リンク]

まずは4000円の趣旨を説明しておく。同社が今年9月に創業40周年を迎えたことを記念して、「40」にちなんだイベントを行うことになり、それで4000円でスペシャルコースを出そうということになったようだ。
それだけに終わらず、このコースを注文した場合はいくつかの単品メニューが40%引きになるというフグもびっくりの出血大サービスという徹底ぶりだ。ただし期間は2か月間だけだ。
せっかくのトラフグなんだからお酒も美味しく飲みたいという方には、2時間飲み放題付きで5500円とこちらも特価である。飲み放題メニューにはひれ酒やプレミアムモルツの瓶ビールも含まれているので、安っぽい飲み放題とはレベルが違う。
また店舗に出向くのはまだどうもという方には通販用のスペシャルセットも用意してある。

最初にドリンクを注文するが、こちらはコラーゲンたっぷりのサワーだ。飲み放題メニューには入っていないが、フレッシュフルーツを使用したものもあり、まるでカフェで飲むお洒落なジュースのようだ。

女子必見のコラーゲンは、形が見える特大ゼリー状になってどっぷりと入っている。すべてトラフグから採られたコラーゲンである。

コースの最初は刺身(てっさ)からスタート。湯引きが添えられた刺身は薄造りだが、通常よりも分厚い。同社が歯ごたえや味わい等を研究した結果、この厚さになったようだ。

もちろんトラフグは養殖物だが、餌からこだわった安全な本物のトラフグなので、安心してぜい沢していただきたい。

続いてとらふぐ寿司が登場。淡白だが少し厚めに切られているおかげで、トラフグの甘味と歯ごたえが存分に味わえる。

フグは白身魚の中でも特に低脂肪な魚で、うまみ成分が増加し身が柔らかくなるのが遅い。よって同店ではトラフグを熟成させてから提供することにより、より柔らかくうまみのあるトラフグを出すことができる。刺身が厚くてもかみ切れるのはこうしたところにも理由があるようだ。

とらふぐの唐揚げは、香ばしくサクサクした衣の中に、ホクホクと詰まったトラフグの身がたまらない。このあたりで日本酒が欲しいところだ。

ひれ酒には冷酒もあり(飲み放題のメニュー外)、こちらはあらかじめ冷酒に味と香りをつけているので、ひれそのものはお飾り程度だ。よって時間をおいて風味が付くのを待つ必要はなく、冷たいままグイっとやっていただきたい。

てっちりの登場だ。写真は2人前で、ふぐつみれの湯葉巻きが入っている。これが甘くて香ばしくて不思議なうまさだった。

鍋とくれば熱燗だ。ひれ酒の熱燗を注文。あぶったひれの周囲に見える青白いものは、その場で酒にひれを浸したものをあぶった炎だ。ひれがたっぷりと入っているので、飲み放題メニューではお代わりの日本酒は継ぎ足しだが熱燗なので問題ない。その都度、新しいひれ酒が味わいたいのであれば単品を注文することになるが40%引きだ。ビールは本当なのかは知らないが酒は底が美味いのは事実で、少し濃いひれ酒を残しておいて継ぎ足して味わうといいだろう。

てっちりは、骨に付いたふぐの身を大きいものはポロっと外して、しかし骨に付いた美味しいところを忘れずにしゃぶり取るのが正しい。

黒く見える若干グロいものはトラフグの「くちびる」だ。俗に「うぐいす」とも呼ばれており、ゼラチン質たっぷりでフグの肉ではここが一番おいしいと断言する人もいるくらいの人気部位だ。当然ながらくちびるは1尾に1つしかないわけで、貴重といえば貴重でしっかり味わいたい。

てっちりを味わった最後にはお待ちかねの雑炊が待っている。記者の個人的な意見で恐縮だが、ハッキリ言って雑炊を食べに来たといっても過言ではない。他の料理がどうでもいいというわけでは決してないが、雑炊を食べるための準備だと言い切ってもよい。鍋を作り始めた時から雑炊作りのプロセスは始まっている。鍋の作り方もそうだが食べ方にも注意を払わないと美味しい雑炊にたどり着くことはできない。
同店こだわりの卵と、とき卵を入れるための専用お玉も見ものだ。

本当の最後はデザートだ。4000円のコースではシャーベットの選択だが、200円追加するとまたまたトラフグのコラーゲンが登場する。コラーゲンたっぷりのプリンか抹茶プリンの選択だ。

ソースもそれぞれの専用のもので、自分で好みの量を掛けて食べる。これでもかと言わんばかりのコラーゲン攻めで同行した女子にも笑みがこぼれる。ふぐ料理というと高級で高いもの、会社員が会社帰りや宴会の席で食べるちょっと特別なモノというイメージが先行するが、こうしてみると意外と女子向けの料理なのかもしれない。

締めくくりはオマケとしてさらにコラーゲンをぶっこんでみたい。同社とアース製薬がコラボした「とらふぐコラーゲン美容ジュレ」がそれだ。同社がトラフグから抽出した海洋性フィッシュコラーゲンをアース製薬に安定供給し、「もも味」と「キウイ味」に仕上げた至高のジュレだ。コラーゲンだけではなくアミノ酸、ビタミン、ミネラルも配合したジュレだが、何がすごいのかというとトラフグから抽出したということである。コラーゲンであろうと、てっちりであろうとフグには違いない。よって猛毒のフグを扱うフグ調理師の免許がないとコラーゲンは採れないのである。それゆえに製品化するには安定した供給が必要不可欠なわけだ。猛毒のフグであるがゆえに取り扱いが難しく、そもそも高級魚なのでコラーゲンの質の高さは言うまでもないが、商業ベースに乗せるのは難しく今までほとんど使用されなかった。本品のすごさのゆえんは、まさにここにある。
ちなみに前述のドリンクでもこのコラーゲンを「食べた」が、ありがちな独特なにおいや味はまったくせず、プルンとした無臭のゼリーのようだった。

高級なものを高額を出して食べるのはどこででもできるが、安く美味しいものをお腹いっぱい食べることができるのは、万人にとってうれしいことである。巣ごもりで変わり映えのしない環境でたまり気味のストレスを解消する意味でも、女性には美容と健康維持のためにも、美味しいトラフグを4000円で食べつくしていただきたい。

※写真はすべて記者撮影

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