【動画あり】夏バテ対策にも?『玄品』で安く腹いっぱいにトラフグを食べてきた!

  by 古川 智規  Tags :  

これから夏本番を迎える日本列島。毎年夏バテだけは避けたいと思いつつも、仕事の忙しさや高い気温や湿度には勝てず夏バテに陥ってしまう。そんな繰り返しを断ち切るためにフグ料理はいかがだろうか。
フグは冬に鍋料理とともによく食べられるように冬が旬ではある。しかし養殖技術や冷凍技術の発達により輸入を含めて年中食べることができる。
フグは白身魚で高タンパク低脂肪だが、一般的な白身よりもさらに低脂肪で、部位によってはコラーゲンが豊富。お肌によろしくない季節である夏にこそ、女性に食べていただきたい食材でもある。

とはいえ、フグといえば言わずと知れた高級魚。気軽に食べることができるものではないのも事実である。もっとも下関や北九州地方ではトラフグではないものの、フグの刺身はスーパーで安く売られているので地方によっては気軽に食べることができる。
今回は正真正銘の高級魚であるトラフグを腹いっぱい食べてみようという趣旨である。お値段は目の玉飛び出るほど…決して高くはないので安心していただきたい。

やってきたのはトラフグ料理の専門店である「玄品」(げんぴん)である。各地に展開するお店の中で選んだのは千葉県市川市の「玄品 本八幡」。総武緩行線、都営新宿線本八幡駅からすぐのところにある。

トラフグにも天然があれば養殖もある。さすがに天然物は高い。今回は高級なものを安く腹いっぱい食べることが目的なので養殖。
フグといえば下関が有名だが、天然の水揚げ量は山口県がトップというわけではないし、養殖も長崎県がトップである。これは古くからフグの加工施設や業者が多く下関に集まっているからで、現在でもやはり各地で水揚げされたフグの多くは下関を経由する。

同店のメニューはコースもアラカルトも豊富。予算に合わせて選ぶことができる。
今回は基本のコースメニューに夏の宴会コース「夏安居」(げあんこ)を選択した。

写真はその2名分である。メニューの詳細は動画でご覧いただこう。

■夏バテ対策にも?『玄品』で安く腹いっぱいにトラフグを食べてきた!
https://youtu.be/aUBDz6vTQn4

湯引きあかもく和え

「湯引きあかもく和え」は、日本に広く分布する海藻である「アカモク」を湯引きと和えたもの。アカモクはコンブやメカブと同様にポリフェノールやミネラルを多く含み近年は健康食品として注目が高い。湯引きのさっぱりとした歯ごたえとアカモクの粘り気がマッチした元気が出る一品だ。

てっさ

「てっさ」という名称は主に関西地方でポピュラーな呼び方だが、要するにふぐ刺しのこと。鉄砲の刺身の短縮形という見解が一般的。昔はフグ毒(テトロドトキシン)にあたって死亡する事故が多かったことから、「鉄砲で撃たれて当たると死ぬ」という隠語的表現がそのまま一般名詞化したものと思われる。
現在ではフグ調理師が適切に処理したものは安全なので心配する必要はない。トラフグの淡白ながらうまみの詰まった刺身を味わいたい。

五福いなり

「五福いなり」は5つの食材をぜい沢に乗せたいなりずし。酢漬けレンコン、炙りふぐ、玉子焼き、大葉、梅肉を乗せたもので見た目も味もさわやか。フグのぜい沢さは言うに及ばず梅肉が夏でだれた体を引き締めてくれるだろう。

夏焼きふぐ

「夏限定の焼きふぐ」は、ふぐと夏野菜をニンニク醤油ダレの下地で焼き「甘辛」「しそ」「チョジャン」の3種のタレを好みでたっぷりとつけて食べる。焼きながらお酒を飲んでいると気分は焼肉。焼いたものは後述する。

マンゴーかき氷

デザートは選択可能だが、「マンゴーかき氷」にした。ナッツアイス、柚子シャーベットも選択可能。食べたとたんにわかる完熟マンゴーの香りと味は食後に爽快感を与えてくれる。

ここまでの全5品のコースが3500円(税別・以下同様)は破格ではないだろうか。

ふぐ唐揚げ

ふぐ料理には唐揚げも付きものだろう。本コースにはふぐ唐揚げ付きも選択可能だ。これを付ければ5000円になる。
香ばしい衣とサクフワなフグの身は絶妙ならランスで唐揚げにされており、これも定番中の定番といえよう。

刺身を食べながら、フグを焼肉のように焼いていく。

フグの身や夏野菜もそうだが、フグの皮にも秘密がある。フグの皮は二重になっており味わいがそれぞれ異なる。コラーゲンたっぷりで、特性のたれも手伝って舌触りは焼き肉のホルモンに似る。
日本で食用が認められるフグは22種類であるが、皮を食べることができるフグはトラフグを含めて11種類しかない。

写真は焼きあがったもの。つけだれの香ばしさもあり、香りは焼肉そのもの。骨はあるものの、身はホクホクなので簡単に骨から外れ深く味わうことができる。前述の皮や夏野菜もおいしく、夏バテになる前の食欲旺盛な時期に食べて精力を付けたい。

フグのひれ酒

この値段でこの内容であれば十分満足なのだが、何かが足りないような気がする。そう、ひれ酒だ。
通常、フグのひれ酒というとひれをあぶったものを熱燗に浸して飲むが、同店では冷酒もある。これは日本酒にひれを長時間浸したものを使用する。
味は非常に淡麗で、熱燗のひれ酒のような独特の風味や香りは強くない。よって普通に冷酒を飲む感覚で構わない。

一方、熱燗のひれ酒には一興ある。
通所の3-4倍はあろうかと思われる大量のひれを熱燗に浸して火をつけ、ひれ部分のアルコールを飛ばしながらその場であぶる。
この演出で見た目はもちろん、実際に火が目の前で通ることで香りが一層際立つ。

冷酒でも熱燗でもひれまでしゃぶりつくせば、食べることのできるトラフグのすべてをいただいたと言えるだろう。

てっちり

そういえば鍋がないのに気が付いた。
アラカルトで「てっちり」を追加注文した。1人前1980円。
こちらも「てっさ」と同様、鉄砲のちり鍋が語源だとか。

同店では紙鍋を使用する。IHクッキングヒーターで加熱するために、かごに敷かれた紙鍋の中に金属製の円盤を落とすことにより調理する。

じっくり煮込んでフグの出汁を十分に出してから鍋をいただく。
この後の雑炊が楽しみだからだ。

国産米と濃厚な卵を使用した雑炊は630円。好みにもよるが、フグの身を少しほぐして鍋の中に残しておくのもよい考えだ。
いずれも1人前を注文したのだが、雑炊が思いのほか多く結果的に十分食べごたえのあるものになった。雑炊の仕上げに使う醤油は特製のもので、卵かけご飯専用しょうゆのような味わいで雑炊の味が引き締まる。

思いのほかリーズナブルにトラフグを腹いっぱい食べることができたので大満足であった。もちろんお金を出せば天然のトラフグを食べることはできるが、普段はトラフグを食べようなどとは考えも及ばす選択肢にも入らなかったため、コストパフォーマンスが重視できるトラフグ料理店があることに驚きだった。
夏バテ対策だけとは言わないが、焼肉やビアガーデンの感覚で夏のトラフグ料理を楽しんでみてはいかがだろうか。

※写真および動画はすべて記者撮影・収録

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