酒をやめようと地獄をみたライターが体験中!「アルコール離脱症状」の恐怖

どうもライターの丸野裕行です。

僕はお酒が好きでした。

若いうちから、肝臓を鍛えておけという52歳で逝去した父の間違った教えで、幼いころからビールの泡をなめ、年頃になると父親の酒を盗むように飲んでいました。

おかげさまで、フリーライターの副業を許してもらいながら勤めたコピーライティングの広告会社で行った、初めての定期健診では肝機能障害を疑われる高脂血症とγ-GTPの数値が健常者の3倍という数値を獲得。

それからも、仕事柄付き合いで飲酒を繰り返し、身体を壊してしまい、急性膵炎で緊急入院するような事態になってしまいました。

『膵炎で年間5回入院する入院マニアライターが語る「病院のグルメ」』
https://getnews.jp/archives/1742857 [リンク]
『年間膵炎で5回入院する入院マニアライターが語る『病院のグルメ』~第2回~』
https://getnews.jp/archives/1852523 [リンク]
『年間膵炎で5回入院する入院マニアライターが語る『病院のグルメ』~第3回~』
https://getnews.jp/archives/1996995 [リンク]
『年間膵炎で5回入院する入院マニアライターが語る『病院のグルメ』~最終回~』
https://getnews.jp/archives/2047232 [リンク]

いや、こんなに痛くて辛い思いをするくらいなら、「いっそのことお酒をやめた方がいい! 断酒だ!」などとこの記事を書いていたときには思っていたんです。

退院後には元の生活に

入院したときのひととき断酒はできたとしても、シャバに出れば、「飲みに行きましょうよ!」「いけるクチなんでしょ?」などとお誘いを受ける。ビジネスを再開すると、このような言葉に流されるように口に酒を運んでしまうわけです。

それから2年が経って、テレビ出演や企画の打ち合わせ、出版社との打ち合わせ、通販会社の番組立ち会い、執筆取材、イベント参加、大手テレビ局へのご挨拶などが続けば、やはり酒がつきまとうもの……。「まぁ、大丈夫だろう」と意志が弱いわけですね。

東京出張が入った今年の夏、2度も繰り返してしまった熱中症の症状を宿泊していたホテル内で再発させてしまいました。食事会で飲んだ、好きだったはずの酒をその店のトイレに駆け込んですべて吐き出してしまったのです。

水分を受けつけないほどの脱水症状。氷を咥えるくらいしか、水分を摂ることができません。ホテルで、けいれんを起こしたようにのたうち回る自分。

なぜ、こんな状態になるまで脱水症状に気がつかないのか……そうだ、酒の飲み過ぎで感覚がマヒしてしまっている。

そこで、筆者は断酒することを決意しました。このままでは、死んでしまう。

1日目は死んだように眠る

もうかれこれ、28年ほど過剰なアルコール摂取を続けていた筆者、入院中であれば、点滴などを1日数リットルを打ちながら水分を口から入れています。アルコールを体内に流し込んでいるヒマがないから、ピタリ止めることができます。ヒマだから飲む、パブロフの犬です。

固い意志で東京から自宅に戻り、在宅ワークを行っている妻にいつも自分が受け持っている昼夕の食事づくりと子育てを頼み、風呂に入って早めの就寝。

枕元に、麦茶とアミノ酸ドリンク、塩分チャージ飴という《熱中症三種の神器》を置き、用意も万全。吐き気を催したとき用の筒状の小型バケツも用意しました。チラチラとは目が覚めたりはしますが、意外にぐっすりと眠れる。なんだ、問題ない。俺はアル中でも何でもないんだ。

2日目から禁断症状らしきものが……

目覚めれば、朝。気分は悪いですが、一昨日の東京のホテルとは比にもなりません。水分だって、普通に摂れる。できるだけ、ゆっくりと飲む。しかも、常温の水をゆっくり、ゆっくり……。このまま、快方にむかうのか。うれしい。朝、子どもたちを学校と保育園に気持ちよく送り出し、原稿を書こうと思いました。

「おや?」と気になったのは、キーボードを押す手と愛用の座椅子にあぐらを掻いたときに震えがあること。さらに、昼の気温を感じることができないというか、暑いのか、寒いのかわからない。汗が噴き出て、すぐに寒気がくる。

こりゃ熱中症やわ。静かに寝てよう。一旦落ち着くまで、と布団にくるまっていると、ドクンドクンと心臓が高鳴り、妙な不安感が思考を襲ってくるのです。

「俺は大丈夫なのか?」「みんながおまえのことを嫌っている」「疎ましいとおもわれているのに気がつかないのか?」など、もうひとりの自分が筆者に対して、あざ笑ってくるのです。

それを聞いた筆者は、吐しゃ物を受けるバケツにむかって、飲んで胃に溜まっていた水をすべて吐きだしていました。

熱を測れば、37.8度。微熱がある。コロナ? いや違う、最近肺のCTも撮ったし、PCR検査もやった。『接触確認アプリ』で陽性者との接触はなかった。これはアルコールをやめた禁断症状なのだろうか。

2日目の深夜から幻聴がはじまる

ネットで調べてみると、アルコールに対する離脱症状は、中枢神経系で起こり、通常アルコール摂取から6時間経ってからその禁断症状が出はじめて、24〜72時間後には最も症状が重くなるそうです。

これを乗り越えれば、約1週間程度で、その禁断症状は自然と消えていくとのこと。この症状に、1週間耐えることは正直辛い。本当にできるのだろうかと、このとき思いました。

その夜、不眠の症状が……。筆者の住宅は、2階建てなのですが、深夜1時。妻と子供たちと川の字で寝ている筆者は動悸と震えが止まりませんでした。寝息を立てる妻と子。しかし、筆者の神経は階下に集中している……。

1階から聞こえてくるのは?

それはなぜか。なんと、階下のキッチンから一枚一枚皿を割る音が聞こえてきたのです。誰かいるのか……。階下の音に集中していると、

階下では次に、なにを言っているのかはわかりませんが、誰かがなにかを呟き、怖くて怖くてしかたがありません。

人の笑い声というよりも独り言がブツブツと際限なく聞こえ、突然、

「ガルゥウプッ」

耳元でゲップのような人の声。ビクッ! 硬直する全身。あかん、人が家の中に侵入してきている!

そのとき、恐ろしさのあまり、筆者は失神してしまったのでした。この日、目覚めると朝。小鳥のさえずりとセミの声。心地よい冷房がかかっている部屋で、筆者はびっしょりと汗をかいていました。

しかし、それだけでアルコール離脱症状が筆者を見逃がしてくれるわけではありませんでした。これはアルコール離脱症状の第一段階。地獄の日々ははじまったばかりです。

その地獄は、この原稿がガジェット通信に掲載された今でも続いています。

(C)写真AC

※本記事は筆者の体験に基づくものであり、飲酒行為について肯定や否定をする内容ではありません。また、記載された内容は一般的なアルコール離脱症状すべてにあてはまるものではありません。

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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